彷徨 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

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すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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彷徨    

アタシは夏が嫌いだった 生まれた朝を思い出すから アタシは冬が嫌いだった 自死する夜が思い浮かぶから 長い闇から解放されて 自由を謳歌している声が アタシの脳を撹拌するから 彼らを不当に弾圧したい 誰かの不幸は誰かの幸福 当たり前の法則はとても残酷 勝者と敗者は水と油だから 薄い皮膜は永遠に破れない もうひとつの恋を探して 無垢な娼婦が荒野をめざす 力尽きた神の代わりに 老いた赤子が産み落とされる アタシはコンパスだけを頼りに 白夜の通学路を彷徨っている 真理を知っている誰かさんは 肉親の薄情さで沈黙している お願いだから電話を切って 終戦よりは簡単でしょう? 世界の終わりは窓の向こうで アタシの帰りを待ちわびている


彷徨 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 14
P V 数 : 1103.7
お気に入り数: 1
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-02-09
コメント日時 2017-03-06
項目全期間(2025/04/06現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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音韻00
構成00
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閲覧指数:1103.7
2025/04/06 07時06分02秒現在
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    作品に書かれた推薦文

彷徨 コメントセクション

コメント数(14)
三浦果実
(2017-02-10)

世界と自己はパラレルで在るようにみえてしまうと、他者が憎悪の対象となり弾圧の欲に覆われ、勝負が支配するヒエラルキーに埋もれてしまう。その心象は、恋によく現れ、規律を持ったプロフェッショナル(娼婦)はその恋の支配から逃れることができる。しかし、『アタシ』は彷徨っている。逃れる方法を知りながらも。 人を本気で好きになって、失恋して、三日三晩泣き崩れた女子が決意して、カントのような規則正しい哲学を一心不乱に学ぶことによって、真理を知る。そこで手にする真理と同じコンパスを『アタシ』も持っているのだ。ただ、音のないコンパスは約束の地を示してくれはするけれども、世界が終わる音をかき消してはくれない。 勝手に女性の心象風景と捉えました。私はけっこう、物語に依存する人が語る作品が好きです。世界が終わったあとの『アタシ』を次回作で是非、きかせてください。

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まりも
(2017-02-10)

硬質な題と、「アタシ」から始まるギャップが、面白い「入り方」だと思いました。高踏的な引き締まった感じの詩かな、という予想を、軽くいなすような感じで、うまく裏切ってくれる。嫌い、自死、と突き放すような言葉がガツンと入って来るけれど、夏/冬、という対比のリズム感とか、法則、残酷、というような脚韻的な軽やかさとかが、すっと読んでいける感じに繋がっているのかな・・・無垢な娼婦、老いた赤子というクリシェ的な表現は、書き慣れた人が使いたくなるような表現かな、という気がして、ちょっと気になりました。 そのあとの、「白夜の通学路」の連が、とても清新で素敵だと思います。

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kaz.
(2017-02-10)

セカオワって聴いてるとほとんど「私」って使わない感じがするんだよね。この詩はセカオワにも負けるし、ユーロビートにも乗れないし、フランス人ラッパーにも敵わない。

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kaz.
(2017-02-10)

「アタシは夏が嫌いだった」「アタシは冬が嫌いだった」と随分はっきりした主張を持っている。それを持っているなら、「彷徨」してねーじゃんか‼️ つまりこれ、彷徨というタイトルが似つかわしくない詩なんですね。

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もとこ
(2017-02-10)

三浦果実さんへ 「もとこ」名義で書く詩は当然のことながら女性の立場のもので、今回も若い女の子の抱える孤独と不安をテーマにしました。人を好きになって、相手からも受け入れられて、それでも自分の中には幼少時から虚ろな穴が空いている。その穴のせいで、恋人とも上手くいかなくなって別れてしまう。書き手としてはそんなイメージです。読んでいただいてありがとうございました。 花緒さんへ 私のようなものが参加して良いものかと迷いましたが、「もとこ」名義の詩は発表する場所がないので投稿させていただきました。「何だよ、これなら自分の方が良いものを書けるぜ!」と参加者が増えれば嬉しいです。大きなお世話かも知れませんが。読んでいただいてありがとうございました。 まりもさんへ 詩誌に投稿をはじめて15年以上になり、悪い意味で書くことに慣れてしまったことを自覚しています。文学極道などいくつかのネット詩のサイトへ投稿したのも、若い人たちから刺激を受けたいと思ったからです。これからも「書き慣れた感じ」にならないよう努力していきたいと思います。読んでいただいてありがとうございました。 kaz. さんへ この名前で書く時は、なぜか中森明菜の「不思議」というアルバムやケイト・ブッシュの曲が頭の中で流れていることが多いです。kaz. さんのように斬新な表現が出来るように頑張ります。読んでいただいてありがとうございました。

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コーリャ
(2017-02-17)

