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Short sleeper (my ugly fighting pose)
長い間、夢など見たことがなかった。少し動揺してジェラピケの部屋着のままダウンを羽織って外に出る。何時までも融けない雪が、花弁も枯れた葉もそのまま養分として取り込んでゆく様を、醒めない頭の中で高速再現している。耳が冷たい。貴女はいつも、誰かに触られるまで凍えかけていることに気付かないから、と、半ば押し付けられたようなマーマレードの護符は、それでも崖の縁をゆらゆら歩いていた記憶を客観せしめ“これはおかしなことだ”と僕に認識させるには十分すぎるほどだった。 謹慎という名の隔離が漸く明日で終わる。せめて首の痣が僕にはどうしようもない印だったと理解されるまでどれだけの言葉を尽くせばいいのか。煉瓦を焚べて沙汰を待つ。 その指で慟哭を舐め封じるか標本瓶より漏れ出ずる熱 ただしさを ただすつもりの ないきみと ゆびからめをり ここはれんごく 触れるまで息を潜めて目をつむる ちかづいてくる淡い帯電
Short sleeper (my ugly fighting pose) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1115.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-02-03
コメント日時 2019-02-07
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
久々に作品投稿してみました。……書いたの自体は結構前だけど。軽いリハビリがてら、ってことで。
0「何時までも融けない雪が、花弁も枯れた葉もそのまま養分として取り込んでゆく様」という表現は印象的だ。普通ならば生物である花や葉に焦点を当てがちだが、それを逆に無機物である雪を擬人化ならぬ擬植物化して動詞をつけている。
0素敵ですね。よい詩を読みました。ありがとうございます。
0渡辺さん どうも。あまり意識してなかったけど、確かにこういうシーンの場合花が主体にならないのは珍しいのかもしれないですな。土に飲まれるとかじゃなくて雪だし。 環希さん どうも。わがまま言えばもう一声何か欲しいです。
0ジェラピケで愕然としたんですが、女性を感じさせるリアリティを考える時にこの手のものは書けないんだと思いました。男には…というとわかりませんが、少なくとも自分には。 >沙汰を待つ。 の後に3つの句が続けられているのも、なにかどうしようもない明日が来るのを待っているような時の流れを感じられて、やはりリアリティを感じます。
0社町さん どうも。今思えばこの作品、ジェラピケという単語を軸にかなりムチャクチャなことをやってる気がしています、我ながら。せっかくあまり詩作品で目にしない語を使うんだから、みたいな。そんな中でもリアリティを感じていただけるのはありがたい限りです。いや皮肉でも何でもなく。
0ジェラピケのメンズ、かわいいと先月ちょうど知って、果たしてレディースかメンズか…深読みしていました。 後半にかけて語が硬くなっていくのに、なめらかにつながっているのは息を呑みました。 「それでも崖の縁をゆらゆら歩いていた記憶を客観せしめ“これはおかしなことだ”と僕に認識させるには十分すぎるほどだった。」 ここが少し悪い意味で浮いている気がしました。ここだけ自然な口調で書かれている(詩中主体ではなく筆者の口調)な気がして、詩集なら他にヒントがあって読めそうですが、この作品だけだと少しぶっきらぼうに感じました。 他は自分も勉強になる表現が多くて、楽しかったです。
0かるべさん どうも。(ジェラピケにメンズがあることを最近まで知らなかった人) 多分一人称がかなり後の方になって初めて出てくるのが、読む人によっては目立つのかもしれないです。一人称で遊ぶのが好きなので、今後もいろいろやらかすかと。
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