死と乙女についてなど - B-REVIEW
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死と乙女についてなど    

 りんごのようなくちびるは、無垢に無邪気に歌などうたう。  死とはいかほど甘いのか?  恋に焦がれるような口振りで、砂糖菓子を眺めるような眼差しで、そっと頬に手をなど当てて。  我が身はすっかり熟しきり、されどこころはあの頃のまま。  クレヨンなどで画用紙を走り、校庭を駆けては草の実を潰した。  その色をくちびるに引いてみようなどと無分別に無鉄砲。  己の身から熱く脈打つ肉の塊をひり出して見せる母馬などに生命の誕生に思いを馳せる。  我が腹に手を当て、そのおそろしさに身を震わせる。  無垢な手がかつてむしった蝶の羽を思い、食すために切り刻んだ鶏の肉などを懐古する。  まことおかしなことである。そうおとなぶってみたところ、我が身が正しく大人であることにはたと思い当たる。  噛み裂いた肉が何かなど、今更どうでも良いことだった。  いのちをつなぐ食事などしながら、私は死を夢想している。  まことおかしな話ではないか。  熟し切ったつもりのりんごの、裏側はその実まだ青い。    そうして肉は腑に落ちて、ああ、これこそは死と乙女。


死と乙女についてなど ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 614.1
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2024-09-27
コメント日時 2024-09-28
#現代詩
項目全期間(2025/04/14現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
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 エンタメ00
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閲覧指数:614.1
2025/04/14 02時40分32秒現在
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    作品に書かれた推薦文

死と乙女についてなど コメントセクション

コメント数(2)
青十字
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(2024-09-27)

一字下げが逆に新鮮に感じるし、かなり目を惹きますね。良いと思います。

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おまるたろう
おまるたろう
作品へ
(2024-09-28)

よく練られた文章だと思いましたが、文章のよさと、連想のありきたりさが、ちょっとミスマッチな気がしてなりません。

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投稿作品数: 1