アタシは生まれた朝を思い出す夏も、自殺する夜を思い浮かべる冬も嫌いだった。勝者と敗者は水のように混じらない。誰かの幸福があるのは、誰かの不幸があるから。神が老い力尽き、そのかわりに荒野で娼婦が老いた赤子を産む。彼らはアタシの脳を撹拌するから、コンパスだけをたよりに白夜の通学路をさ迷う。真理は薄情にも隠されている。電話を切ってくれない。窓の向こうには世界の終わりが待っているのに。 AがありBがある。AはAのみでA足りうるわけではなく、Bとの関係性において、Aが定義される。AはBのリフレクションなのだ。世界があり私がある。世界は世界のみで世界足りうるわけではなく、私との関係性において、世界が定義される。 窓の向こうには世界の終わりが待っているのに。電話を切ってくれない。真理は薄情にも隠されている。彼らはアタシの脳を撹拌するから、コンパスだけをたよりに白夜の通学路をさ迷う。神が老い力尽き、そのかわりに荒野で娼婦が老いた赤子を産む。誰かの幸福があるのは、誰かの不幸があるから。勝者と敗者は水のように混じらない。アタシは生まれた朝を思い出す夏も、自殺する夜を思い浮かべる冬も嫌いだった。

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もとこ
(2017-02-18)

Kolyaさんへ Kolyaさんによる再構成を見るまで、自分自身の書いたものの構造についてまったく意識していませんでした。あかんがな。私自身の詩は面白くないけど、これは面白い。自分の中にある意識していない領域を、ひょいと切り取って見せてもらった気分です。読んでいただいてありがとうございました。

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百均
(2017-02-25)

こんにちは。百均です。 この作品が面白いのは、いきなり「夏」と「冬」、「朝」と「夜」、「生」と「死」が出てくるという事です。なんでいきなり季節の話が飛び出してくるのかと思ったのですが、適当に思い起こすと、枕草子みたいなもんかなと思います。四季というのは僕らの生活に根ざしている物だとおもますし、それらが一つの文化を作り上げている物の一つの要因であるという事は、ちょっとは言えると思うんですよね。 >アタシは夏が嫌いだった >生まれた朝を思い出すから >アタシは冬が嫌いだった >自死する夜が思い浮かぶから この四行を読んで思うのは見事なくらいに二項対立! それらの対立するイメージが綺麗に編み込まれています。+と-のイメージと言ってしまうと、乱暴ですが、それらが綺麗に交錯しています。この感じが正にタイトルの彷徨に繋がってくるのだと思います。この一連の恐ろしいのが、ものすごい大きなテーマを簡単に四行でまとめあげている所です。多分僕らが書き得るテーマみたいな物の内、大きな話題の多くがここで出きってる感じがしますよね。これを大雑把という言葉でまとめあげてもいいのですが、それじゃつまらない。ので、僕としては以下の受け取り方で読んでいきたい。  この作品は一連目で、この作品が示そうとしているスタンスをまず読者に提示しています。それから少しずつ細かい話題や比喩を使いながら、少しずつ「アタシ」の深みに入っていくような叙述が続いていくわけです。「アタシ」という一人称を主軸にこの二項対立の編み込み、錯綜は加熱していく。 >誰かの不幸は誰かの幸福 >当たり前の法則はとても残酷 >勝者と敗者は水と油だから >薄い皮膜は永遠に破れない  これは凄く分かりやすい話題だと思うんですよ。多分誰でも一度は思った事があること。そういうモデルを提示しながら、次の連で >もうひとつの恋を探して >無垢な娼婦が荒野をめざす >力尽きた神の代わりに >老いた赤子が産み落とされる >アタシはコンパスだけを頼りに >白夜の通学路を彷徨っている >真理を知っている誰かさんは >肉親の薄情さで沈黙している 一気に編み込んでいく。なんとも絶妙です。二つの相対する物があって、それらを綺麗に混ぜ込みながら、その中で揺れ動く「アタシ」が延々と描かれていくこのスタイルは、好きだなぁ。

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もとこ
(2017-02-25)

百均さんへ こういう構成の詩って私みたいにテクのない人間でも書きやすいんですよね。だから無意識にこういうスタイルになることが良くあります。起承転結とまではいかないものの一応ストーリー的なものがあって、それが後半に加速してラストでオチをつけるという流れも同様です。これまで詩誌に掲載された作品にも、似た構造の詩がけっこうあります。私は学がないので理論的にきちっと詩を作るということが出来ないので、良く言われる「言葉が降ってくる」のを待つタイプなんですが、その無意識にある思考は意外と理屈っぽいのかも知れないと思っています。 あと、「もとこ」の名前で書く詩が基本的に「アタシ」連呼なのは、自意識過剰気味なキャラだからです。桃井かおりと戸川純と篠原ともえを足して3で割ったような感じと言えば、おわかりいただけると思います(わからねぇよ 読んでいただいて、どうもありがとうございました。

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ユーカラ
(2017-02-27)

