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乙女たちはハッシュタグを忍ばせて
ホワイトデーのお返しなんていらなくて #自分の思いを伝える なんていうことを、目的にしていたわけでもないのですが。そういう日がきたから、そうしただけで。 冷蔵庫の中にはやっぱりママのご飯はなかった。わたしもそういう人になるのだろう。瓶に入れられたミルクが冷蔵庫の中で破裂しないかって大声で叫んでみたいけど、誰も彼もそういうことは求めていないみたい。誰も、そのひとりとして失ってはいけないのさ、さ、さ、さいた。たましい。い、いただきます、わをん。 ポカリみたく澄んでゆく私が芽吹くのはポカリを飲んだせいでもなく、どうしようもないから、どうしよう。だって誰も悪くはないから。そういう教育をしなければいけないのだ。 だから乙女たちはiPhoneに触れる気軽さで手首にHashtagを忍ばせて。 こういう痛みを導きに/自分か変わらない/わからない/ということを/知らせてくれる。もう朝が来なくても、夜にならなくても、どうでもいいね。ねぇ、ホワイトデーのお返しなんていらないからさ、サクっと私を、いや、あたしを食べちゃえば。nullくなったら、あの冷蔵庫みたいに乱暴に閉めて、くれてもいいのよ。そうすればきっと、なんの匂いもせずに済む。すむから。すみきるの。命一杯、火事のもと。 揺らぎゆく移り火が誰にも染められていない赤い糸を、乙女の外へと萌やしてゆきます。 だって。そういうものでしょ。そうでしょう。
乙女たちはハッシュタグを忍ばせて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 913.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-04-11
コメント日時 2017-05-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
コメント失礼します。ちょっとリズムとか音楽つけて口ずさんでしまいそうな小気味良さがあります。最近では、インスタでハッシュタグを連続させて文章にしている人もちらほら見かけますが、そういうのを想起しました。全体としては、悲しげななんだけれども、どことなくユーモアというか、ハッシュタグ女子?への風刺みたいなものを感じました。それが小気味よくて、くすっと来て、小笑いしました。私は日本の古典文学、古語が専門なのですが、清少納言も紫式部もきっと、現代だったらSNSやってると思うんですが、きっと彼女らもハッシュタグ忍ばせた乙女なんだろうなあなんて思いました。興味深い詩をありがとうございました。
0一読して「ああ、やられたなあ」と思いました。「もとこ」というキャラで書きたかった詩のひとつが、こういう作品だったんですよ。リスカの傷跡をハッシュタグと表現した時点で、この詩は優勝候補です(何のだ)。「nullくなったら」でダメ押しという感じ。これはB-REVIEWという場の成果のひとつとして、外部に展開させる価値があると信じます。ああ、悔しいなあチクショー(ついつい乱暴な言葉を……
0nullって、なんだ?とググるところから始めるデジタル音痴ですが・・・ リアルな日常生活と、スマホやSNSの「向こう側」に広がっている世界の境界線を抵抗なく行き来してしまう、現代女子?(女子に限らないかもしれませんが、いわゆる現代っ子)の感覚をうまく掬い取っている、と思いました。 ハッシュタグをつける感覚って、どんなものなんだろう、というのが、実はよく、わかっていなくて・・・。「共通の話題」でつながっているような繋がっていないような、言葉は投げ出しているけれど、特に返信なくてもいいよ(仕方ないじゃん、でも、誰か共感していればいいな)的な感覚なのかな・・・。 「揺らぎゆく移り火が誰にも染められていない赤い糸を、乙女の外へと萌やしてゆきます。」このあたり、「恋」に限らず、命を燃やすもの、情熱を掻き立てるもの、命を輝かせるもの、そうした「なにか」に向かっていく「赤い糸」が、わらわらと周囲に伸びていく(千手観音みたいに)感覚があって、SNSで「つながる」けど、つながっていない、ような感覚に近いのかな、と思いました。その「なにか」が、定かでないというのか・・・手ごたえがない、虚無に手を伸ばしているような空しさが背後にある、というのが、現代、なのかな、と思ったり・・・自分を無にしてしまいたい、透明にしてしまいたい、失くしてしまいたい、そんな感覚が核にあって、そこから無数の赤い糸、を外部へと触手のように伸ばしていく、そんなイメージに共感しました。
