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【フランス紀行~パリ】番外編・アテネ散策 Ⅰ&Ⅱ ※
2005年にフランスを再訪したとき、パリ・モンマルトルに安宿をとり、できるだけヨーロッパのあちこちに行った。 空港から長時間バスに揺られてアテネに入る。車のナンバーや街角の表示がギリシア文字なので、他のヨーロッパと違い眼の中が時差に似た落差を感じる。タクシーにのると当然のようにふっかけられた。(その後は、ごまかされなかった。)宿は、水事情が悪くトイレが流れてくれないので、翌日はユースを探して泊まる。 ギリシア人は、ギリシア彫刻のような顔をして素晴らしい、といえるが、鼻筋があまりにも通っていて神殿の柱みたい。もう一種類の顔は、オナシスみたいにぎらぎらしている。街は、白いがれきのようにさえ見えるごちゃごちゃした中に、突然古代の遺跡がそびえている。そういうのがあちこちにある。駅から歩いてパルテノン神殿やいくつかの古代の劇場に行ける(はず)。オリンピックの後か前かで、電車が新しく整備されていた。それにのって海岸に行き、家族連れといっしょにエーゲ海で泳いだ。火山石がごろごろして痛い。(ちなみに地中海は遠浅で足下の砂は柔らかく、泳げない人でも浮いてしまう。) お土産品売り場に吊されてあった白いTシャツの模様は、ソクラテスが毒杯をあおるシーンだった。 これはやめて、カレンダーと画集を、誰に送るともないおみやげとして買った。カレンダーは、風景のほかにギリシア料理がレシピ付きで毎月掲載されている。画集は、古代美術の写真(古代の壺や美女etc)がふんだんに載っていて解説が付されているが、私にはちんぷんかんぷんだった。(これらのおみやげは、老後の歓びに古代ギリシア語を研究している方の存在を知り、正しい行く先を得た。 * ギリシャに行く前、蜷川幸夫さんの劇の「メディア」がギリシアのアティコス劇場で上演されたのを、DVDでみていた。舞台のすばらしさも筆舌に尽くしがたいと言うようだったが、ギリシアの古代劇場そのものに憧れていた。アティコス劇場、アティコス劇場と、つぶやきながらひたすら歩いていた。小高い丘の上に何かあるようなので、ぐるぐる登っていくとパルテノン神殿だった。神殿にたどり着く前の広場で、フランス人らしきツアーの一行に遇い、その一人から、「ここでも歩いているのか!」と声をかけられる。きっと車の中からパリをふらふら歩いているのを見られてたのだ。パルテノン神殿に登って、丘の上からおりるとき、ふと道をそれて左手の崖の方にいったら、突然、はるか下方に凄い傾斜のすり鉢状の劇場を発見。すり鉢の底の舞台の上に人々が散らばって何かが行われている。 そのバレー「ロミオとジュリエット」の練習風景を高い崖の上から眺めた後で、大回りして歩いていくと、それがアティコス劇場だった。正門の近くで、翌日の券を買うことができた。翌夕、すり鉢の中ほどの席で、居眠りをしたら転げ落ちそうな石の長いすにギリシャ人と並んで観た。 兼ねてからの憧れの伝説的なバレーダンサー・ヌレーエフが振り付けた「ロミオとジュリエット」。衣装、色彩が目に焼き付いている。(これは実はパリのオペラ座で見逃していた公演だったので、二重に嬉しかった。) そそり立つ古代の壁がそのまま舞台の背景になっている。そこに窓のようにいくつもうがたれた巨大な穴の一つから、煌々と三日月が輝いていた。 それらの舞台でも、ネットでも、ギリシアは映像の著作権的な管理が厳しすぎると感じた。 フランスや他のヨーロッパは、美術館の絵画さえも赤外線を使わなければ自由な撮影ができる。 オリンピックの開会式・閉会式は、かつてみた中でギリシアが圧倒的に最高だった。 あのような国がその後経済危機に陥った一因は、自由に解放しないことで自分の首を絞めていくある種の宣伝の下手さ、にあるのではないかと後年思い当たった。 ※bレビュウ杯不参加作品
【フランス紀行~パリ】番外編・アテネ散策 Ⅰ&Ⅱ ※ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1110.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-02
コメント日時 2018-09-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こちらは一気にばーっと情報が入ってきて、いわゆる日本人らしい詰め込み型観光のそれに近い気もしました。 それは同時にそれだけの興奮と感動を抑えられずにいるという良い印象も醸すものとしてです。 宿にかえってからほっと一息整理したい気分になるのですが、いかんせん宿が問題ありなので休まりません。
0かるべまさひろさん、コメントありがとうございます。 アテネは一週間の滞在で、目的はかねてから憧れの劇場だけでしたが、他の訪問地と違って目に入るものがゴツゴツとして新鮮に雑多だったので、私の記述もその影響を受けているようです。 因みに劇場を堪能した後は、エーゲ海沿いをのんびり歩いていました。 出逢った人も気さくで、ギリシアの古い歌を歌ってくれたり、日本の南国の漁師町を彷彿とさせました。 夜中には一晩中喧嘩している人たちがいて、だんだん抜き差しならない状況を、だれも止めに入る様子もなく、ギャング映画の中にいたような経験もありましたが、割愛しました。かるべさんが旅好きと伺ってつい饒舌に。しつれいしました。
0fiorinaさん、いえいえ。好きなものについて饒舌に語ってもらえるのはとてもうれしいですかるべ。 自分も旅をテキストに起こしてみたくなりました。思い出しながらのそれも、日記とは違う趣を出してくれるかもと、今月はちょっと挑戦してみようと思います。いつも脳内の人間たちの動きを起こすばかりでしたので汗
0かるべさん、再レスに気がついてなくてごめんなさい。 旅行記楽しみです。 なんかおかしなことが必ず起こりますよね。
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