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落とし物
何もない画面に向かって キーボードの文字を打つ 指先だけからおれが生まれる 生まれ変わる、何度でも いつでも 海に沈めたグラスの中の水 青空に掲げて陽に透かして見る 輝いた 揺れて輝く さっきまで海だった、ただの水だ いまは 海かどうかなんて水には関係のない話 何度でも、死ぬ 何度でも きみの手を引いて歩く砂浜 まだ人が少ない場所 寒い風が吹いてくる 波は引いていく 繰り返し繰り返し 前に出る爪先 砂に少し埋める かもめ? きみが伸ばした指先のずっと向こうへ 遮られることのなさが おれに存在の絶対を信じさせている 時間の断面に映った無限 寄せてくる波に濡れて 歩く 足跡は消されておれたちは何も残さない 重さだけを繰り返す 何度でも 何度でも 世界に自分のものはない すべてを借りたら返す おれたちは宇宙の始まりから在る原子で構成されている 明滅する現象 透き通らない明るい灰色の空の下 生まれたおれがまたおれを生む 世界は数えられない きみもまたひとりだと数えられない 部分のないすべてとして だが、それはおれには関係のない話 貸し借りの帳尻は最初から合っている 水平線だ かもめじゃない
落とし物 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1704.6
お気に入り数: 1
投票数 : 7
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-11
コメント日時 2025-02-14
項目 | 全期間(2025/04/17現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
少しハードボイルドで哲学的で難しいけど、谷川俊太郎さんが、詩の中で水平線に落とし物をした、という内容を書いてらしたオマージュかなあとか思いました。なんとなく強い男を想像した。いつもは短編小説なのにゼッケンさんの詩を読めて新鮮!
1臨場感があって楽しい詩です。臨場感を生むのは、好奇心と観察能力だと思いますが、内容を読んでいるとよく観察し、好奇心旺盛なことがわかります。
0「重さだけを繰り返す」で、オーとなり、「きみもまたひとりだと数えられない」で、オオー!となりました。(落し物って何でしょう、生み落とすということなのかな。)そして、「貸し借りの帳尻は最初から合っている」はふだんのゼッケンさんっぽい言い回しだと思いました。とりわけ二行しか出てこない「かもめ」が印象的でした。確かカモン、カモンと鳴くんですよね。余韻の残るラストもいいです。
2この作品とてもすきですし、この方向性の作品もっと読みたいです。綺麗だった……。これから何回も読み返します。 >世界は数えられない きみもまたひとりだと数えられない 部分のないすべてとして だが、それはおれには関係のない話 貸し借りの帳尻は最初から合っている から、ドライな関係の男女を想像しました。そういう関係の男女を書いた作品を私が好きなだけで、誤読だったらすみません。 >さっきまで海だった、ただの水だ いまは これ寺山修司の『海を見せる』を想起しました。寺山の書いた"ぼく"には海を見せたいという切実さや湿っぽさがあった一方で、こちらの作品の"おれ"はすごく乾いている。何度でも生まれ変われると思っていて、おれがおれを産むことができるという全能感に支配されている。こういうひと、個人的にめちゃくちゃすきなんですが、水平線か、かもめかみたいな言い合いで喧嘩になって結果離れることになるんですよね。変なコメントですみません。またこういうの読みたいということを伝えたかっただけです。すてきな作品ありがとうございました。
0繰り返し、繰り返されたもの(もしかしたら)繰り返し、くりかえされなければならなかったもの、幾度も、 - 何度でも という表現が印象的でした。
