砂場では2つみつくらいの子が親の目の前で
その姿をスマホで記念撮影しているようだった。
滑り台では小学生達が走り回っていいる
いつもなにか大きな声でうそぶいたりしている
僕は今、ブランコに乗っている
隣は娘が乗っている
「ねえ、お母さん、死んじゃうの。」
妻は突然、痙攣がはじまった。
左半身が動かなくなって崩れ落ちていった。
だんだんろれつがまわらなって
心配する僕にむかってたすけてと言った気がした。
救急車と病院でずっとギャン泣きする娘は
どうにか落ちついてやっと公園に来たところだった。
泣かせたくなかった。
昔はよくできたのに妻ができてから
すぐに簡単な嘘がつけなくなっていた。
いろいろ考えるようになってしまった。
答え待つ娘にあまり時間はない。
急にブランコを使った危険な遊び記憶を思い出した。
ブランコをこぐ、鎖を強く握り、足を強く振る
勢いをつけ、やけくそになってブランコの前にある安全柵を飛び越えた。
めちゃくちゃ怖かった。そういう度胸だめしだった。
柵を越えて、着地した娘にふりかえり、ニヤリと、わらった。
娘は目を丸くして
「すごい。」
といつわりなくいってくれた。
「ぜってぇ、大丈夫なので。心配すんな。でもなんこかお願いがあります。」
僕は本気で伝えたいだけは昔から娘にも敬語を使う癖があった。
内心は最悪のことが起きた時の対処方法のリストづくりが一歩もすすまず完成しないまま
最悪が起きた場面を想像しながら自分に耐性をつける訓練じみたことをしていた。
もっと泣くのだろうなとその想像がうまくできなかった。
それから僕はもう一回病院にいかねばならないので、まずこれから一人で帰って明日の支度準備とご飯とちゃんと寝て休むことを伝えた。
娘は娘なりに気をつかってくれたのだろう。
こくり、と承知してくれた。
公園を出るとやっぱり娘は泣きはじめた。
「ぜってぇ、大丈夫だから、さ。」
「ほんとうに?」
娘は不安そうな顔だった。
「マジ。信じろ。」
僕は仕事中の顔つきを思い出しながら娘の顔を見た。
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 371.3
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作成日時 2024-10-17
コメント日時 2024-10-20
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
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2024/11/23 17時08分08秒現在
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超短篇。あるいは「断片」といえばよいでしょうか。文学的な緊張が続きますね。一行あたりにすごくコストがかかっている。
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