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moment
くりかえし歩いた道の 一瞬を思い出しては 粗くなる景色に 佇む固有名詞を 撫でる きみのとても黒い瞳 それでいいとおもったけど 自転車をこぐ彼女が 後ろからぼくを追い越す いくつもの一瞬に スカートはひるがえり でも見えなかった あしたとかみらいとか 最初からないものが ほしくて またべつのきみに会うまで あれは四月の 鴨川、 だった気もする 行きにも帰りにも 窓からなんども なんども、なんども、 見た えいえんの緑が 緑であること以外 わからないまま、流れて ぼくはもう疲れました ごめんね きっとこのまま死ぬけど 彼女はぼくを 救ってくれたのではなく 愛してくれたのでもなかった ただそこにいた ただそこにいてくれただけ
moment ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 914.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-01-04
コメント日時 2018-02-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
全体の雰囲気がとてもすきです。
0抽象的な前半から真ん中に挟まれた四月の鴨川が後半凄く効いてきますね。 改行の間が少し詰まった感じがしましたが雰囲気は成功していると思いました。
0用いられている語彙や思想が、詩に適合していると感じました。 読みやすかったです。
0ひらがなの使い方が素敵ですね。流れてゆく景色のなかのmoment。優しくて、とても好きです。
0中学生の授業の時、美術の教師が、裸体の美女の絵画「オダリスク」を見せてくれました。 男子たちは様々に反応しながら観ていましたが、翌日から先生はその名のイケベをもじって、 スケベ先生と呼ばれるようになりました。 私たちは同じ経験を何度も何度も繰り返し、積み重ねて ようやく一つの認識を得ることができる、、 それまでは、その経験がなんのためにあったのか、何故自分に訪れたのか、 わからない。 そんな混沌とした時間が生きてきた大半だったと振り返るとき、 その最初の経験を、小学校や中学校の先生たちは、 理解されないことを知りつつも、 最初の経験として伝えようとしてくれていた、と思い返します。 >えいえんの緑が >緑であること以外 >わからないまま、流れて >ぼくはもう疲れました >ごめんね >きっとこのまま死ぬけど ここに若い混沌の、けれども希求を秘めた時代が描かれていると、胸を衝かれました。 とても心に残る作品です。
0すごく好きです。
0くつずり ゆうさん、蛾兆ボルカさん、花緒さん、5or6さん、仲程さん、奇偶さん、杜 琴乃さん、fiorinaさん、アルマさん。お読みくださり、さらにコメントまでして頂きありがとうございます。「なんとなく好き」のようなコメントが多く、不思議な気持ちです。こういう感想の書き方が最近のB-REVIEWのトレンドなのでしょうか。それとも私のこの作品がそういう感想を集めやすいだけでしょうか。強調しておきますが嫌味ではありません。素朴に気になっただけです。 蛾兆さんへ。「この詩は、詩的技巧によりパンチラを描くことに成功していると思います。それは手柄だと思います。 ここでは小説的描写を使わず、「でも見えなかった」だけでいくつものことや感情を表現しています。 そして1枚の写真みたいに、記録する。」というのは、嬉しいコメントでした。特に「小説的描写を使わず」の部分が。 fiorinaさんへ。「私たちは同じ経験を何度も何度も繰り返し、積み重ねてようやく一つの認識を得ることができる」正しくその通りだと思います。核心を衝くコメント、ありがとうございました。
0沢山レスがついているけれども・・・ムードとか、雰囲気に惹かれる、という感想も多いようです。 〈粗くなる景色に 佇む固有名詞〉 記憶の中で、歯抜けのようにモロモロと景色が崩れていくような不安な感じ、あるいは、モザイクがかかったように 世界が非日常的に遠のいていく、そんな感覚を想像しました。 大好きな人との一瞬を思い出したい。でもそれは、自分にとってつらい、思い出したくない一瞬でもある。 それゆえに、彼女との思い出の景色が、粗く、崩れていく・・・その景色を支えるように、杭を打つように 「そこにある」固有名詞。その、存在感。後ろから来て、追い越していく。振り向かない、彼女。 京都の鴨川ぞいを歩いた時、夏だったのですが、緑が色とりどりで驚きました。 緑の色も濃いのですが、木の種類が沢山あるのです。一種類ではない。 京都、という町の多様性を象徴するような木々の植樹だと思いました。余談です。
0沙一さん、まりもさん、コメントありがとうございます。感じてもらえるところがあったようで嬉しいです。
0この詩に教えられたことがありまして。 とある経験をする。その瞬間の、感情や意味や価値や作用などを理解することは、常に事後的に起こる。 その上、生きている間ずーっと、人間は無数に「経験」し続けていて、それらを網羅して理解することは決してできない。 それでもその中から選びとられ、繰り返し思い描かれる瞬間は、何度も「経験され」、少しずつ再編集されていく。複数回の理解全体が、ある対象に対する意味づけをつくりあげている。 ……というような雑感が読んでいて呼び寄せられました。新しい発見でした。ありがとうございます。 この詩が表現しているものは、一瞬一瞬のことであると同時に、時間軸をもった重層的な感覚なんだろうなぁ、と。 で、で、でなんですが、そんな特権的一瞬として切り取られるのが、 パンチラ未遂。 この気持ちが全然わからない。詩情とかノスタルジーとパンチラが結びつけられた作品も観たことはあって、知識レベルでは了解してはいるのですが、「へー! そんなに?」と改めて思ってしまいました。 これはもう、私が私である限り、理解できないことの一つなんだなぁと、しみじみしております。
0緑川さん、どうもコメントありがとうございます。 パンチラの良さ分かりませんか。しかし分からないなりに緑川さんの心に何かしらを響かせられたようでうれしいです。
0>いくつもの一瞬に >スカートはひるがえり とてもいいですね。スカートのひだに一瞬の積み重ねを見るというだけでいい。それが見えないのもいいですね。その見えない事にも色々な重なりがあるという事もいいです。後半は流れちゃった印象で、僕の興味から外れてしまったので、コメントは控えますが、スカートの解釈が気に入りました。
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