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暗号
こうえんの隅に描かれていた、てんしの横顔を見て、「祈りという文字は、ずきずきするから、いのり、へとひらかれていく、」と、書きつけたくて、あたしがノートをひらくとき、 回転扉のむこうでは、こいびとが、あたしのいのりは届かなかった、というジェスチャーをなん度も繰り返している、 (※両手のゆびさきだけを合わせて、とても速く動かしてから、そのあいだに膜を作ることは、いのりが宛先不明であったことを示す) 白詰草とクローバーのかんけいとおなじように、あたしたちも、もつれあって泳ぐ脊椎動物どうしだったのに、どうして回転扉の向こうなんかにいるのか、腹が立って、とがらせた爪先で、地面に、いくじなし、と大きく書いてみる、 それから、すっかりくたびれた脚を引き摺って、ベンチに座ってから、「てんしには眉毛がないようだ、」と、ノートに付け加えてから、あたしは、あたしに書かれることによって、よごれていくぽえむのことを迎えにいく。
暗号 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1271.4
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2024-08-13
コメント日時 2024-08-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ハツさん、はじめまして。 上手いなぁと思います。上手いと旨いと美味いがミックスしたような、そんな五感で感じるような不思議な魅力で、読んで心地よく、そして切なくなる作品でした。
1何度も読み返すことで書かれた内容に近づくことはできる。そしてその場面をイメージすることもできる。でもそれらが歯車になってひとつの滑らかに動いている風景みたいなものを読み手に想像させるためには、何かまだ足りないものがあるように感じました。作風的には、少し大胆に、世界から手足をはみ出してみられてもいいかもしれません。 ここからは作品の内容からやや脱線しますが何かヒントになるようなことがあればと思って書きます。眉毛のないてんしだと「忘れっぽい天使」がスッと頭の中に浮かびました。「忘れっぽい天使」には、ちょっと違和感を感じるところがあるんですよね。大人が書いたとは思えないような、どこか暗号的でもあって、その違和感のもとは利き腕じゃない左手で書かれたからだと後になって知り、利き腕ではない方の手は純真さが宿っているのだと思いました。実際に公園に行くと、地面に絵が描いてあることがあって、遊びが終わった跡を眺めながら、子どもって誰かに自慢するために絵を描くんじゃないんだと、思ったりして家に帰ります。その横に少しだけ上手な暗号を残して。
1いい作品ですが、もうひとひねり、遊びがほしいと思いました。ほぉ~となるような。
1追記ですけど、文章全体の形がふつうで、のっぺりしている。 よい詩ほど全体が「きゅっ」と締まっている感覚があると思っていて、そこらへんの美的意識が希薄なんじゃないかな。
1なんとなくクレーの天使の線描をイメージしました、 いのりの宛先が不明である事が余韻を残す。 あどけない書き方のようで、造形的な意識を感じる、
1ronaさん、初めまして。コメントありがとうございます。そんな風に言っていただけるような作品かどうか、自分ではわからないですが、嬉しいです。ありがとうございます。
01.5Aさん、コメントありがとうございます。骨組みだけゴツゴツ見えてる感じで、余韻を感じる余白を作れなかったので、詩を書くって本当に難しいと思います。もっとのびのびと想像力やら、諸々の手足を伸ばせるといいのですが、神経質なので、のびのびと真逆に生きてしまっています。いつもコメントありがとうございます、励みになります。
1おまるたろうさん、コメントありがとうございます。遊びがほしい、わかります。わたしも正直、骨剥き出しの余白のないものになっちゃったなと思ったので。書いたものの見た目に関しては、研究します。コメントありがとうございました。
0ryinxさん、コメントありがとうございます。お元気ですか? コメントもらえてウレシイです!わたしもあの線画と、あとクレーの絵全般、好きです。印象的なコメントありがとうございました。
1よく、良い詩を読むとため息が出て、うなだれて首が落ちそうになる生理反応が出ますが、この詩の第一連と第二連でなってしまいました。すごく良い。 色々考察したい点が散りばめられています。「祈り」がズキズキするから「いのり」に開かれていく、という発想がありますが、「じゃあ他の言葉も何かしらの理由でひらかれているのか?」と想像させられます。 「こうえん」、「てんし」、「こいびと」、「なん(なに)」、「ゆびさき」、「かんけい」、「おなじ」、「どうし」、「とがらせた」、「いくじなし」…… 仮にどれも、平仮名にすることで何かしら語気が緩和されるものだとして、腹が立っても「いくじなし」と書いていることや、このひらいていく発想は柔らかさ、純白さみたいなものが感じられそうなのに、自分の書くものを「よごれていくぽえむ」と卑下しているところとか、この詩中主体の人柄が伝わってきます。 あとは恋人と自分の指の違いとか(相手はゆびさきを合わせて祈りますが、自分は爪の伸びた指で落書き、という対比)、なぜ回転扉なのか(言葉をひらくことと関係?)とか、様々な解釈ができそうで面白い。良かったです。
1すみません、投票し忘れました。
1最初は自分の好みじゃないということがはっきり感じられて、 読み飛ばしてしまったんですが、 何度も見掛けているうちに好きになってきました。大人になってから、子供の目線がある詩を書けるのは、珍しいことかもしれません。
1とても繊細な作品だと思いました。静かな部屋で、静かに読むとしみてくるような。そういう意味では、勝手な想像ですが、ハツさんの人柄があらわれた作品(ハツはこういう方なのではないかと思わせる作品)なのではないかと思いました。
1熊倉ミハイさん、コメントありがとうございます。熊倉さんは、いつも丁寧に読んでくださるので、こちらの背筋も伸びます。もうちょっと頑張りきれたらよかったのですが、最後まで持ちませんでした、書き手的には。でも良いと言っていただけたのはありがたいです。丁寧なコメントありがとうございます、わたしも書くことにもっと丁寧に向き合おうと思いました。
1羊飼いさん、コメントありがとうございます。最初読み飛ばしてたんだけど系のコメントを頂くと、ヒョエ〜となって思わず薄目でコメントを読むことになるんですが、反面、それでも読んで、コメントまでくださってる!となんだか気持ちが忙しくなります。結果、嬉しいです。コメントありがとうございました!
0佐々木春さん、コメントありがとうございます。こういうひとなのかなと思わせる作品……!と書いていただいて、やっぱり佐々木さんのコメントやコメ返しの切り口好きだな〜と思いました。うまく言葉にできないんですが、なるほど、って画面に向かって言いそうになりました。うまく言葉にできなくてスミマセン!でも腑に落ちました。 佐々木さんのコメントはなんか……佐々木さんが井戸の底に向かって話してるような?声の反響のようなものを感じるんですよね。言葉で書くのは難しいですが。不思議なことです。コメントありがとうございました!
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