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白絶の火
火葬の夜にそばにいたいと提案します 宝石の重さで内側を計るのはやめにして 野晒しの姫君がドレスを失えば 白絶る体に火がたゆたう この国の誰かが葬送されても しあわせな国がましろになることはないから 国民は今日もどこかで 千々に祝いの歌を響かせるのだろう 始発する神様に乗り遅れた しあわせな国のぼくたちは 日常にやさしさがなくとも 生きねばならない 君の温度が発火点をこえてゆく たゆたう火が近づきすぎた僕の内側に そしてこころが冷たくならないように 君擬きの魂を焼き付ける 祈りの純度は同じでも 不束な祈りと後ろ指をさされるのは 命は系列的にしか広がっていけないから だからって/そのために 君と食事をして、暮らしていたわけじゃない 綯交ぜの命ばかりがあまねく パレードの行列に 列席することができない人たちは しめやかな激情を抱えて 白夜で眠ることの美しさを見つけている 目の前で君が白虎に喰われても しどけない僕の内側には たしかに君の魂が擬き宿るから 白絶の明滅する火の中で、白虎と踊り さあ笑え
白絶の火 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 846.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-12-12
コメント日時 2017-12-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「しろたえ の ひ」とよんでください。
0二個優さま はじめまして。 「火葬の夜」とは 火葬される前なのか、後なのか 若しくは 燃えさかる火のなかに朝昼夜という 時間があるとすれば 終わりのほう なのか などと囚われてしまいました。
0はじめまして。この詩は「死」「火」「童話」のイメージを、夜の暗闇やドレスの白との対比や、火葬の熱と体温の記憶との連想などを通じて強いイメージとして表せていると思いました。また、死の絶対的離別への悲しみのようなものが、こうした連想や対比の中でよく伝えられているような気がしました。 ただ、どこかこの詩が実際的に響くところに欠けている気がして、つまりこの語り手は「君」が死んでしまった割には、どこか冷静的すぎるように感じます。例えばこの詩では「宝石の重さで内側を計るのはやめにして」というような言い方で、日常とは違ってイメージが上手く作用するように言葉を選んでいると思うのですが、そうするとこの語り手は「君」が死んで火葬されていく前でそんな冷静なことをしているわけで、そんな薄い感傷でしかなかったのだろうか、という風にわたしとしては考えてしまいます。第四連や第五連の場合は、その感傷が実際に存在しているように感じるのですが、その他の幾つかの部分で技巧的で、感傷に冷静さが優っているように感じました。
0一行めのインパクトがかなり大きいので、くさかさんが提出している違和感、というかとまどい〈つまりこの語り手は「君」が死んでしまった割には、どこか冷静的すぎるように感じます。〉が生まれるのも、自然なことのように思います。作者としては、こうした読み方が生まれる「構成」でよいのかどうか、組み替えていく方がよいのか、そこが思案のしどころ、ということになるでしょうか。 一行目、火葬という言葉の強さのゆえに、実際の死を連想しますが、すぐに〈提案します〉という言葉が置かれて、まだ起きていない死、起きていない火葬に対する準備を「提案」している、ということがわかる。そして、そのシチュエーションを受けて次行が置かれる。宝石、ドレス、というドリーミーな世界へ誘うイメージ、〈白絶る体に火〉という不思議なフレーズ・・・白い裸体が火に包まれているイメージ(たとえばワーグナーの楽劇『二―ベルングの指輪』「ワルキューレ」の中で、炎に包まれて眠るブリュンヒルデのイメージ)を、私は連想しました。 〈君の温度が発火点をこえて〉というフレーズなども、恋愛の白熱、象徴的な「火葬」をイメージする、のですが・・・君、が発火するのか、君への想い、が発火するのか。君を「火葬」してしまいたいのか、君への想い、を火葬してしまおう、ということなのか・・・というような、君と僕との関係性が、なんとなくつかみがたい。 それは、国民、ぼくたち、というように対象が拡張される2連、3連の読み方にも関係してくると思います。2連、3連は、社会的な葬送、政治的な状況へのメタファーを含んでいるようにも見えて、何度か読み直したのですが・・・この国を「ましろ」にするために、誰かを犠牲とする、というような・・・。もちろん、この国が真白ではない、「黒い」方向に進んでいる、という、社会批判的な意味を重ねて読むべきなのか、とも思った、のですが・・・ 僕と君との個人的な葛藤が、国民のレベルまで拡張されている、と見る方が自然なのかもしれない。 パレード、白夜、白虎。白のイメージ、祝祭のイメージが、ディズニーランドのエレクトリカルパレードのようなドリーミーな世界への連想も誘う、のではあるけれども・・・〈命は系列的にしか広がっていけない〉というような、生真面目で重みをもったフレーズとのバランスが、私の中では、どうもうまく取れない、つかめない。ウイットを利かせた、ある種、omnibus的な作品、と見るべきなのかもしれないけれど・・・
0まりもさんの感想読んで、お姫様に恋をした男の話なのかなと思えました。「宝石」がわかんなかったのですが、お姫様の事を付けている宝石の重さで量るのではなく、心の重さ、つまりは一人の人間としてみたいみたいな感じかなぁと。落ちぶれたお姫様は死ぬ寸前で、だれもその死に対して何も思っていない。とか、登場人物がつかめると一気に楽しめるのかなと思います。多分「火葬の夜にそばにいたいと提案します」と言った語り手が誰であるか分かると、そこから色々想像を広げていけるようになっているのかなぁと。
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