そうそう - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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そうそう    

南風に膨らむカーテンで、あいつの葬式だしてやろう 時に死が、深い悲しみだけでなく リンゴみたく、 さわやかな後味を残すことがあるように あいつが、そう 望んだように。 明るい花の方が 顔が綺麗に見えるからって 黄色やピンクやらで囲まれてやがる 酒と馬に溺れた人間も 最後はバラと一緒 そうそう、入棺体験ってのがあるらしいぜ レモンサワーをちびちび飲むほか 特に喋ることもない22時過ぎ 壁に貼られた読みにくいメニューを 一通り眺め終える頃 あいつは何の脈絡もなく、話題を持ち出す 一度死んだ気分で、さっぱりするらしいよ それきり、話は広がらないが 少なくとも場はしらけず、 ということが 何度も何度も 優しいやつだった 必要な時は文字通り肩を組んでくれた 連れに子どもができて、 また連れに子どもができて みんな立派になったものだが、 一人欠けると 急に 死んでいく存在 としての俺が どうにか夜を渡っていく これまでに死んだ全ての人間の成分が なまぬるい地下水となって 家の 基礎から、 浸みてきて ゆっくり枕が濡れる 金持ちはやるらしいよ マスタングの霊柩車に、 芸人のなんたらってのに弔辞読ませて Pixiesでも流そう あいつの言う、理想の生前葬をやっても ほんとうに 死んだら、 俺らは俺らで葬式を出さなきゃならない 坊さんは呼ばないと仕方ない ひとつ無理言って あいつの部屋の 黄ばんだ薄いカーテンを 身体に巻いてやったよ それくらいだね でもそれはやったよ


そうそう ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 23
P V 数 : 1337.6
お気に入り数: 1
投票数   : 6
ポイント数 : 0

作成日時 2025-02-22
コメント日時 2025-03-10
#現代詩
項目全期間(2025/04/23現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
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閲覧指数:1337.6
2025/04/23 18時01分05秒現在
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    作品に書かれた推薦文

そうそう コメントセクション

コメント数(23)
レモン
レモン
作品へ
(2025-02-22)

初めまして。 「そうそう、」と「早々」と「葬送」でしょうか。 最初のカーテンが終わる間際に回収されるのですね。 南風。「あいつ」は南国に行きたかったか、帰りたかったのかもしれませんね。 ありがとうございます。

0
ハツ
ハツ
作品へ
(2025-02-22)

人生ですね。それしか言えないです。人生について書くことができる人はいても、人生そのものを書くことができる人は本当に少ないと思います。黄ばんだ薄いカーテン。これもまた人生だなあと思いました。いいものを読ませていただきました。ありがとうございます。

0
はながみ
作品へ
(2025-02-22)

夏の夜がなぜか情景として思い浮かびました、詩の空気が澄んでいるようでよどんでいるような、ずっとまどろんでいたい詩です。 ありがとうございます

0
佐々木春
佐々木春
作品へ
(2025-02-24)

fujisakiさんがおいくつかはわからないのですが、このサイトに投稿したり詩の雑誌をチラチラ見てるなかで、もしかしたら詩を書いている方の年齢層って結構片寄り(二極化?)があるんじゃないかと勝手に思っていて、fujisakiさんはそういう意味で、あんまり見ない年代の方なのではないかと勝手に思いました。 その年齢層の人の日々をしっかりと書かれているから魅力的な作品なのではないかと。今回の作品もたんたんとしていてそれがまたよかったです。 それにしてもfujisakiさんの作品って完成度が高いのにあまりコメントつかないのは、完成度が高いからなのでしょうか、それとも何かほかに理由があるのでしょうか、ナゾです。

1
三明十種
作品へ
(2025-02-25)

Pixiesいいですよねー僕は何を流してもらおー望み通りにならぬものですが…いい作品ですねー見逃し読み逃ししてました。ありがとうございました。

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レモン
レモン
三明十種さんへ
(2025-02-25)

えーっ! 全部の作品、読んでないのですか!? 私はここにきて日は浅いですが、上がってくる全部の作品は読んでますよ? (ついでに暇なので、全コメントも読んでます。暇人の特権ですね。笑)

0
レモン
レモン
三明十種さんへ
(2025-02-25)