もとこさん、こんにちは。拝読させて頂きました。好きな作品です。中でも他の連で語られるている「アタシ」を飛び越えて、四連目の 無垢な娼婦が荒野をめざす 力尽きた神の代わりに 老いた赤子が産み落とされる この部分が象徴的で惹かれました。 無垢と娼婦 老いた赤子 この連なりがかなり面白かったです。 これは如何にも神の非力さを表しているようで、全能の神さえ、手のほどこしようのなくなった世界を暗示しているように思えました。 それが妊娠という女性性の中で起こっているところがいいなと思いました。 子宮と宇宙の繋がりが感じられて。

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中田満帆
(2017-02-28)

もとこ氏へ  作品のなかで語られていることは充分理解できる。しかし血肉が、声が通っているとはいい難い。これをだれか、ひとの肉声として読めないのです。あまりにも修辞も比喩も行も奇麗にまとめられて死んでしまっている。あまりも空想現実のなかに浸りすぎて実際の身体感覚を喪ってしまっている。

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きらるび
(2017-02-28)

もとこさん 電話を切って、といいつつ、その言葉に複雑なむねのうちがみえます。思春期はいつだって、霧のなかを彷徨うハリネズミなのかもしれませんね。ユーリノルシュテインというロシアのアニメーション作家に「霧のなかのハリネズミ」という作品があります。ユーリノルシュテインのえがく、ハリネズミも人生でたいせつなものをなくし、探し、出逢い、貴重な体験を作中でいたします。たった数十分のアニメーションが魔法であるのなら、音楽は三分間の魔法です。そして、時に詩はそれ以上の魔法であるかもしれない。わたしは、もとこさんの詩をよみ、霧のなかを彷徨いながら、いま、自分なりの感想をえがこうとしていますが、うまくゆきません。けれども、この作品のセツナサ等、理解してゆきたいところです。作者のいる作品を、わかった、とはわたしはゆえません。しかし、いつでも、歩みより、作者のきもちと、作品としての独立について、考えてゆきたくおもっています。もとこさんの詩は、ピリッとしますね。まるで、混沌から目が醒めるよう。世界の終わりが、窓の向こうで待ちわびている、とう表現に詩人さんの妙というものをかんじました。

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もとこ
(2017-02-28)

中田満帆さんへ 中田さんから「血肉が通ってないぜ」と言われると、ガツンと頭を殴られた気分になります。この作品はB-REVIEWの掲示板が立ち上がった直後で投稿作品が2編くらいしかない時に、「ほらほら、こんな軽いノリでも良いからみんな投稿しようぜ」という大きなお世話的な感じで書き込んだものです。新しい掲示板の誕生に刺激を受けて久し振りに頭に浮かんだ言葉をそのまま書き留めて、わずかな修正後に投稿しました。そんなわけで確かに内容は軽いし表現方法も無難な感じですね。 「詩と思想」など詩誌に投稿していた時は親との断絶や虐待、病気のことなどをストレートに書いていたのですが、最近は吐き出すだけ吐き出してしまった気がします。ただ、他にも色々とドロドロした過去の体験がいくつかあって、それを死ぬまでに外へ出すべきかどうか今も迷い続けています。読んでいただいて、どうもありがとうございました。 きらるびさんへ ノルシュテインは私も好きなアニメ作家です。あの独特の色彩や動きは、時にユーモラスであり時に恐ろしい。「霧のなかのハリネズミ」(「霧につつまれたハリネズミ」)も観たことがありますが、こういう技法のアニメ作品も残っていってほしいですよね。 この詩に関してですが、実はイメージとしては松任谷由実の「コンパートメント」を意識しながら書きました。前述したように「もとこ」名義で書く時は中森明菜の「不思議」やケイト・ブッシュの初期アルバムを頭の中で流しながら書くことが多いのですが、今回はユーミンで書きました。「ツバメのように」と同じで自殺をテーマにした曲です。白夜の荒野というビジュアルは、昔から私の大好きなイメージのひとつです。今後は、もう少し掘り下げて語り手の孤独を浮き彫りにしていけたらと思います。読んでいただいて、どうもありがとうございました。

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もとこ
(2017-03-06)

ユーカラさんへ いま、過去のコメントをチェックしていてユーカラさんへの返信が反映されていないことに気が付きました。普段はテキストエディタで書いてから貼り付けるのですが、この時はうっかり直接書き込んでいる途中で時間切れになってしまうというアクシデントがあり、全面的に書き直したつもりが途中からになっていました。大変失礼しました。 平塚らいてうは「元始、女性は太陽であった」と宣言しましたが、私は女性に対して(妊娠や出産の有無にかかわらず)自らの中に宇宙を内包しているというイメージを持っています。ご指摘の連は、マグダラのマリアや各宗教における「救世主の降臨」、さらにRCサクセションの「ロックン・ロール・ショー」における「役立たずの神様」という歌詞やニーチェの「神は死んだ」といった様々なパーツで出汁を取りました。さらに中学生くらいの頃に読んだ古賀新一の「妖虫」というホラーマンガがありまして、この中で主人公の青年は奇病にかかり怪物として再生した後、どんどん若返って最後は赤ん坊になって死んでしまいます。このイメージが「老いた赤子が産み落とされる」というフレーズの元になっていると思われます。たぶん。読んでいただいて、どうもありがとうございました。

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