別枠表示
シュガー
窓のそとの濡れそぼる街にホワイトノイズが流れて ガラスを伝う水滴に世界はいろどりもなく反転する どれだけ手をかけても響かない鈍くて曖昧な空には 誰かがいつか諦めた夢が零れるくらいに融けていて ぬるんだ雨に僅かに紛れて街へと静かにふりしきる わたしは冷たい部屋でお湯を細くつうぅと垂らして もうすぐむかえる夜の思いと同じ濃度になるように 青くなめらかな陶器にゆっくりとコーヒーを淹れる フィルターの微塵がお湯を含んでぷつぷつと泡立ち 器の白い内側で濁った液体の嵩が音もなく上がって やがて残った一滴がマグへと落ちてぽつんと弾ける 呼吸を殺して水溜まりがすっかり静まり返ったとき きみが見た夢はこの景色には含まれてないかもって わたしは生まれる前からわかってたことに気がつく 茶色の角砂糖をひとつ融かしたコーヒーをすすって もしかしてわたしの夢も同じなのかもしれないって そんな気持ちを味蕾で紛らわすほど強くはないけど きみの纏う寄る辺ない孤独に心のどこかで憧れてる なじんだマグを左手に持ちかえてから窓へと歩いて 答えのない薄墨模様にQRコードをかざしてみたら 期待はずれの鮮やかな未来なんて映るわけないから わたしは日焼けのない白い顔からめがねをはずすと 濁った河にちらちら泡立つ光をぼんやりと見つめる
シュガー ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 771.6
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-01
コメント日時 2024-09-03
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
できればPCかタブレットでお読みください。 携帯だと行分けが読みずらいかもしれません。
0この詩は**上位10%**に位置すると評価します。 ### **評価と分析** **1. 詩の構造と技法** この詩は、**視覚的な描写と内省的な心情表現を巧みに交差させた作品**です。情景の描写を通じて、語り手の心の奥底にある感情や思考が浮かび上がってきます。 - **三連の対称的な構造**:詩は三連の構成で、各連に異なる情景と心情が描かれています。第一連は外の世界の描写、第二連は部屋の中での行動、第三連は内的な気づきと考察に焦点を当てています。この構造により、詩全体が静かに進行しながらも、深層での変化を持っています。 - **詳細な視覚描写**:視覚的なイメージが強調されています。「ガラスを伝う水滴」「青くなめらかな陶器」「茶色の角砂糖」など、具体的な要素が多く登場し、それらが詩の雰囲気を鮮明にしています。これにより、読者は詩の情景をリアルに想像しやすくなっています。 - **反復的な要素の活用**:詩の中で、特定のテーマやイメージが繰り返し使われています。例えば、「融ける」「濁る」「弾ける」などの言葉が、異なる文脈で登場し、詩全体に統一感とリズムを生み出しています。 **2. 詩のテーマと意味内容** この詩のテーマは、**孤独と諦め、そして自己と他者の間にある微妙な距離感**です。語り手は自分の夢や希望を見つめ直しつつ、他者(おそらく愛する人)への憧れや共感を描いています。 - **孤独と無力感**:詩の中で描かれる「濡れそぼる街」や「曖昧な空」、そして「融けていて」などの表現は、語り手の孤独感と無力感を反映しています。特に「ぬるんだ雨に僅かに紛れて街へと静かにふりしきる」などのフレーズは、希望や夢が無意識の中で失われていく様子を暗示しています。 - **内省と再評価**:「わたしは生まれる前からわかってたことに気がつく」などのフレーズで、語り手は自分の内面を深く掘り下げ、これまで気づかなかった感情や考えを再評価しています。これは詩の核心的なテーマであり、読者に対しても自己反省を促す効果を持っています。 - **夢と現実の境界**:詩の中で、夢と現実が交錯する瞬間が何度か登場します。例えば、「きみが見た夢はこの景色には含まれてないかもって」というフレーズで、夢と現実の間の曖昧な境界が描かれています。これにより、詩全体に幻想的な雰囲気が加わり、読者を引き込む要素となっています。 **3. 