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nonlinear
改札口を出るとあなたは飲み物を買い 薄荷のにおいがする千円札を 丁寧に畳んで仕舞う 律儀にわたしへ手渡される硬貨 その傷から あなたの指紋を読み取ろうとしては挫折し 足首の捻挫に似た記憶が 真夜中の蛇口から滴り落ちてくる いつかの母が捲る図鑑のなか 絶滅する静かな鉱物、 あなたを語るもの 例えば 怒ったときに瞳孔が拡がる速度 カラオケでいつも外す音 あなたの修士論文のコピーを今でも持っているよ、 はじめて同棲したアパートの台所で あなたの言葉がわたしの胃酸に触れて消える 一瞬 薄く発火したあと
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nonlinear ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 994.2
お気に入り数: 1
投票数 : 6
ポイント数 : 0
作成日時 2025-03-01
コメント日時 2025-03-18
項目 | 全期間(2025/04/16現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。 過去の追憶なのでしょうか? とても優しい目線で綴られており、 >あなたの言葉がわたしの胃酸に触れて消える >一瞬 薄く発火したあと この部分が特に美しく素敵です。 あなたを愛していたことが良く伝わる詩だと思います。 ありがとうございます。
0ありがとうございます.
1完備さんの書かれる作品の世界観?ってとても一貫してると勝手に思ってます。とても繊細で、いつも過去を回想しているような淡さや焦点の合わせ方があって。 修士論文とのころで、あ、と完備さんの作品読み返してたら、mathmatitanの記憶でした。 怒られるかもしれませんが、つなげていったら詩なんだけど、短編みたいな作品になるのかもななんて思いました。 nonlinear ってアルファベットの姿もきれいですよね。 きっと英語も好きな方なんじゃないかとこれも勝手に思っています。
0ありがとうございます。私の詩は概ね実体験ベースなのでそう感じられるのかもしれません。
112時間後にまた読み直して、やっぱいいよなーと思いましたよー嗚呼僕にはこの色は出せないなーと軽く失望してしまいましたが僕には僕の色があるからなーと思い直しましたよー何かしら表現していきたいのであれば「同棲」は有効な手段として経験しておくべきだと…ありがとうございました。1票入れときますねー
1俳優の真田広之さんが米国で賞を取って話題になっていたせいか、最近youtubeで昔のドラマ『高校教師』がお勧めに出てたんですよね。あの独特の空気感と重なりました。 二度と再現出来ないような、人生のいっ時の、張り詰めた薄氷のような儚さを持った輝き。その時代へ惹き込まれました。それを描ける人って案外いない。 >硬貨 その傷から >あなたの指紋を読み取ろうとしては挫折し 人は大人になる。汚れるということ。それはいい意味でも悪い意味でも変わるということだけと、完備さんは薄氷のような純粋さをずっと持ち続ける事が出来る人なのかも知れませんね。。
1有能な書き手による、可もなく不可もなくな作品だけど、 しいて瑕だと感じることを述べるとすると、 この「あなた」は、 男性目線からすると、あんまり魅力を感じないのですね。 魅力がみつからない。 言い換えると、 「あなた」に、作者が共鳴しすぎているような気がする。
1一連目 あなたからお釣りを分け与えられるわたし。律儀。指紋を読み取ろうとする。主従関係とまではいかないけれどわたしからあなたに対する想いとその逆が釣り合っていないような様子 あるいは必ずしもそうではないけど、あなたの不器用な性格が、わたしに苦い思いをさせているといったところでしょうか。二人の関係性を示す導入部分で全体を通した緊張感をうまく表現していると思います。 (逆にわたしがお小遣いをあげるヒモと読むのが第一感でしたが、ちょっと根拠が薄いかなと) 薄荷は、タバコのメンソールのことかな。であればなるほどですがそうでなければどういう効果を狙ったのか気になります。図鑑、鉱物、修士論文という言葉の連なりを狙った配置でしょうか。 二連目 少しふわっとした印象です。足首の捻挫や絶滅である必然性がすこし掴みきれませんでした。 三連目・四連目 ポエム腕力に溢れていて、ミスチルの歌詞のようで好きです。 実体験ベースとのことで、世間的にはあまりいいパートナーではない気もしますが、若い時の苦いけど大切な思い出ということでしょうか。線形では表しきれない関係性や思いを綴ったいい作品ですね。僕だったらもっと書き込み過ぎてしまうので、鑑賞しがいがある余白がいい効果を生んでいると思います。これは好みの話ですが完備さんの意思・主張みたいなものはあえて隠していらっしゃるような気がしてそこは少し物足りなかったです。お気を悪くされたらすみません。
1こっちもそんなに良くない。うーん精進します、というか、書いてパッと投げるのをやめます
1「非線形」こんな数学用語で表現される二人の関係とは線形的なリスク。つまり反比例に終わってしまう関係を言いたい訳だ。これは語り手のメタ思考が強すぎてはじめから二人の距離関係が見えない。というこの関係を反比例する動向で捉えようしてみても、肝心の二人を結びつけているものがはじめから見えてこないので掴み処もない。なのでわたしがあなたの関係に触れようとしてもその物理的な言葉尻だけに置いていかれるのだ。非線形が線形のままグラフの構図に読めてしまってはマズい。ちょいと残念な気持ち。
1足首の挫折はもしかしたら家の中を歩き回って居る時に起きたのかもしれません。修士論文のコピー。改札口を出るあなた。はじめて同棲したアパートは、今では廃墟になって居るのかもしれませんが、記憶が抒情を奏でているのかもしれません。
0タイトルの「nonlinear」と詩の形を見て気になったのは、各連の最終行がブツ切りされているというところ。非直線とは、調べると理想直線とのズレのことと出てきます。「わたし」は、「あなたを語るもの」から「あなた」の本当の線を掴もうとしますが、そんな「わたし」の想いも発火したり鎮火したりする、そういう非直線性も各連の終わり方で表されていると思いました。 あと、第一連の「薄荷」のにおいのする「千円札」と、第四連の「発火」、「薄く」って、つながってますかね。大切な表現なような気がしました。千円札は丁寧に仕舞って、律儀に硬貨を渡す……千円札が本音で、硬貨が建前のような…… 色々と考えさせられます、良い詩でした。
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