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ザクロの花嫁
僕が信じられるのは無論 僕の世界のみ 君がスプレーで色を付けても やがては還っていく緑色へ 欲しくて欲しくて仕方がないものは、魔術で手に入れた(これは比喩でもなんでもない)まだ 手に入ってないものも、いつかは手に入ると信じて. 似合わないピンク色の、石のブレスレットを左腕につける 何だって信じる 君を手に入れるために 君の傷を治せると信じてる 僕はアメリカに行かない 君が僕のうちへ来るんだと 信じてる 君は花のように無害なものじゃない.土のように痛々しくて健康で 糞を手に入れて肥沃に 温かく、ふくれ上がった その中を、僕は蠢く やがて芽吹いて、細い首を太陽にもたげ 長い手足を雨に曝して洗い始める 君はいつかそれを、一人占めにしたいとおもうだらう いつか 何もかも捨てても、自分の中に覆い隠してしまいたくなるだらう 僕の赤い実の中は血で溢れている 頭蓋骨のフタを取ってみれば 考えも何もなく ただ血でいっぱいに染まっている そこから百合の花が立ち上がって、すっと咲く それはブーケになって僕の手に握られる 僕は笑っている 隣に小さな君がいる 袴を穿いて 僕たちは一生 一生 裏切りの上に立って 一生 そばに居続けるのだよ 君 わかるか そうなんだ そうなるんだよ 血の溢れる僕の頭の中の、輝かしい 未来
ザクロの花嫁 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 903.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-18
コメント日時 2017-06-24
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
花織さん そうです。 この文字列には文字列が意味する以上の潜在的なものが非常にですね、たくさん詰まっております。 探検を始めてくださって、ありがたい限りです。
0僕は本作を最初に読んだ時に、ヒモの詩だと思ったんです。かっこいいけど悪い男に騙され続ける女みたいな感じ。 でもよく読んでみると、逆で、エッチなおねぇさんに誘惑されまくって永久的に貢ぎ続ける男みたいな詩なのかなと思って、面白いとなりました。 そこに至るまでの細かい格闘については、夕方の放送でゴチャゴチャやったので良かったら録画を見てくださいませ(良かったらこれをお読みの皆さんも是非)http://twitcasting.tv/bungoku_was/movie/381551267# まず大前提のなるのは「 僕 = ザクロ = 花嫁 」です。この図式を忘れてはいけません。 それで、色々読んでて面白いなと思ったのが、ザクロっていう植物の使い方が多層的であるということ。まず、最初の一連で「肌」の話が出てきます。スプレーで色をつけても、緑色に戻っちゃうよっていう所。 >僕が信じられるのは無論 僕の世界のみ 君がスプレーで色を付けても やがては還っていく緑色へ 次に、土を肥やすのは君で、その栄養を吸って綺麗になるのはわたし、そんなわたしを独り占めしたくなるのは君ってうシーン。 >君は花のように無害なものじゃない.土のように痛々しくて健康で >糞を手に入れて肥沃に 温かく、ふくれ上がった >その中を、僕は蠢く やがて芽吹いて、細い首を太陽にもたげ >長い手足を雨に曝して洗い始める >君はいつかそれを、一人占めにしたいとおもうだらう ここら辺、ザクロちゃんの官能的なテクニックみたいなのがムクムクしていますね。最初読んだときはザクロ君で読んでいたので、ムキムキの男がシャワー浴びてるシーンだなと思って笑いましたが、ザクロちゃんという風に考えていくと、中々艶美なおねぇさんに見えてきます。 ザクロという植物を通じて語られる君と僕の関係。 ザクロという賞物を通じて語られる僕の身体、官能表現というのか。こういう描き方が面白い。 ザクロの実というと、まず思い起こすのは頭をかち割ったときの脳に例えられる描写、それから乳房。そこに君によって育てられるザクロ、僕、花嫁。みたいな関係性がここに見て取れて面白いです。 植物を飼うっていう行為にひらたく言えば人間でいう「ヒモ」という関係を見立てるのは面白いなぁ。