窓を開けると春野が
九穴から僕の中に入ってきて
僕を食べつくす寄生虫
僕に恍惚の死をくれるだろうか
五月の風は
膝枕で寝ていた子どもの髪を撫でたときのように
絡みつくようでひとつも絡みつかずに吹き抜けた
指先を
まだ秋になりきっていない真夏の日差しが
虎杖の花をどろどろに溶かし
土砂降りの雨が蝋になってそれを覆った
たらの花はポンポンプチンと剽軽で
雨が降れば磯巾着の触手のように揺れている
雨靴はパプリカなので
雨に濡れた小さな子どもをとっても可愛く変身させる
郊外なら川を照らす街灯はまばらだ
月影の河原の小石は皓々と光り
一つ一つの小石はそれぞれの月となり、その
無数の月に萩の塵が迷いなく降り積もった
自分ではないと思っている自分を馬鹿にして、せせら笑って
ふさわしくない耳は聴覚過敏とかやらのせいで塞がったままで
目は過去のデータに覆いつくされていたので
仕方がないから、自分ではない自分を自分の鼻で嗅いでみたら
とんでもない悪臭で気持ちが悪く
弥立った身の毛が全身を縮み上がらせた
成長、成熟、大人、老化、老醜
奇麗だったから
性犯罪者
シャツから透けて見えている
乳首の形をずっと見つめていた夏の
思い出のTシャツ
釘が刺さっていたのは何処?
手首の辺りの
尺骨と橈骨の間らしい
ゆっくりと縦に真っ直ぐに 底なしの
砂の中に埋まっていく
棒の時間
私だって
叫びたい
あんなふうに
どんなふうに?
外性器がラムネの瓶だったらよかった
と、言っていた女
君は顔が壊れないうちに死んだ
枯野へ君を送っていったときの君と
枯野で出会った君は
別人で
君と君に関する言葉は
あれからずっと剥がれ落ちつづけている
どこから?
いや、剝がれるように落ちつづけている
どこへ?
棒の時間の中へ
トイレットペーパーが数を数える朝
他のどこにも分類されない複雑の増殖
頭の中に似ていて、暴徒と化して
集められた暴徒
どうしようもない地雷スイーパーの不足
不足押し寄せ自爆する師走
引き絞るものから引き絞られるものへ
「きりきり」が運ばれて放たれた
矢の行方のひとつは失望で、死ねば一大事でも
死ぬまでは生きていて
真白の白樺が立つ
真白の雪に黒々と穴が開き、根の国へ、いずれ春野
みんな生きているので
どんなぼろ雑巾も雑巾は雑巾で
雑巾の一つとして数えられる
まだ生きている雑巾も捨てられれば、生でも死でもない闇
もう抗議しても、それは抗議という役職のようなもので
悪く言えば抗議屋、良く言えば、思いつかないが、党首くらいか
そしてこの
当たり前のことを当たり前に書いている文章も
やる気が失せて終わる
という無気力
作品データ
コメント数 : 1
P V 数 : 207.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-11-05
コメント日時 2024-11-11
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/15現在) |
叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:207.0
2024/11/15 11時49分35秒現在
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かもしれないってロシアンルーレットみたいですね。 ああん?
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