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[急募]僕の友達が行方不明です。
「ぱーっぱぱーっぱーーーっ!」「あの子です!我が子です。」 そう、あれが君だ。あれが君なんだよ。 君は落ちてゆく。 帰途に着く小学生の手から、 滑り出た飲みかけの缶ジュース。それが君。 垂直に真っ直ぐな線を下ろして カツン と音を立てアスファルトに拒絶された頃、 そこはたまたま坂だったから。 中に温もりを知った塊があったから。 転がりつつも 跳ねて 弾けて 中身を飛び出し 妙な円弧を描きながら、 本来ネガティヴの姿をしている行き止まりを 希望として落ちてゆく。 君は落ちてゆく。 文字となって、言葉となって。 一人だけの、そう、 かけがえのないたった一人だった君は、 事実になり 事象となり 拡散されてゆく。 数え切れない群像の口から、 名前と顔だけのクラスメイトの口から、 距離とかかる唾の数だけは恋人のようだった友人の口から、 そして、抱くものを失い 空を飲み吐き出す母の口から。 産み出された君はそれぞれ少しずつ違う顔をし、 際限ない諍いを始める。 なぜならば君は愛されていた、から。 君は落ちてゆく。 でも君なら無事だよね、君はたくましいから。 君は大きいよね、熊さんみたいだよね。 太っていたのかもだけど案外そんな感じはしなかった。 タッパがあったからかもね。 だって特注だったらしい。 「何が?」入れ物が。 「何の?」うるせぇ、黙っとけ。 幸い頭の損傷は少なくて、なんて 君の母さんは幾千も言ってきたかのように 優しい 優しい口調で話し始めた。 血がどうとか聞いてもないことすら。 君は落ちてゆく。しかし壊れなかった。 君の記録を「君」と呼ぶならば。 拾い上げられたそれは本物の「君」を待っている。 『裁判所命令を受け取り次第、リクエストして頂いた個人情報やデバイスにアクセス出来る様に、出来る限りのお手伝いをさせて頂きます。 只、パスコードでロックされているデバイスは暗号化されていますので、最近親者の方がデバイスのパスコードをご存じない場合、デバイスを消去しない限りはパスコードロックを解除する事は出来ません のでご注意下さい。』 (亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスを申請する方法- Appleサポート(日本)より抜粋) そうして僕は今日もレプリカと話し始める。 「汝に関わりなき事を語るなかれ、しからずんば汝は好まざることを聞くならん」 あれは本当で、君は増殖し、僕は逃げ出してしまった。 募集覧に僕は君が君である条件を書く。 今日も今日とて君と出会う。 ふとしたくしゃみの無数の全てが君だった。
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[急募]僕の友達が行方不明です。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 238.9
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-11-13
コメント日時 2024-11-14
項目 | 全期間(2024/11/15現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「母」を愛しているのですね。いいと思いますよ。 とくに全編に支配している「自己実現か、空白か」みたいな白黒思考がいい。 緊張感がありました。
1コメントありがとうございます。精進します。
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