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薄明
きしむ便所にほつ、ほつと したたり落ちる上階の足音 におい立つ万年床を蹴たぐる ビラ投函に目を覚ます シンクを詰まらす 酸っぱい思慕に雑じった山崎 いちびりちびりと酌み交わす すずめの匕首、断ち切る入日に 仏間にのたうつはらわた 見下ろす先祖の絵姿 しらふのあんたは布団で寝るのか 冷たい額を揺すって小突いた ぬぐえど ぬぐえど シズクの返りは首元をなぞり 言われるように 不死身と思う そのくせ前歯二本が無い 理由は酔って覚えちゃいない だかんもお、ほっとけ しゃにむに死に切ってやっから
薄明 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2476.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-11
コメント日時 2018-10-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
小説で、殺すことが助けることになるような、シーンと いわゆる堅気のような、酒と麻雀と暗い部屋の、木目模様が 重なるようなイメージがわきました。
0気迫を感じました。 この気迫は、まるで話手が落ち武者であるかのようです。 けれど、日本のウイスキー山崎がでてくるあたりで、 リアルな今を感じさせるます。しぶいお酒をセレクトされますね。 ただ、描こうとされている世界観がよく分からなかった箇所がありますので、 もしよろしかったら 説明がいただきたいです。 「すずめの匕首、断ち切る入日に」アイクチはぼんやりと時代劇などでみたことがあるのですが、すずめの匕首 の 感慨が、わたしには解り兼ねました。自身の不勉強が悔しいです。教えていただけると嬉しいです。
0かるべまさひろさま コメントありがとうございます。 自分としてはどちらかというと堅気でない人物を書いたつもりでいました。 シーン、イメージ。 私は写真的に切り取る書き方のほうが得意なのだろうと感じています。 動きのあるものが書けずにいる。
0るるりらさま コメントありがとうございます。 私は響ではなく山崎の方が好みでしたね。 さて該当の箇所ですが、 一、「いちびり」という語の持つ小者感、および「ちびりちびり」という音感から導いた「すずめ」であること。また「あいくち」は扱いを間違えると自身も怪我をする、つまり扱いきれなくとも他に危害を及ぼすものであることには変わりないこと。 一、「匕首」は七つの首とも見えることから、そのまま雀のくちばしと見做し、夕日の中を飛ぶ「すずめ」の姿を表すこと。 一、一歩引いて「酒」はさんずいに酉であること、「酉の刻」からの連想。 以上のような意図を込めていました。 私は本来、好きなように読んでもらいたいタイプなのですが、しかし説明を要するようではいかんなあと反省しています。ひとに読んでもらえるからこその学びです。ありがとうございました。
0前夜酒場で、女性を巡ってのトラブルでもあったのだろうか。 未明に起こされてキッチンにぬかづき嘔吐する。 ない記憶ごと吐き出されるモノから立ち上る臭気と「酸っぱい思慕」 キッチンの窓から見える朝日に白々とした現実が射しこむ。 女の細首への思いを断ち切るように。 積み重ねた過去が 今は一本のはらわたとして独りの部屋にのたうっている 脂汗にまみれ苦痛に耐えても、死は遠い。 遠いのにまるで我が物顔にそこにいる。 お前にはできはしない、と言っているかのように。 この現実は、誰にも訪れる。 かつて母の死の傍らにいたとき、私は母にそれがやりおおせるとは思えなかった。 死はただ訪れるのではなく、こちらからも飛び越えてゆかねばならないものだとかんじた。 死に直面した人が、ろうそくが消える最後の一瞬に赤く燃え立つのと同じように、 奇跡的に元気になるのは、その飛び越え、死と抱き合う力を与えられるからではないか。 終連に、死にきることの困難さと、主人公(イコール作者ではありません。)がどのような人生を送ってきたかが発揮されている。 生きたようにおそらく誰もが死んでいくのだ。 初読から含めて十度以上読みました。 少しも色あせることなく私に生と死を教えてくれました。
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