わたしの遠く
土壁の向こうの夜で
森は暗く燃えていた
松ヤニ香る酒は慟哭し
滴々と
冬の大地が吠えていた
ずんずんずん
こめかみを焼くとどろきが
頭痛の赤に染まる頃
燃えている
わたしの奥が燃えている
それはわたしではなかった
からだは違う生き物だった
只々熱く
世界が欲しくて
疼いてたまらなかった
あの日のことは何だったのだろう
わたしは誰だったのだろう
墨色の街
人はいなかった
否
いたかもしれない
糊をかぶった全身を回転させ
わたしは行く
八の字を描き
スピンドルで糸を紡ぐように
空中に漂っている声を
かすめ取りながら
印字されていく体の
魑魅魍魎の鎧をつけた
わたしの心を
誰が揺るがせただろう
川沿いの
鉄さびを纏った風に
摩擦は早くなる
唇を噛み
両腕を広げて聞いたのだ
息づきも
ずんずんずんと
深く
ひっそり燃えているだけの
鼓動も
止めて
垂らした墨が広がって
水面に
つんと精液のにおい
作品データ
コメント数 : 9
P V 数 : 329.7
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-20
コメント日時 2024-12-21
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/22現在) |
叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:329.7
2024/12/22 14時24分47秒現在
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ギロッ!
1おおおおおいいっすねー僕も嗅いだことのあるにおい(鉄さび・松ヤニ・精液などなど)聞いた音(大地吠える・こめかみ焼くなどなど)いなかったのかもしれないしいたのかもしれない、のあたりもなんてゆーかな自分のなかでは非常にあるあるなのですよー寂れた雰囲気よ中、不穏に貫く姿勢、いいもん読ませてもらいましたよーありがとうございました。
1タイトルだけでもう「勝ちました」感が漂ってますね。
1一応怪文的な怖さには読めてきますね。 子供の頃に見たこのタイトルのドラマが脳裏に焼き付いて離れない。 盲目の琵琶法師芳一のもとに怨霊として現れる平家の落ち武者の姿があまりにも怖ろしくて。それを知った和尚が般若心経を全身に書き入れるが、耳だけ忘れてしまい、その耳をむしり取られてしまう~という怖い話しだけど、この詩文にはそのような痕跡も見受けられず、どうしてこのタイトルなのか、という疑問が残ります。
1何かに追ってくると思ったら精液だったのかと言う衝撃があると思います。魑魅魍魎の鎧を付けた私の心が印象的でした。
1titleがもう目を引くのでその印象を崩さずに、でも新たな感覚に触れてくる。ぺえ太さんの新たな一面を見ました。良いですねこういうの好きです。ただ私の奥や疼くなどから想像は効いて来るので、オチとしての精液を強く置いてしまうより、松脂や頭痛と同じレベルにいた方が この詩全体の印象を読み手に委ねられたのかな〜と思いましたね
1好きだよ
0コメントありがとうございます。 >おおおおおいいっすねー こういったストレートな感想が案外書き手にとっては一番嬉しいものなのではないでしょうか。 私の言葉が三明さんのあるある射程圏内に入ったのならば光栄です。不穏に貫くこの雰囲気は壊さずに、また引き続きシコシコと推敲にハアハアしたいと思います
0コメントありがとうございます。 勝ち逃げできれば理想ですが…そうも簡単にはいかないのが現実ですね。笑
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