多分結婚しても絶対に飽きないっていうのは、植物っていうのは実をつけてなんども生まれ変わることができるからだとおもうんですよね。つまり、いつ何時も若返る。同じ「僕」という存在。それが人間の脳に見立てられるザクロの実の比喩とリンクして僕には見えます。(中々、どう言葉にすればいいのか悩みますが) 永遠に約束されたブーケパスというのが、ザクロを育てる君の手が止まらない限りは延々に約束されているというこの関係性。僕が君を魅了する限りはザクロの実を育て、その実からザクロの実が生まれるという円環は終わらない。ザクロちゃんは何度も同じ若さ、美しさで、結婚すると同時に実を産み捨てて死ぬ。君は花嫁と結婚する為に土を肥やし、美しいザクロちゃんを育てる。という終わらない結婚式。 いやー、凄いですね。植物と人間が結婚するという話(この読みはぶっちゃけあかん感じもするのですが!)、そのむちゃぶりがザクロ一つでつながっていう感じがします。
0ザクロ、からペルセフォネ―の物語を連想したのですが・・・この作品では、パックリと口を開けた、傷口、のような果実のイメージが優勢であるように思います。 一連目は前奏のようなイメージでしょうか。〈欲しくて欲しくて仕方がないものは、魔術で手に入れた(これは比喩でもなんでもない)まだ〉魔術をいきなり持ってくるのは、安易、というのか、いささか強引な感じもしますが・・・その強引さをあえて出したかったのか・・・なんでもない、と言い切って、まだ、で区切る切り方に、長い息を一息に吐き出す呼吸を感じます。 石のブレスレット、ザクロ石?かと思ったのですが、違うのかな・・・ピンク色の石・・・お守りを身に着けて、さて、歌うぞ、という印象を受けました。君、の連投に勢いを感じます。 〈土のように痛々しくて健康〉な君、その中でうごめき、芽吹く僕。君が肉体で、僕、が精神、そのようなイメージで読みたくなります。 最終連、僕、は君の中で育ち、実となるのか・・・この時、ようやく君と僕とは一体となるのか・・・百合のイメージは、どこから出て来るのでしょう。清純さの象徴?結婚式のブーケ?最終連は、思いつくイメージをそのままどんどん並べていったように感じて、読者としては、少しおいていかれたような感覚が残りました。雑然とした野性的な強さというのか、エネルギーを感じつつ・・・〈一生 裏切りの上に立って 一生 そばに居続けるのだよ 君〉このインパクトのある二行、そしてザクロ(傷だらけの君)と一体化したような僕、の予見する〈血の溢れる僕の頭の中の、輝かしい 未来〉・・・流血するような痛みを乗り越えた先に輝く未来・・・を呼び寄せようとする言葉なのか、あるいは反語的に吐露された言葉、なのか・・・〈そうなるんだよ〉と言い聞かせるような、その言葉の強さに、肯定の感情を見たいと思いました。
0百均さん コメントありがとうございます。 雨水で体を洗うエロいムキムキマン笑 性別が曖昧なのはですね、これ、お互いに男女としての役割というものが決まっていない、にもかかわらず、肉体の性別は決まってしまっているというね、こういった事象に対する、つまり、僕は艶かしい女性の体を持ちながら、精神的には肥沃な大地(母性)に育てられるといったような、男性的な部分も持ち合わせているという、これが、読みを難しくさせてしまった原因なのではないかと、おもいますね私は。 ザクロは大切です。 作中の僕は女であり、植物なわけでして、女体化する、意識を持った植物と結婚する男性は、どんな気持ちのするものでしょうか。そのあたりをですね、赤裸々に考えてみるとこう、小っ恥ずかしいような、そんな文字列ですねこれは。 まりもさん コメントありがとうございます。 少なくとも、これどんな作品であれ、書いた人物の有り体が、反映されてしまうものでして、パックリ開いた傷口の印象は、拭いきれないものがあるというのが、正直なところです。 百合はですね、清純さ、そしてブーケ、そしてですね、もう一つ言いますとこれ、死の花でもあります。 「流血するような痛みを乗り越えた先に輝く未来」その通りですよ!まりもさん! 死の淵ギリギリで、ザクロは実を成し、体を取り戻すのかもしれませんね。自分の無意識を具現化するというのはこれ、なかなか、難しいものですね。
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