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塩の柱
氷の針が心臓に突き刺さって苦しいと思うとき 海から全ての海水が巻き上げられてぼくの口へ吸入器のように入れられるとき きっときみはひとつの歌を口ずさむ ひとつの祈りを口ずさむ、ひとつの海の駅名を口ずさむ 永遠と惑星という言葉の隙間に橋を架け謎の天体を砂時計のように転がしてみるのも研ぎ澄ました言葉を見つける旅みたいだ 世界地図を展げて星の履歴書をみつけたって喜ぶきみはきっと死んだ猫の首輪を探しているね 枕もとのブルーレィレコーダーの録音タイマーが作動してうるさくて眠れないのは星の青い光が抜け出してきみの眼底を這ってしまうからだ 眼なんて何にも視てこなかったし今だって書いてる世界のペン先さえ見えていないのに見たと嘘をつく人、フリをする人、気が付かない人 そんなのは蜥蜴が尻尾を切って爬虫類から哺乳類に進化するほどの事件じゃないんだ 死んでしまえばいくらだって眠れるんだからね もしこころがひとつの建造物だったらもっとずっと透明な柱を打ち込むはずだったのにもっとずっと偽らない部屋をつくるはずだったのにといくら悔やんでもぼくは未だ塩の柱じゃないから苦い海水はもう飲まない 書いたもの、書かれたもの、投げ捨てられたものそれは大きな冷凍庫に吊り下げられた動物の死骸のようにこれから人の役に立つことだってあるんだとぼくは屋上からさよならと言って飛び降りようとする人が最後に見る月のようにきみに語ってもいいだろうか
塩の柱 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1136.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-09-04
コメント日時 2017-09-12
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
初めてあの、白島さんの書いたものに、コメントさせていただくのであの、恐縮ではあるんですが。 あー!これだ!流石なんですね! 分かりやすくて、情熱的で、私が探していたような詩であります! あの、分析したり、比喩をですね、あの、こういうことが言いたいんだろうとかですね、そういうことは私には上手く言えないんですけれども、決して怠けてるとか諦めてるとかいうわけではなくてですね、なんとかしようともがいてもこれがなかなか、本当にできないわけです。けれども、そんな必要もないくらい、伝わるものがあると、そういう風に私は感じました。なかなかその、人様の書いた詩にコメントをつけるということが出来なくてですね、難しくて、でも、これは分かるんです!これは私にも分かるんですよ!そのことが凄くですね、嬉しいんです。本当に、ありがとうございます!読めて良かったです。
0ぎゃあああ!! なんか、私は、よくわかりやすいものが好きだと思っていたんですが、これはよくわかんないはずなのに、なぜかよくわかって、ガー!! ってきます。
0塚本一期さん ご感想をありがとうございます。 理論的に整然とした詩評も嬉しいですが、このように直截的な感想はさらに嬉しいものです。 何か、「私が探していたような詩」だなんて言っていただけると、作者冥利に尽きます。 この作品は詩作に復帰して、最果タヒに感化を受け、書いたものです。 それまでは、名前も知らないほど、詩から離れていましたが、恐ろしい若い詩人が出現したものだと思いました。人によって好き嫌いがあるようですが、私は大好きですね。ただし、好きなのは今のところ詩だけですが。 仲程さん お読みいただき、ご感想をありがとうございました。 最終連は結構、書き直しをして、推敲しました。 田中修子さん ガー!!ぎゃあああ!! 私も嬉しい悲鳴を上げております。(笑 修子さんのこの直截性、大好きなんです^^ また、ウギャオオーー!!って言っていただける作品を書いていきます!
0そうだったのですか。 いや、タヒちゃんに影響を受けているものだとは、おもいませんでしたね。 私はバカですので、タヒちゃんのほうが難しいです。言葉の選択が異常なまでにオシャレなのはすごく感じますけれども。 そう言われれば、センチメンタルは、タヒちゃんの持ち味であったな、などと、思い返しました。
0こんにちは。白島さん。 とても、おしゃれですね。 読んだとき、ひっくり返りそうでした。 かっこよすぎて、びっくりしました。 言葉を極めて多彩に扱っている こういう詩も書けるんだと、ただただ感心しております。 とくに、最後の連は、こういう言い方を、良く思いつくなあ、と 只々,凄いと感心してしまいます。
0「屋上からさよならと言って飛び降りようとする人が最後に見る月のようにきみに語ってもいいだろうか」 という部分がとても素敵で思わず言葉を失いました。情景が目に浮かびます。
0塚本一期さん 最果さんは、好き嫌いが分かれるようですが、詩作に復帰してから初めて読んだ時の衝撃は、私には大きかったです。まあ、文極にもいらっしゃったようですから、みなさん、評価は分かれるのでしょう。 センチメンタルですか。そうかなー。私は彼女の詩に、非常に冷めたものを感じました。 前田ふむふむ さん 結構、スタイルはいろいろあります。 悪く言えば、まだ、自分のスタイルが確立してないとも言えますが、 いろいろなスタイルで書くことが楽しいので仕方ないですね。 硝子さん お初です。お読みいただき、感想をありがとうございました。 そうですね。この詩はある詩誌の企画で寄稿したものですが、 挨拶(おはよう、こんにちは、さよなら等)を入れるのが条件でしたので、 最後に「さよなら」を入れた次第。 でも、思わぬ効果があったようで良かったです。
