靴をどこかに忘れてきたらしい
さすがに
名前よりも大事なものだけど
家の靴箱には何もなかった
空がとっくに青色なのはなぜだ
太陽から遅刻しますと留守電が入ったのに
さすがに
これじゃあ月と気まずいだろう
とっとと
私は急いでコンビニへと駆けるが足が痛い
さすがに
野菜ジュースのお腹に燦々と照ってるはず
店員がいない 全員黒子だ
パッケージから代役太陽が話しかけてきた
そもそも君はお金があるのかい
さすがに
ポッケに昨日コインランドリーで使った財布が
アレ
さすがに
ポッケの滝つぼに飲まれて
靴底に滑り込んだのだろう
そういえば靴はねえわ!
さすがに
コインランドリーに置いてきたのだろう
(靴じゃない 太陽のことだ)
とっとと
家に帰るが 車の鍵もない
アレ
そもそも車買ってない
さすがに
コインランドリーは在るだろう
(あの道の角に)
アレ
コインランドリーはあった
コイン精米機は
先月からねえわ!
さすがに
店員がグワグワと洗濯されてるけど
鍵が無いから救い出せない
アレ
そもそも道は退勤してしまった?
残業手当が出ないことに
腹を立てたに違いない
さすがに
この具合だと時計が無いのは当然
当然を享受している貴方
アレ
そういえば貴方は
居ねえわ!
なんと
靴裏が出勤して道に代わった
そもそも
忘却はバイトを辞めましたよ
貴方が産まれてくる前に
さすがに
店員が叫んでいた
靴裏に出ると月も居なくて
野菜ジュースが一本灯り始める
なんと
ぽつぽつと野菜ジュースが増えていくと
太陽もそれだけ繁殖するだろ
そもそも
自動ドアの隙間に足の爪を入れたくなるのに
さすがに
もそもそと
動く毛虫が茫然とする電波をかじる
茫然を傍受している貴方
なんという荒れ具合なんでしょう
川の氾濫
とっとと
叫びをレジ袋に詰め込んで道端に捨てろ
そもそも
家が線路に浮気してしまったのが原因なのに
探すに
値しない店員の顔写真が半月に見えても
そもそもそもそ
とっとととっと
タップダンスする靴がさっきから目の前にあるのに
さすがに
気づかないなんてこと
はねえわ!
レア!
に太陽に焼かれた
サワガニ
もそっと
お金が今さら洗濯機から這い出してきた
そのお金で私が道を買えればいい
逃がすさ
黒子の貴方がサワガニをかじりながら毛虫と
性交してしまっているのはなぜだ
半壊してしまった疑念の川を修復する旅
さすがに
私だけが靴を履ける車
なんと
私は靴を忘れてきたことを忘れてきた
とっとと 腹
青と赤の狭間に鍵をかけよう
アレはそこに在るだろう
さすがに
アレ
さすがに
作品データ
コメント数 : 11
P V 数 : 976.6
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-10
コメント日時 2024-12-21
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:976.6
2024/12/22 14時48分06秒現在
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一文ごと視界に見えるんですよね、それだけでヘンテコでたのしい。それだけで充分言葉と共におどる事が出来る。読み手が導かれる、何処へ?この詩の世界観に。呑まれて帰ってこれなくなる、チカラだ
1整然静然と出だしは始まって進んでいくけれども終わりにいくに従ってとっ散らかっていくドタバタドタバタ自身との対話周りとの対比がコミカルで面白いく読ませていただきましたよーちなみに僕はコンビニでお手洗い借りても堂々と何も買わず出てこれる本能重視型人間でーす!ありがとうございました。
1AOIさんは、導かれて帰ってこなくなる 三明さんは、終わりにいくに従ってとっ散らかって…面白いと 私もこの詩は、忘れた頃に読んでは魔力にやられていて、不思議な詩だなぁと思ってたので投稿しました。 「さすがに」、「とっとと」、「なんと」などなどが、記号化して乱雑に配置されていく。やっぱり、後半に行くにつれてボルテージが上がって、面白いですよねぇ