0くりかえされる再生というのか、はじめ、スケールの大きな世界をえがいた超ドポップ・キラーチューンっていうふうに読んだのですけど、よく読むとけっこう怖い詩行があります。海って怖いし、デカくて深いプールも、わたしは怖い。個人的に、鉛みたいに「ゴロッ」としているのがゼッケンさんの特徴だと思っていて、作品がどう展開しても、そこは常にあるように思います。しかし、どんどん展開する力がある、というのは凄いことだ。
0「貸し借りの帳尻は最初から合っている」 ココ!ココがかっこいい!ココで終わりにしてほしかった。 (あくまで個人の感想です)
0>谷川俊太郎さんが、詩の中で水平線に落とし物をした、という内容を書いてらした うむ。不勉強な私。教えてくれてありがとう、湖湖さん、ゼッケンです。さっそく検索してみましょう→谷川俊太郎+水平線+落とし物 はい、出ました。「かなしみ」という詩らしい。ほほう、どれどれ。 かすむ、ぜんぜん私の作品がかすんでしまう。これはいけません、谷川俊太郎出したら、こうなるに決まってる。しかも、18歳の時の詩らしいですよ、これ。なんつーかなぁ、この気持ち、なんていうのかなあ、分かってたよ? 分かってたけどさぁ、そりゃ、私ごときが谷川俊太郎に敗北感さえ覚えるのもおこがましいんだけどよ? うーん、なんて言うの? あ! また見つかった、なにが? 絶望。 >いつもは短編小説なのにゼッケンさんの詩を読めて新鮮! ぐは! 短編小説とはっきり言いよった。薄目で読んでください。詩に見えてくるよ。
1わ、万太郎さんだ。初めてコメントもらえたかも。ゼッケンです、こんにちは、万太郎さん。 >臨場感があって楽しい詩です。 >内容を読んでいるとよく観察し、好奇心旺盛なことがわかります。 コメントが夏休みの絵日記に小学校の先生がつける風。ぐぬぬ、万太郎さんに小学生扱いされるゼッケン。が! さもありなん。万太郎さんのあの鬼気迫る怒れるユーモアに比べれば、ゼッケンの詩など技術云々ではなく児戯に等しい、どーん! っていう。。。うん、もうちょっとなんとかしてみるよ、って思った。
1>「重さだけを繰り返す」で、オーとなり、 >「きみもまたひとりだと数えられない」で、オオー!となり >そして、「貸し借りの帳尻は最初から合っている」はふだんのゼッケンさんっぽい言い回しだと思いました。 最後はオオオー!!ってならんのかい。1.5Aさん、こんにちは。ゼッケンです。「ふだんの」って。どういうこと? まったく。ほめもせず、けなしもせず、ただ事実のみを淡々と。いつもと同じだね、と。 >「かもめ」が印象的でした。確かカモン、カモンと鳴くんですよね。 なつかしい。それはブンゴク殿堂入りの一条さんの「鴎」ですね。一条さんは別にdebaserさんとも名乗っておられました。ちなみに殿堂入りは一条さんと田中あつすけさんのおふたり。うーむ、つい遠い目で過去を振り返るゼッケン。思えば遠くへ来たもんだ。ちがう、来たんじゃない、置いていかれたんだ。ひたひたになるまでセンチメンタル。
2>この作品とてもすきですし、この方向性の作品もっと読みたいです。 だが断る。ゼッケンです、ハツさん、こんにちは。だって、書けないって。書けたらいくらでも読んでもらいたい。 >寺山修司の『海を見せる』を想起 この作品のコメント欄、谷川俊太郎、一条、寺山修司とスゲー名前が出てきますが、それ自体はありがたくもあり、越えられない壁をつきつけられているようでもあり、けれど、それ以前に、いったいぜんたい、私はもはや手垢のついたモチーフしか見つけられないのか? 日の下に新しきものは無し。あ、私、いま、逃げようとしました。新しさから逃げちゃだめだ。それが見つかるかどうかは別としても。。。あ、また見つかりそう、なにが? 絶望が。 >水平線か、かもめかみたいな言い合いで喧嘩になって結果離れることになる そんな喧嘩のお題があるとは。ハツさん、ハツさんの方が面白いよ。。。
1>繰り返し、繰り返されたもの シニフィエ、シニフィアンみたいな感じ? どっちがどっちかすぐ分からんようになるゼッケンです。ryinxさん、こんにちは。「繰り返し」という行為は「繰り返されるもの」に内在する性質なのか。だとすれば、それ自体が必然として「くりかえされなければならなかったもの、幾度も」となる。ありがとう、存在を感じていただけのものが、見えた気がする。錯覚?
