あいつの目ん玉はよく憶えてる
「今朝起きたら死んでたのよ」
そういやいつだって濁ってたんだ
百円で買った命だし
そりゃそうさ唐突なもんだ
あいつの目ん玉はよく憶えてる
帰省するたびに名前を忘れていた
「浮かんだまま動かなくなってさ」
あれは人間を分かってやがる
俺にだけ餌を促さないあいつの目は
たった一人で何を思うか
あいつも孤独だっただろうか
仲間も先にいってしまって
一匹ゆらゆら泳いでた
いつだか久々に見たときに
身体が白くなっててさ
なんだかブヨっとしてるみたいで
あららと見つめてみたもんだ
白くなって変わり果ててもよ
そうだあいつは相も変わらず
目ん玉濁ったままだった
その時また目が合ったのだから
何故だか俺は視線を泳がせ
逸らしたままに終わってしまった
終わってしまった
あいつの目ん玉はよく憶えてる
「今朝起きたら死んでたのよ」
あいつは俺を知っていた
見透かしていたんだあいつはよ
俺にだけ期待もしなかったあいつの目は
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 1887.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2020-09-08
コメント日時 2020-09-25
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:1887.6
2024/11/21 22時42分56秒現在
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金魚って人に勝手に飼われて勝手に死んでいきますよね。白く濁った金魚の目が私を見つめてくるような感じがします。屋台が終わった後の金魚の死体を思い出しました。
1今朝起きたら死んでた奴の目がいつまで経っても追いかけてくるような気配がしました。 名前は忘れてしまうのに、その感覚が面白かったです。
1>あいつの目ん玉はよく憶えてる なんで目なんですか。
1これが金魚でなかったら、、、 あるいは犬、あるいは猫。 あるいは、とある老人 あるいは、、、、
0自分もよくぼうっと動物の目に思いを馳せてしまいます。死んだ金魚が自分のことを認識してるのかなんてわからないけど、なんだかわかる気がするのは、自我が金魚の虚ろな目と溶け合っているからなのかな、と思いました。自分もまた、この時虚ろなような…
1コメントありがとうございます。 そういえば私の実家にいた金魚も、勝手に飼われて勝手に死んでましたね。 何というか、無関心でもそれなりに触れ合える距離感だった気がします。 拙作ですが少しでも何かを思い出すきっかけになれたなら、書いて良かったと思えます。
1コメントありがとうございます。 金魚って言葉でコミュニケーションを取ることもないので、名前が中々浸透しないんですよね… まあ、だからこそその姿形が印象に残る気もします。 面白いと感じていただけて良かったです。
1コメントありがとうございます。 なんで目か、といっても何となく印象に残ってるからとしか答えられそうにないです。 「あ、今目が合ってる」と思える瞬間は本当に何度もありましたから。
1コメントありがとうございます。 金魚と敢えて明示しない方が良いのではないか、と実は投稿する直前まで迷っていました。 金魚のことを書きたいという衝動に負けてしまいましたが… 「あるいは」と読者によって対象が変わるように書けたならと、正直に言うと今も考えています。
1コメントありがとうございます。 > 自我が金魚の虚ろな目と溶け合っているから… 何だかしっくりきました。 感想を頂いて改めて感じることもあるんだなと、強く実感しています。
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