クリニックの待合室には
体重三十キロ台ぐらいの女性がいて
針金みたいに細い脚で
カクカク貧乏揺すりを続けていた
坊主頭の青年が
母親らしき人に付き添われ
大声でお経を唱えながら
診察室へ入っていった
おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ
一人カラオケで
三時間歌ってから
もう一時間延長しようとしたら
待ってる客がいるからと追い出された
ゲーセンで一人プリクラ撮影会をやり
ダンスダンスレボリューションもやろうとしたが
同世代の男の子たちが集まってきたので
回れ右して帰った
おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ
満員電車の中で
痴漢に遭った
助けを求めたかったが世の中そう都合よく
正義の味方なんていない
バスの中はバスの中で
いちゃついてるカップルがいて
八つ当たり気味に
後ろからシートを蹴った
おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ
家にたどり着くと
びしょ濡れの制服を脱ぎ捨て
シャワーを浴び
ファイナルファンタジーを夜までやった
それから薬を飲み
鞄の底から百均で買った
ビニール紐を出し
部屋のドアノブに縛りつけた
おでこはニキビだらけ
手首は傷だらけ
せめて夢の中で
狐と踊れ
作品データ
コメント数 : 20
P V 数 : 1069.1
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-01
コメント日時 2025-01-01
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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音韻 | 0 | 0 |
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閲覧指数:1069.1
2025/01/18 16時48分10秒現在
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手首は傷だらけ ぼくにもあります。
0僕にも傷あります。
0そうねそうよねぇぇぇって思わさせるの上手いなぁぁーと、時代感じさすWord挿入させるんも上手いなぁぁぁーと、あの時代のメンヘラホリック感が…キリキリしてるよねーわたしごとで何ですが高校生まで顔中にきびだらけだったんすよーいやでいやでたまらんかったねー卒業して家を出て水が変わって酒煙草しだしたら治ったけどねーなんか割に合わないなーと思ってましたよー僕も狐と踊っていたんだと思います、はい。その踊り方はおいおいこれからの僕の詩の中で
0コメント、有り難うございます。 そうでしたか、としか言いようがないのですが……。
0コメント、有り難うございます。 結構みんな同じような体験をされているのですね。
0コメント、有り難うございます。 お褒めの言葉、嬉しいです。 自分は中学の頃がニキビ全盛期でした。
0コメント欄が面白い...笑 「人は何にもしてくれなーい!!」 ...といえば、まあ、それ言っちゃったらおしめえですけどね。爆 「震えて眠れ」じゃなくて、「せめて夢の中で狐と踊れ」 なにを書いてもメロがあって、綺麗。そのうえである種、独特の不気味なものを書かれる。面白いシリーズです。
0淡々と続く事実のような描写に、非常にリアリティを感じました。詩的なイメージや言葉を使わず、日常的な言葉で詩を綴るその手法には、書き慣れていることが感じられます。 >おでこはニキビだらけ >手首は傷だらけ >せめて夢の中で >狐と踊れ 引用したこのリフレインからは、「間」以上の意味や効果を見出すことができませんでした。単なる空白行として表現しても、十分に「間」の効力を発揮していたと思います。しかし、その繰り返しが逆説的に、語り手の心の中で何かが変わらず繰り返されていることを示しているとも捉えられます。
1コメント、有り難うございます。 「なにを書いてもメロがあって、綺麗。」とは光栄です。 実際、好きな曲のメロディに合わせて書いたりする場合もあります。 それにしても、コメント欄が「人生相談欄」みたいになってしまうのは考えものですが……。
0コメント、有り難うございます。 おでこはニキビだらけ云々のリフレインは特に深い意味はなく、 音楽で言うとサビみたいなものでしょうか。 語り手にあまりいいことがなさそうなため、「せめて夢の中でぐらいは」みたいなニュアンスです。
0とても、言葉選びが面白いだけに、類さんの指摘にある「リアリティ」に引っ掛かってしまう。 最近の私の中のトピックというだけなんですが、「実現可能性」の外に出ようとしているかどうかを、詩の中で見ています。要は、「夢の中で狐と踊る」って、現実の私たちでも数重ねれば見れそうな夢だなと思ってしまいました。もちろん、「夢」や「狐」が何かの比喩ともとらえられるかもしれません。しかしそのまま受け取ると、他の連の、鬱屈とした生活に圧迫されてからの、命の迸り(=実現不可能そうな、飛躍した想像)がもっと欲しいと思ってしまいました。 リフレインの部分以外は、好きです。強いていえば、ビニール紐のくだりは、「死の世界=夢の世界」と安直に結びつけられたように見え、作品が小さくまとまったように感じました。
0一見して現実逃避の詩だと自分の中で読み取れました。 行ごとにある おでこはニキビだらけ 手首は傷だらけ せめて夢の中で 狐と踊れ というフレーズから、現実を忘れて夢に溺れたいという作者の願望が生々しく表現されているように感じました。フレーズの入れ込み方がうまいですね★
0コメント、有り難うございます。 ビニール紐のくだりは誰も触れていないので、 「あらら、ここ伝わってないのかな?」とも思っていたのですが、そうではないみたいで安心しました。 要は、(精神科と思われる)病院通いしている、自傷癖のある、一少女の物語です。 「死の世界=夢の世界」と言うより、「限りなく死に近い夢の世界」とでも言いましょうか。 そこの狭間が最も甘美と言うか何と言うか……。
1コメント、有り難うございます。 ズバリ、現実逃避です。 おそらく彼女にとってはカラオケやゲーム、そして自傷行為の方が現実よりリアルに感じられるのでしょう。 ちなみに、死ぬ間際(死に方にもよりますが)に見る夢は、この上なく心地良いらしいですね。
1ユーモラスな詩だと思いました。リズミカルで、何か思想を押し売りするわけでもなさそうですし。おでこはニキビだらけみたいなフレーズが繰り返されるのは何か意図があるに違いないと思いました。
0コメント、有り難うございます。 「ユーモラスな詩」だなんて、初めて言われました。 でも、それはそれで嬉しいです。 ニキビと言えば、昔は「青春のシンボル」(死語?)なんて言われてましたが、 最近の学生の肌はツルッツルですね。謎です。
0一人ぼっちで精神状態は決して良くはないと思わされるのですが、それでもこうした生き方を続ける彼女は、それなりに楽しくやっていると思うのは気のせいかな。青春ってこういうもんだと思うし。
0コメント、有り難うございます。 そうですね。 彼女は彼女なりに楽しくやっているのかも知れません。 一人ぼっちだろうとクリニック通いだろうと、 多かれ少なかれ悩み多きなのが青春なのですから。
0現代に生きる闇を抱えた若者の日常が、リズミカルに描かれていて少し悲しみを感じながらも淡々と生きる苦しさをリアルに感じました。 もう、いいだろう、もう、じゅうぶん苦しんだ、そんな気持ちが伝わってきました。 狐と踊れ、現実世界ではつらかったのかなと思いました。それで、何処か遠くの方に逃げたいのかな。わかる気がします。
0明けましておめでとうございます。 気持ちが伝わったとのことで、嬉しいです。 コメント、有り難うございました。 今年も宜しくお願いします。
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