1>鉛みたいに「ゴロッ」としているのがゼッケンさんの特徴 たしかになぁ。いつまでも垢ぬけないんですよね、私。理屈でしかモノゴトみれないっていうか。いや、その理屈が洗練されないのが原因か? ゼッケンです、おまるさん、こんにちは。突き抜けられないで底に溜まる一方というね。洗練されたおしゃれにあこがれる中年、ゼッケン。這いつくばって生きてます。 >しかし、どんどん展開する力がある、というのは凄い そうそう、海底で這いつくばって生きてた奴らの中でもさらに要領の悪かったのが浅瀬に追いやられ、そこで肺呼吸を獲得し、重力に負けない心臓をつくり、やがて、陸上へと。って、日の目が見れる作品になるのにどんだけこの先、展開しなきゃならんのだよ、これ。先ながぁい。
1>「貸し借りの帳尻は最初から合っている」 ココ!ココがかっこいい! ようやく、日の目を見れる可能性を感じさせてくれるコメントがきた。紅井ケイさん、こんにちは、ゼッケンです。 >ココで終わりにしてほしかった かー、惜しい! 展開しすぎてあと蛇足! 過ぎたるは及ばざるがごとし。最適解がいつまでもみつかんねえ。
0指先から広がる世界があるなんて、なんてずるいんだ、どんどんまるで潮が引くように、満ちるように、詩の世界は裾野拡げて我々を魅了しますね。
0>指先から広がる世界があるなんて、なんてずるいんだ そう、ずるい。音楽も動画もPC1台あれば指先で作れるようになって、ある意味、詩がそれらと同じ土俵に立ったという。曲が作れない、絵が描けない、だから文字だけの詩をやってるんじゃないの? とはもう言わせないし、こっちも言い訳はきかない。他のジャンルではなく、なぜ、詩を選んだのか。音楽やアニメとは互換性のない詩、つまり音楽よりアニメより面白い詩を書ける人だけが詩を書くようになるんでしょうね。このさき。創作ジャンルとしての詩の面白さが再確認されるんじゃないかな、って思っています。
2ゼッケンさん、はじめまして。 突然のコメント失礼します。 二藤と申します。 ビーレビュー内でVTuber堕天使ちゃんとしてサイト内の作品を紹介するツイキャス配信を行っております。 つきましては、 もしゼッケンさんがお嫌でなければ、こちらの『落とし物』についてのラジオをビーレビのYouTubeチャンネルにあげさせていただきたいのですが……。いかがでしょうか?(ハツさんと語るという企画になっております。)
0ゼッケンさん、そうですね。 色々と批判はされども、結果的には他のジャンルより突出して自由であることじゃないかなと思います。
0明滅する現象 透き通らない明るい灰色の空の下 生まれたおれがまたおれを生む 言葉、言葉、言葉、ですね。
1>もしゼッケンさんがお嫌でなければ、こちらの『落とし物』についてのラジオをビーレビのYouTubeチャンネルにあげさせていただきたい おれはいいけどゼッケンが何て言うかな? 男子が一度は言ってみたい矢沢永吉の名言、言うたった。ゼッケンです、はじめまして、二藤さん。だが断らない。光栄です。ぜひ、この作品をハツさんにいじり倒してもらいたい。
2>他のジャンルより突出して自由 同意します。そして、詩はなぜ自由なのか? だって、読んだ人間が詩だと言えば、なんでも詩になってしまうからさ。
1>言葉、言葉、言葉、 まさに大規模言語モデル。言葉は言葉から出来ている。 あつすけさんが言うと、これが詩になる。 田中宏輔「言葉」 言葉、言葉、言葉、
0ゼッケンさん、確かに。 読んだ人間が詩だと言えば、なんでも詩になってしまいますよね。 それが詩の良いところですよね。
0ゼッケンさん、ご返信ありがとうございます。 快諾いただき感謝いたします。 2月15日(明日)15時よりYouTubeにて動画をアップロードいたしますので、もしよろしければ見てくださると嬉しいです! どうぞよろしくお願いします。
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