名もない人が助けてといった
その声は雑踏の中へ消えていった
名のある人が助けてといった
その声は色々な人に拾われ、その人は助けられた
平等
その言葉が嘘で堪らない
結局は何もできない
誰かが電車に飛び込んだ
朝の通勤ラッシュの時間に
その中で心配をしているのは何人いるだろうか
通勤中のサラリーマンの溜息と怒号が聞こえる
誰に怒っているのだろうか
電車で赤ちゃんが泣いている
それに対して怒鳴っている人
そして謝る親
みんな何に怒って
何に謝っているんだろう
この世は平等ではない平等で溢れている
平等でありたいと願うほど本質から遠ざかる
そこに気付いたとき少し大人になった
けど、大切な何かを失ったような気もする
それが何かは分からない
今日もまたどこかで平等という言葉を聞くだろう
そのたびに何か考える人がいるだろう
そして今日もまた誰かが大人になっていく
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 2805.4
お気に入り数: 2
投票数 : 9
ポイント数 : 2
作成日時 2021-12-14
コメント日時 2022-01-27
#現代詩
#縦書き
#受賞作
#受賞作
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:2805.4
2024/11/21 23時38分17秒現在
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とても佳い、と思いました。 私憤を懐くのは簡単なことでございます。然れども。 御作は声無き誰かの為に、他者の為に(おそらくは)、憤り、社会や制度といった枠組み、構造に対して疑問を呈していらっしゃる。中々できることではございませんよ。 その心映えを、これからも大切になさってくださいます事を、心より願い已みません。
1ああ、共感… そのひとことです。 最近はより「平等」とか「人権」という言葉でそれらを蹂躙する出来事が多いと感じております。 いじめ事件(旭川や名古屋の)報道では加害者という言葉を避けて 生徒 とか言わせたがりますが、明らかに加害者は加害者だと思っています。 わたくしごとですが、昨日デパートで赤ちゃんの泣き声を聞きました。授乳室がないらしく、狭いベンチでミルクを飲む赤ちゃんと体を屈ませる若い母親。 まだまだふにゃふにゃした月齢の赤ちゃん。 なぜデパートに赤ん坊を、という悪口も聞こえました。 内祝を買いにきたのかもしれないし、赤ん坊に必要なものを買いにきたのかも知れない。赤ん坊連れの外出は大変だが、それでもくるために必要な理由があったのだろう。 わたしは柔らかそうな赤ちゃんの声を懐かしく聴きましたが、そうじゃない人もいることをまざまざ感じました。 そんな個人的な感想を思い出す程度に深い詩だと思い読みました。
1平等即差別 ですね。求められるべきは公平さでしょう。
1ちょっとこの詩とはかけ離れる言い方になるのかもしれませんが、「平等」の構造的パーツが時と所を変えて、嵌まり所を探しているから、不平等を感じるのかもしれないと思いました。自分固有の平等感が迷子になって叫んでいるのかもしれません。自分ではない人固有の平等感が自分の椅子に突き刺さって居るのかもしれません。「親」の意味が再び問い直されるのかもしれません。大人になって行く誰かが希望のLEDを照らすのかもしれないと思いました。
2この作品では以下の3つの具体が挙げられています。 1、名もない人が助けてといった 2、誰かが電車に飛び込んだ 3、電車で赤ちゃんが泣いている そして、これらの3つの具体を”平等”という概念で抽象化されています。 “平等”とは、辞書をひくと、「差別がなく、みな一様に等しいこと」とあります。 この場合、1は平等の問題だと思いますが、 2と3は平等という概念とは少し違うのではないかと思いました。 この2つを抽象化すると、”他人の気持ちを感じとる”、”思いやり”、”共感” といったことになるんじゃないかと思いました。 そう考えた時に、1の具体をより掘り下げるか、 もしくは1とは異なる"平等"の具体を挙げる方が、 より作品のテーマに合った内容になるのではないかと思いました。
3テーマそのものは詩としてもTwitterのツイートでも見たことのある気がする内容。しかし文章に無駄がなくテーマがストレートに伝わってくる。そして最後の一行がこの作品を「よく見かける内容の詩」とは違う次元のものに変化させていると思います。テーマや文体から若い方かなと思いましたが、これからまだまだ成長していきそうで楽しみです。
1世の理不尽さに単純に憤るのではなくて、何とか妥協点を模索している詩だと思いました。
1大切な何か、は決して無くなりませんよ。 何か心配ですか?
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