雲をなぞる - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

雲をなぞる    

ショートケーキみたいに 愛を切り分ける ひとところに留まれない私の 足跡代わりに残していく 日が暮れれば影は濃くなる 私は私の後ろ姿を決して見ることは出来ない 捨てた郷里の影法師 夕方五時 畦道を走る子供の声と 防災無線のエーデルワイス ほほえむ花よ 悲しい心 なぐさめる花よ この歩みに美しい旋律を添えてくれ 背負った荷物で蹌踉ける足取りを 優雅なワルツに変えてくれ 草臥れた服の上に吊るした窶れ顔に 桃色の紅を差してくれ この胸の上で輝くのは どんな宝石より一層澄んだ 得体の知れない不吉な塊のペンダント この心を押さえつけて離さないのは 私がそれを望むから ごきげんに鼻をかみ ごきげんに咳をして ごきげんに熱を出し ごきげんに床に臥す ごきげんに淀んだたましいが ホップステップで跳ね回る つかまえて ねえ つかまえてみて この世界を使い倒して 上手に逃げてみせるから 空と海には道がない ならカントリーロードは歌えない とうの昔に馬鹿になった方位磁針が 気まぐれで示した方角へ 飛んで、走って、泳いでゆけば いつかきっと あの街とやらに辿り着く 坂道が多い街がいい 海が見えればもっといい 真っ白な画用紙に筆を下ろす 23.5センチのスタンプは 白い切り取り線の隙間を埋める 透明な地図を描く 私は 愛に満ちた放浪者



雲をなぞる ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 5
P V 数 : 827.7
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 0

作成日時 2025-01-11
コメント日時 2025-01-25
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/23現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:827.7
2025/04/23 15時20分57秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

雲をなぞる コメントセクション

コメント数(5)
那波啓
那波啓
作品へ
(2025-01-14)

「カントリーロード」のくだりで宮崎駿監督の「耳をすませば」を当時の彼女に強引に見せられた思い出が蘇りました(笑) 「エーデルワイス」「ワルツ」「ホップステップ」のリズム感が高揚感を感じさせます。

1
A・O・I
作品へ
(2025-01-14)

愛という言葉を詩の始め終りに持ってくることで強引に長く在るミチを 私 は行くことを示そうとしている。空連が多いのは言葉にできないまどいのような含みを持たせているのかも知れません。titleは、雲をなぞる、とあるのですがこの雲は陽を遮るもの雨を留めるもの、それとも、なぞる、とあるように画用紙や透明な地図とえがかれるはず未来への道、その指針、天を仰ぐこと、祈りのようなもの、雲を今、見上げる存在と置き私を立たせれば、その雲になにを見るのだろう。そしてその先に青空の彼方を予測させる希望があると信じようとしている、と思えました。 空行がおおいことで、しっかりと書かれている行たちの言葉が散漫にみえ、言葉の印象が薄くなる、珍しく横書きで書かれていたこともあって、ながいみち、という意図があるのかもしれなかった。少しばかりまとめ縛る、メリハリをつけるとよいのかもしれない、その人生は山あり谷ありだろう。

1
らりるれろ
らりるれろ
作品へ
(2025-01-15)

道なき道をスキップで歩いてゆくかのような不思議な詩でした。一つ一つの語感がいい。 「ごきげんに鼻をかみ ごきげんに咳をして ごきげんに熱を出し ごきげんに床に臥す」 ここが最高に好きでした。日々ってまさにこうありたいと常に願います。

1
おまるたろう
おまるたろう
作品へ
(2025-01-20)

京都か奈良が似合うな。 コンビニでスナックとチューハイを買って、 煙草ふかして、友達と一緒に神社に参りに行く。 そんな一コマを思い浮かべた。

1
あやめ
作品へ
(2025-01-25)

>ショートケーキみたいに >愛を切り分ける >ひとところに留まれない私の >足跡代わりに残していく さみしいような、かっこいいような、留めておきたくても留めておくことができない人情というものを感じました。 >透明な地図を描く >私は >愛に満ちた放浪者 周りがどう言おうと、本人がどう足掻こうと、そのようにしか生きられない人というのはどこにでもいますね、私もそうなのですが。 けれどこの詩の「私」はそんな自分と自分の性や生き方を肯定し、めげることなく人生を突き進んでいるようすが、詩から伝わってきます。 悲しみも、寂しさも、この世の美しさの一部である、というような達観した感じもすてきです。

1

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 2