言葉の選び方と表現** 詩の言葉遣いは**繊細かつ計算されたもの**であり、読者に強い印象を残します。 - **感覚的な言葉遣い**:「冷たい部屋でお湯を細くつうぅと垂らして」「茶色の角砂糖をひとつ融かしたコーヒーをすすって」など、五感に訴える表現が多用されています。これにより、詩の中の静寂や孤独感が際立ちます。 - **新しいメタファーの活用**:「濁った河にちらちら泡立つ光」や「QRコードをかざしてみたら」などのメタファーが新鮮であり、現代的な感覚を取り入れています。これにより、詩がより一層、読者の興味を引くものとなっています。 - **抑制された感情表現**:感情を直接的に表現するのではなく、風景描写や比喩を通じて間接的に語っています。この技法が、詩全体のトーンを抑制的でありながら深いものにしています。 **4. 改善点** - **感情の深みの追加**:現在の詩は非常に内省的で感覚的ですが、もう少し感情の深みを加えることで、読者へのインパクトをさらに強めることができるでしょう。特に、語り手の「きみ」に対する感情や憧れをもう少し掘り下げて描写することが考えられます。 - **物語性の強化**:詩全体に物語性を持たせることで、読者が詩の展開を追いやすくなる可能性があります。現状の詩は情景描写が中心ですが、語り手と「きみ」との具体的なエピソードを一部取り入れることで、詩のダイナミズムを強化できるでしょう。 **5. 詩の意図と解釈** この詩は、**孤独感と夢への憧れ、そしてそれらが現実の中でどのようにして消え去っていくのか**を描いています。語り手は冷静である一方で、心の奥底にある感情を抑えつつも、その感情の存在を認識しているという二重の態度を取っています。 ### **結論** この詩は、視覚的で内省的な要素をうまく融合させた、魅力的な作品です。現代的なメタファーと繊細な感情表現が特徴であり、読者に対して強い印象を残すものとなっています。上位10%の評価に相応しい詩といえます。
1最後の連が良かった。新時代の占いみたいで気が利いている。
1イルミネーションが光る街に白い雪が降る風景が脳内でイメージされました★ ネーミングも素晴らしい★
0全行同じ字数で書いてるのですね。いいですね。 何か規則を作って書くことで出会えるものがあると感じました。 9~11行目が目の前の完全な写生になっているのもよかったです。
0ありがとうございます。いろんなデータを入れていったら数年後にはすごいことになりそうですね。
0湖湖さん、ありがとうございます。占いはやったことありませんが、確かにそんな感じですね。
1はじめまして。九十九空間(つくもくうかん)です。 佐々木遥という歌人がいるので、お名前から彼女を連想しました。 ホワイトノイズという言葉を初めて知りました。ネットで調べると、「あらゆる周波数成分を同等に含む雑音」だそうです。YouTubeでホワイトノイズの音源を聞いてみたところ、確かに雑音だなと思いました。しかし、ナチュラルな雑音というよりは、人工的な、機械的な雑音だったので、町の描写としては少し似合わない気がしました。 詩の形はぴしっとした長方形なのに、言葉はある意味でJ-POPの歌詞みたいで、肩の力が抜けているので、そのバランスが面白いと思いました。
0情景が鮮やかに蘇ってくるようで、映画を観ている感じで良かった。 コレはすごく良い詩ですね。
0絵になる作品...のようで、なりそこねた感じもあって、なんか惜しいような。ただ、こういうぎりぎりのところで勝負しているストイックさは尊敬します。
0九十九空間さん 作品修正してこの作品を上に上げたくなかったので、レスが遅くなってごめんなさい。 ホワイトノイズはあんまり深い意味はなく、結構好きでよく聴いてるんです。 基本的にずっとBluetoothで音楽聴いてるんですが、それに疲れるとノイズを聴いてて、それがキレイな雨みたいに聞こえるんですよね。ちょっと変わってるかもしれませんが。 九十九空間さんの作品のコメント欄が盛り上がってますが、あまり気にせずとにかく自分の自由に書けばいいと思います。プロフィールだって自分で決めればいいと思います。自分の代わりはいないし、けっきょく自分のことは自分で決めるしかないので。 返信は不要ですが、もし返信するなら(修正版)の方にください。 こっちはもう上にあげたくないので笑
0