三明十種さん、 勿体無いです! 味わいの違う詩がたくさんあるのに。

0
fujisaki
fujisaki
レモンさんへ
(2025-02-25)

ありがとうございます。 同音異義語というのは楽しいですが、いい塩梅にしないとむずがゆい感じがしており、この詩でうまく解消できているか不安です。

1
fujisaki
fujisaki
ハツさんへ
(2025-02-25)

ありがとうございます。 そのように言っていただいて嬉しいですが、人生そのものを書けるほど僕には力がありませんので精進していきたいと思います。

0
fujisaki
fujisaki
はながみさんへ
(2025-02-25)

ありがとうございます。 カーテンが膨らむのは南風で、北風はカーテンをバタバタあおるイメージがあります、なんとなく。

1
fujisaki
fujisaki
佐々木春さんへ
(2025-02-25)

ありがとうございます。 年代に偏りがあるというのはそうかもしれませんね。僕もティーンのころはもっとたくさん書いていました。ものを書くことにはまる年頃というものは確かにある気がしますし、書き続ける人もそうでない人もみんな人生を頑張っていると思います。 コメントの件は僕もあまりコメント入れるタイプでないですし特に何も思わないです。誰かに読んでいただけたらそれでOKです。

0
fujisaki
fujisaki
三明十種さんへ
(2025-02-25)

ありがとうございます。 Pixiesはなぜか思いついて採用しました。特にPixiesである必要性はないのですがなぜか気に入っています。

0
レモン
レモン
fujisakiさんへ
(2025-02-25)

大丈夫です。 バッチリです! ありがとうございます。

0
羽田恭
作品へ
(2025-02-27)

>なまぬるい地下水となって >家の >基礎から、 >浸みてきて >ゆっくり枕が濡れる ここの表現が凄いですね! この箇所を読めてよかったです。 友を笑って送り出そうという作品はあまりないのでその点でも評価したいです。 彼は体に巻かれたカーテンと共に南風になって飛んで行ったのかもしれませんね。

0
熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
作品へ
(2025-02-28)

のちほど、コメントさせていただきます。 良い詩だったので投票します。

0
fujisaki
fujisaki
羽田恭さんへ
(2025-03-02)

ありがとうございます。 できれば笑って送られたいものですね

0
fujisaki
fujisaki
熊倉ミハイさんへ
(2025-03-02)

ありがとうございます。 お待ちしています

0
熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
作品へ
(2025-03-09)

悲しみをどうか、「さわやかな後味」の「レモンサワー」のようにしたい「あいつ」と、悲しみが「なまぬるい地下水」となって流れてきてしまう「俺」の対比が良いです。 また、黄色のカーテンではなく「黄ばんだ薄いカーテン」とするのも面白いです。「カーテン」は、華々しくは見送れないよと、目を閉じて悼む「俺」の瞼=遮蔽として現れていて、そこに、さわやかにしたい「あいつ」の「レモン」が染み込んだその折衷が、「黄ばんだ薄いカーテン」として出てきたのかなと思いました。「薄い」カーテンというのにも、どんな風にも靡き、生き生きと記憶に揺らめくイメージが浮かんできました。 良い詩です。

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メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
作品へ
(2025-03-10)

フォークギターだな。金属音のする生ギターがよく似合う。 マイク置いて静かに、それでも熱く歌う姿が眼に浮かびますね。 こんな文句はある程度歳を重ねてきた人じゃないと出てこない。 いいメロディ付けて聴いてみたい。 そんな印象に駆られます。

1
ぼんじゅーる
作品へ
(2025-03-10)

時に死が、深い悲しみだけでなく リンゴみたく、 さわやかな後味を残すことがあるように 果物と死は結びつかなかったので綺麗なフレーズに感じました。 りんごのような最期っていいなーと爽やかだわと。

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fujisaki
fujisaki
熊倉ミハイさんへ
(2025-03-10)

ありがとうございます。 細かく読んでいただき、また良い詩と言っていただき嬉しいです。

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fujisaki
fujisaki
メルモsアラガイsさんへ
(2025-03-10)

ありがとうございます。 私に作曲の才能はありませんので、ぜひお願いします。

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fujisaki
fujisaki
ぼんじゅーるさんへ
(2025-03-10)

ありがとうございます。 色んな死がありますよね。

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投稿作品数: 1