0とても あまくて、とても 切ない。つらくて かるくて すごいです。
0ところどころに見られる言い訳のようなもの=理由付けに目がいきました。「そういう日がきたから、そうしただけで」という投げやりな言い方は、自らの行動を型にはめることで納得を示そうとしているように思えます。 冷蔵庫の中には「やっぱり」ご飯はないので、いつものことなのでしょう。「瓶に入れられたミルク」というのは、何気ない表現ですが、気になりました。「瓶に入った」ミルクと普通なら表現するかもしれないですが、「瓶に入れられた」と表現されると、誰かの手があったからこそ瓶にミルクが入ったのだということが強調されて見えてきます。それと同時に、冷蔵庫の中にミルクがあるのも、誰かの手によって冷蔵庫の中に入れられたわけですね。 私が芽吹くのは「どうしようもないから」と、また理由付けがされています。こういった行為と理由付けがこの詩の鍵となっていて、でも、その理由が自分の力ではどうしようもできないところにあるというのが「わたし」が強く思っていることなのでしょう。 ハッシュタグとは一体何なのか。僕としては、「副題」という意味ではないかと思っています。乙女たちは手首にその「副題」を示していて、言わば、その内容を一言でまとめた題であり、象徴であり、印であるような何かではないかと。 ホワイトデーのお返しはいらないというのは欲望の裏返しであり、お返しはいらないという欲ではなく、「あたしを食べちゃえば」と語りかけるのは、食べてほしいという欲が垣間見られます。最後の「そういうものでしょ。そうでしょう。」という声かけは一体誰に対してしているのでしょうか。おそらく、自分に対する声かけで納得させようとしているのでしょう。 「そうしただけで」「どうしようもないから」「どうでもいいね」と投げやりな言葉があって、様々な行為に対して投げやりな理由づけを重ねることによって、納得できないことを納得できないながらも、納得しようとするのではなく、納得せざるを得ない、そんな「わたし」の心情を想いました。
0個人的に #を飛ばすという事の意味が僕はあんまり分かってなくて、今ではTLの流れが激しい時にそれらを目で追って整理して読みたい時に使うくらいなのですが、ここでは多分そういう使い方をしてないんですよね。 >さ、さ、さ、さいた。たましい。い、いただきます、わをん。 個人的にはここはしりとりみたいなもんかなと思います。唐突に一人しりとりみたいに無理矢理繋げて、そのうちに面倒になって閉じてしまうわをん。 みたいな感じで、だから#というのはまぁ繋がりなのかなぁと思うんですけどね、手軽に一語で繋がれるみたいな奴かもしれない。後はなんだっけ、前どっかの記事でみたけど、自分の裸をネットで晒すみたいな事、みたいなのを突き詰めていく記事みたいなのをどこかで見たんだけど、そういう事かもしれないですね。表現の突っ込み方でいうと、なかたつさんの読みにほぼ同意なので、これ以上言える事もないんですが、言えるとしたら、、、なんだろうな、つまり言葉で言ってしまえるという事、それによって安易な繋がりは得る事が容易になった。けれども、まぁ、所詮言葉といえば言葉なのかな。みたいな感じも受けます。 なんだろう、手首を切って血を流しても滅多な事じゃ死なない。むしろそうする事でかまって欲しいのサイン、みたいな話を唐突に思い出しました。上手く煮え切らないコメントでもうしわけないです。
0凄く巧いなと。いや、私も現代(現在?)世界音痴で、皆さんの感想を読んでああ、自傷を扱った作品なんだと漸く納得したのですけれども。 「だって誰も悪くはないから/そういう教育をしなければいけないのだ」「こういう痛みを導きに/自分が変わらない/わからない/ということを/知らせてくれる。」ここが絶妙です。戦後日本の教育って、悪者がいたらいけないんです。本来は、自分の中の悪に気づくことが成長であり、(変わってゆくこと、)自分自身を知ること(大人になること、)の筈なのですが、何故か世界からそういう真の意味合いでの教育が抜け落ちてしまった。この詩の主人公たちはおぼろげにそれに気づいている。近いところにいるのです。でも、本当には触れられていない。愛と言うものに。
0ネット詩長くやっているnicoさんですかね? わおん 良いですね。
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