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鰐の子
顎の外れた鰐の子が 枯山の麓 阿呆面下げて突っ立って、 奥歯にぶら下げた鈴の根付けが 木枯らしに揺られてチリンチリン お前は歯並びが悪いからと 母は歯磨きを教えなかった 故郷を追われ此の場所に辿り着いた頃には 鈍らの牙は根元でぐらぐら 欠けて抜けての銀の歯が 痛くて痛くて泣いている 余所者の鰐はいつもはらぺこ 差し出されたものは無分別にぱくり 放り込めばなんだって飲み込むさまが 人間は可笑しくて可笑しくて 開きっぱなしの口の中に 腐った野菜やら、落ち葉やら、 小石やら、空き缶やら、レシートやら、 庭に落ちてた虫の死骸まで、 ぱくぱく食べる「足りない子」を見るのは さぞ楽しかろう、気持ちよかろう? 人間が愉快な玉入れに飽きる頃 世界はぴかぴかに輝いて ただこの世で鰐だけが 全てを飲み込んで汚れていた 鰐は食べる、人の悪意を それを悪意とも気付かずに 鰐は食べる、人の愛を それを愛とも気付かずに ぶくぶくと膨れ上がる白い腹が いづれ真っ二つに裂けたとて、 温かい涙を流しながら 鰐は食べる、 食べる、 食べる、
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鰐の子 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 344.6
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-16
コメント日時 2024-12-18
項目 | 全期間(2024/12/22現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
うますぎる。一票
1この鰐の子の胃袋はブラックホールにつながっているのでしょうか。 昔読んだ星新一のショートショートを思い出しました。
1孔子に、貪欲な竜の話があって、そいつは世界の全てを喰らい尽くして、最後に無の闇が残ると。 顎の外れた鰐は、与えられたものを飲み込んでいくけれども、神話の竜のように噛むことはできない。不完全。まさしく人間でしょう。 古代中国つながりで思い出した話があった。たしか漢文大系の「大学」だったかな(忘れちゃった)、中庸という概念が登場する。なにが妙って、極端と極端を用意してその真ん中を狙うってことが妙なんです。そこにダブルアジアっていう思想性がある。究極と究極をあわせてその中間を狙うっていう「中庸」が出てくる。めっちゃパンクっすよね。
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