0さすがにで毎回ふところに飛び込んで来られるので面白い読み心地でした……というか、前に匿名の作品で通りすがりの公園のすべり台のうえのてんとう虫の話ししてる人がいて、そんなところにピンと合うわけなくて草(=つまりこんな面白い文章生まれて初めて読みました)ってコメントを書いたのですが……靴をなくすっていうのもめちゃめちゃ面白いですね。なぜならなくさないもん。。そこで安直に、詩ってもしかしてそうなのか?!と感じました。 文体っていうと乱暴になってしまいますけど、書き言葉も話し言葉もかなり開拓されたのかなと。そして、書き言葉と話し言葉の間のところはブルーオーシャンなのかなあ。それが、さすがに、なのかもしれないし、あるいはスクリプト言語のカプセル化された関数定義?ということなのかな そうそう。スクリプト言語だったらどうだろうと思って、私ならそしたらタイトルはadd_だけにしたかもしれない、そしてこれはある種のダックタイピングなのだろうと思ってもう1回読みました。それはよくわかりませんでしたが、、2回読みました。ありがとうございます
1次から次へ言葉がつながっていくのですが、つながりかたが非常に独特というか、僕にとっては非常に「突拍子もない」ように感じられ、楽しく読めました。ライトなコメントですが、楽しく読めればOKの作品かなと思いました。
1コメントありがとうございます。 冒頭から、面白いと言ってくださり嬉しいです。靴、失くさないですよね。 「書き言葉と話し言葉の間のところはブルーオーシャン」 まさに、その通りだと思います。 自分はプログラミングを一つも齧ってはいないんですが、書いた当時、その関数というものを調べてました。 if_contains_の部分は、母音の含有を条件にしています。 「i」音で終わった行の後には「さすがに」が来ます。「u」音で終わる行は「とっとと」が来たりしてますね。 しかし、詩全体を通して、全くその関数通りにも書きはしませんでした。 母音の他に、詩の流れの確信を持ちながら、「さすがに」などを置く。後半では感性という関数で言葉を配置していった詩だと、考えてます。
0混沌と化してゆく日常の些細な躓き。口の一歩手前まで来ているのにぐちゃぐちゃなまま吐き出した絵空事。上手く言語化出来ないアタマに苛々してきたところですが、作り込まれた文体がそのような事柄たちを思い起こさせヒヤリとした気分になりました。怖いなぁ…
1熊倉さん、(コメントさせて頂くのは)はじめまして。 >靴をどこかに忘れてきたらしい >さすがに >名前よりも大事なものだけど 靴=行動、生き方、名前=文字、名称、として読み始めました。(こう解釈するのは私の価値観でしかないんですが) 延々と続く秩序を欠いた世界、混沌とした世界観や整然としない個人の思考が描かれているように思いました。着地点として、 >青と赤の狭間に鍵をかけよう >アレはそこに在るだろう >さすがに 静脈と動脈の狭間にあるアレ=心臓。命、心。存在への問いみたいなものだろうか。問いというより、鍵をかける=守ろうという意識、かな、と。 心を守って行くって難しことかもしれませんね。…作品を読解することは、私にとってはそこに自分を見出すことでしかないのですが、すごく楽しめた作品でした。なんていうか、渦巻いているような作品、面白かったです。 私事ですが、熊倉さんの作品は私にとって難しい課題でもあったので(コメント出来る日が来る気がしなかったのですが)2024年の内にコメント出来てよかったです。ありがとうございました。
1コメントありがとうございます。 表現の細部に対し、とても鋭い解釈だと思います。特に、「赤と青」の解釈、私は好きです。他にも「信号」の色であったり、「昼夜」の色を意識して書いておりましたが、「血脈」は予想外で嬉しいです。(まだまだ面白さが見出せそう…!) またよろしければ、時には気軽に、コメントください。よいお年を!
1語り手を蝕む忘却が、文を追うごとに次第に深刻化していく様子に狂気を感じます。指示語と代名詞としての「アレ」を巧妙に使い、予想外の方向へと展開させるシュールギャグ的な世界観が感じられました。ストレスなく軽い気持ちで読み進めることができ、太陽からの遅刻を報告する留守電や、店員が全員黒子などのユーモア溢れる発想が散りばめられていて、純粋に楽しかったです。
1迷路に迷い混んでいく展開が、昔読んだ安部公房の壁という小説に似ているなと感じました。少し不安になりますね。
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