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見えないもの
勉強、勉強と言いながら どうしても放りだして書きたくなる 目はもう 紙と目の間の 光の反射しないゆらぎを見ている 耳を切る 風の響きを感じ グリップを手前に捩じ切るぐらいに 体で 手の平を圧し 進みたい、進みたい、と 息と、脈と、鼓動とが輪り 弾みをつけて 前方に転がり込む つばを飲み込みながら 身体を 進めろ 進めろ 足の疲労を 力いっぱいに 駆動して 消し去りながら 目だけは海を見ている つむらずに まだ見えない 海を見ている 追いつかないから 腿と呼吸とを 駆って 回して 追いかける 心は 海の渦に呑み込まれて 海をただ追いかけている
見えないもの ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1084.6
お気に入り数: 4
投票数 : 6
ポイント数 : 0
作成日時 2024-01-24
コメント日時 2024-01-27
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
その海は広く青く遠く荒れ狂う希望であり行く先の根源、原動力とありましょう。なにを選んでもこの衝動の満ち引きであって、さきは見えないものだから。海は迷宮であり穏やかで呑み込まれる、坩堝でしかなく、そのパンドラの箱、と置いて、さて未来とするならば。((すいません、なんか返詩みたいなんですけど、違う!これ読んで素直に出た感想なのです。自分素直に書くとこうなる……んあ……スマン!私も今これを読んで衝動的に海を(あなたの詩を)追いかけて、しまいました。(*_*;)トンチンカンですいません……)
2書くことそのものへのエネルギーを、高解像に映した力強い詩。第一連の軽い始まりから、第二連への跳躍は油断してしまいました。 「紙と目の間の/光の反射しないゆらぎを見ている」 この言葉がこの詩に息を吹き込んでいると思います。「今、何かを書く、その時」に、紙や目などの物質的なものではない何かを感じ始める人こそ、書く力がある人なのだと、もっといえば書くべき人ですね。 そこから、書くという行為を指先だけに任せるのではなく、身体全体で踊るように書く躍動感。「書く」=「走る」へとイメージを変化させていく。 そして最後に、伏線を回収するかのようにあの「ゆらぎ」が「海」として現れてくる。言葉の海だろう。そこでは身体が思うように動かない。 その絶望に呑み込まれてもなお、「海」をただ追いかけるのは、果たして我々には可能なのかとこの詩を受けて考えてみる。私たちが海を想像するとき、それは一般に浜辺から眺める静かな海のイメージが理想かもしれない。サーファーなら荒波かもしれないが。 詩人はそれらとは違って、渦に巻き込まれる海に自ら入っていくような人種だ。自分の思想に何度もイロニーのメスを入れて、堂々巡りになりながら遭難していく言葉の放浪者だ。私たちの望む海は一体どこなのか。それは見つかるものなのだろうか。その答えは、やはり目線を紙に向けた時に見えるあの陽炎にありそうである。 良い詩だと思いました。
1肉体感覚と、幻視的観念と、記述のみずみずしさがとても佳い、と思いました次第でございます。 健全且つ、陰の無い佇まい。 例えば、新人賞などに求められる素質、資質の空気感を具有していらっしゃると、感受を致しました。 書き続けて行かれましたならば、如何様に成長なされ、成果を御残しに為られるのかがたのしみでございます。
1見えないもの、というタイトルを見たとき、これは居住まいをただして読まなければという ことを思いました。真摯な思考を、存在に対してぶつける、作者の祈りの届くべきところ とは、この世界にたくさんあります!
1「紙と目の間の光の反射しないゆらぎ」 という表現が特に好きです。 繊細で美しく、それでいて躍動感のある文体から、豊かな表現力と感性が伝わって来ました。 言葉のリズムに身を任せて、読んでいるこちら側も一緒に風を感じているような感覚を味わわせてもらいました。 読んでいてとても楽しかったです。 まだ見ぬ広い海へ、あなたの若々しい感性で駆け抜けてください。
115歳にとっての海に闘いや現実に対する挑戦を想像しました。丁寧で力強い描写ですね。
1コメントありがとうございます。 A・O・Iさんのコメントを読んで、恐縮ながらなんだか微笑ましいと思ってしまいました。詩のような感想が出てきたというのは、私の詩でも人の心を動かせたのだな、と嬉しい限りです。
1コメントありがとうございます。 「紙と目の間の〜見ている」の部分を褒めてくださり嬉しく思います。「世界」は沢山の人間の目線が繋がり合って構築、認識されていると思います。詩に書く心や想像などは他の人には見えないから「世界」の一部にはなりませんが、やっぱりその人自身だけには見えている。その実感を表したつもりです。
0コメントありがとうございます。 成長を楽しみにしてくださるというのが特に嬉しく思いました。賞というより(そもそも夢のまた夢ですが)、ビーレビが好きな居場所の一つなのでここへの投稿は続けたいな、と思っています。
1コメントありがとうございます。 授業で存在と非存在、見えるものと見えないものの対立構造は大きなテーマの一つだ、と習ったときに、詩は見えない心を見える言葉にする、なんだか凄い行為なのでは…!と思いこのタイトルをつけました。
1コメントありがとうございます。 一緒に風を感じ楽しんでくださったようで、やっぱり詩に書いた感情を人が共有してくださると本当に嬉しいですね…!
0コメントありがとうございます。 挑戦するときの期待と焦りと高揚感を抱えて進む気持ちが表せていたら良いな、と思います。
1疾走感や説得力みたいなエネルギーを感じました。それは一般的な部類とは少し違う特有のベクトルだと思いました。
1コメントありがとうございます。 実際の体験で得た体感をそのまま書いているからかもしれません。そこから説得力が少しでも生まれていたのなら良いな、と思います。
1作品内で書かれているような爽やかな瑞々しい感情が自分のうちに湧いたことも、それを言葉へ移し替えて実感したことも正直ないのですが、その分こちらの作品の三ツ矢サイダーのような爽やかさが強く感じられた気がします。経験したことがない分、文字で書かれたものがせまってくる感じを受けました。瀬尾まいこの『図書館の神様』くらい爽やかでした。
1コメントありがとうございます。 「爽やかさを感じる」と仰ってくださって嬉しく思うのですが、重みがない詩だとの柔らかな揶揄なのかもしれません。瀬尾まいこさんの作品を出されたので、余計に(失礼でしたらすみません)そう思ったのですが、もっと肉厚な詩を書きたいので精進します。
1揶揄する意図などは一切ありません。私も肉厚な詩を書けるようになりたいのは同じなので、お互いに精進していきましょう。返信ありがとうございました。
2受験勉強や資格のための勉強、それらを放り出して、詩作とは限らないのですが、何か書く。海に飲み込まれた自分は海をただ追いかけている。その後、続く詩であるような気がしました。
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