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湯灌
意識の雨が降りしきる 足もとに積まれた小石 開封された町並みには 軽く輪ゴムがかけられて 終いの無音が 足裏を濡らしはじめる 這いだす百合の匂いに 止めようのない なだらかな坂のうえに横たわり 生まれついた哀しみと 生き終えたうたかたが 花びらとなって 肛門から漏れだす いつから夜は つかめるように なったんでしょうね 握りしめた指を折る雨音が 東雲の歩みよる畳に響く 滴のような幸せを いただきました 息を捨て 逃げてゆく聴覚 もう何色も映すことのない瞳 渇かない母たち ひとりが一人を産み また一人を産む 母たちの数珠は つめたい膝頭でできている 百八の膝頭のまるみが 此岸を発つ舟を漕ぐ 背を向けることのない後ろ姿 さっきまで上下していた胸 頬に残されたシミ すべての重さが計られ 生きていた匂いを消し去って 言葉をもたずに慰められる つかむ すべる 意識のなかに もうどこにも逃げることのない 雪が降りはじめる ほんとうと 言い終えぬうちに 湯はとまる この世の際は あたたかい
湯灌 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1175.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-02-21
コメント日時 2019-03-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
くつずりさん、おひさしぶりです。 くつずりさんのお作は、息を詰めるように、次の行をおそれるように読ませていただくのですが、 大切なかたを送られた直後の、特別な時間が特別な作品となっていると感じました。 くり返し読むたびに新しく、作者のぬくみと怜悧をともに感じます。 そっと落としたものを拾って ああ、ここね!と詩友とまた何度でも語りたくなる、、、 また読ませて下さい。
0本日3月1日(金)21時より、【突発的弓庭夜話】を実施します。 場所はtwitter 作品は、くつずり ゆうさん「湯灌」→https://www.breview.org/keijiban/?id=3031 ご参加予定、閲覧ご希望のかたは、fiorinaをフォローして下さいませ。→@bara20006 初の試みで、どんな風になるのかわかっておりません。まずは、ふるってご参加下さい!
0鈴木海飛さま コメントありがとうございます。 お返事遅くなりまして、申しわけございませんでした。 色々な角度から吟味していただいて、とても嬉しくおもいます。 わたしとしましては、肛門も指先も、あまり変わりなく、愛しいひとのいちぶであると感じます。 ただ、詩として言葉を置くときには、より自分の気持ちが嵌るものを選ぶようにしています。 今回の詩は、湯灌の際に納棺師の方がしてくださった様々なことがらの中から、自然と選んでいった語句でした。 そして、生き人と死人は、ほんのすこし糸のような細い境目で隔てられているだけで、とても近いものであるとも感じます。
0fiorinaさま ご無沙汰いたしております。 仕事が忙しく、久しぶりにこちらへ伺わせていただきました。 また、ツイッターでは何か催しをしていただいたようで、ありがとうございました。参加できなくて、残念でした。 また、ご縁ありましたら、よろしくお願いいたします。
0galapaさま コメントありがとうございます。 他サイトでは、何年もお世話になっておりますが、こうしてコメントを頂いたのは初めてのように思います。 とても嬉しかったです。
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