0〈ひとつの海の駅名〉ひとつの海、という言葉の持つイメージと、海の名、という予測を裏切る駅名。なんとなく『千と千尋の神隠し』に出て来る、海の中の駅・・・賢治の銀河鉄道を、海の中に引いたような、そんな駅を連想しました。 〈永遠と惑星という言葉の隙間〉永遠、という、あまりに大きすぎて扱いにくい言葉を最初に持ってきて・・・惑星という、ある種の具体物を持ってきて、そこに〈隙間〉を見出す。イメージを扱いながら、言葉を探っている。この感覚から思い出したのは、『雪の女王』の中に出て来る、氷の池のイメージ。たくさんの「言葉」が氷で作られていて、その言葉をパズルのように組み合わせたり、積み木のように遊んだりしているシーン。ほんとうの言葉を見つけ出すまでは、その場から逃れられない、という宿命を負っていて・・・そんな知性の凍てついた荒野に閉じ込められた少年を、少女は、共に「ほんとうの言葉」を探し出すことによって解放します。(手元に本がないので、うろ覚え、ですが)〈星の履歴書〉とは、いのちを遡行する、というような感覚なのかな、と思いました。 三連が、いちばん、タヒさんっぽい、かもしれない(笑) 文体的には、ここは「白島」さんっぽくない、ような気はしました。死、という文字の、一本棒の下を読むと、タヒ・・・ご本人は否定している、とのことですが。徹底的に「死」とは何か、と考え続けている、最果さん、なのかもしれない、と思う時はあります。 最後の二連からも、やはり、雪の女王の氷の池で、言葉を探し続ける少年・・・心に悪魔の作りだした鏡の欠片が刺さってしまったまま、少女を(ひそかに)待ち続けている少年、を思いました。 聖書と結びつける必要性があるのか、ないのか・・・意味を知らなくても、調べなくても、なんとなくイメージのわく言葉ではありますよね・・・。 人柱とか、神様をひと柱、と呼ぶのを思い出しつつ、日本的な感性では、塩の柱は、真っ白に結晶化した人の姿、のようなものを想起するのではなかろうか、と、思いました。 言葉を探し続ける行為の、ある種の不毛性と、それでもなお、その行為に憑かれた者のイメージ世界。飛び降りた先には、「死」ではなく、新たな誕生があるような気がします。
0白島真さま 御作にコメントさせて頂きます。 言葉の七変化を見るような。つかみどころがない、それでも芯はしっかりとあって。惹きこまれていきました。 最後の言葉の強烈さは、かなしみや切なさの濃縮のようで強く印象に残りました。
0白島 真さん、こんにちは。 他サイトでも読ませていただきましたが、素敵な詩ですね。 (本作は縦書きが更に似合う気がします。) 個人的には第2連が一番好きです。 詩的な世界が、違和感なく心にすっと入ってきます。 誰でも自然に馴染める言葉で詩を構築できるのは、本当に素晴らしいと思います。 これからも楽しみに拝読させてください。 以上簡単な感想ですみません。
0白島さん、こんにちは。ここでは初めましてですね。 何といいますか、初めから最後まで一気に読んでいてこんなにも胸が高揚するような作品に、久しぶりに出会ってしまった感があります。 「もしこころがひとつの建造物だったらもっとずっと透明な柱を打ち込むはずだったのにーーーー」この一連は共感?なんて言えば良いんでしょうか…わたしも出来ればそうしたいと思いました。 余韻の残るすばらしい詩です。
0「ひとつの海の駅の名前」からはじまる生死を内包した宇宙観に酔いました。 白島さんの詩の世界は広いですね。 常にチャレンジしつづける言葉への情熱とともに、どこか冷めた俯瞰した世界がマッチして、いいですね。 この作品、とても好きです。画面からこの詩の世界がはみ出していました。
0「ひとつの海の駅名」ですね。すみません。全然受けるものが違ってしまう。
0まりも さんへ この詩からジプリとディズニーの二つのアニメ映画を想起してくれたことは嬉しいです。 元々、私の詩は観念的なものが多いので、像を結びにくいのが欠点でもありました。 (像を結ぶということは一種のリアリティーを獲得するということですから) 詩体を散文詩に変えると、選択する語彙が変わってくるし、スピード感も変わってきて、 結果、従来にないものが出てきたのかもしれません。 ただ、私は「アナと雪の女王」は全く受付ませんでした。(妻も) 友人がいい、いい、というのでDVDを借りたのですが、 あの大きなお目目のキャラを全然いいとは思えない(笑 ジプリお方はすきですけどね。 星、惑星、月、銀河、遊星、こういった大きなイメージ、あるいは使い方によっては既視感のある言葉たち それをどう表現していくかは非常に難しいですね。失敗すれば陳腐なものになってしまうし、 成功すれば、大きなスケールで人間や人間の魂との思わぬかかわり方が表現できます。 ご感想をいつもありがとうございます。
0夏生さんへ 言葉の七変化!!これはうれしい言葉ですね。 ありがとうございました。 宣井 龍人 さん なかなか新作が書けなくて、ここと他サイトではメンバーが違うので あえて投稿してみました、自分としては従来のパターンを打破できる可能性がある作品と思っています。 書いていて、何故か言葉がすらすら出て来るんですね。死んだ猫の首輪だとか、塩の柱を含めた4連は殆ど天から降ってきた感じで書けました。2連はやや推敲が多かった連ですね。 ご感想、いつもありがとうございます。
0amagasasasiteさん お初ですね。こちらでは、というとあちらですかね^^ 「もしこころがひとつの建造物だったらもっとずっと透明な柱を打ち込むはずだったのにーーーー」 この箇所も比較的スーと天から舞い降りたような感じでした。 当然、多少の悔しみは残りますが、「今」を大切にしていくしかないですよね。
0あおのみどりさん とっても嬉しいご感想、ありがとうございます。 ちっぽけな人間の心情に宇宙観をもたせ、図太い精神を表現してみたいとは ずっと思っています。この作品もまだまだその一過程に過ぎないのですが、 好きといってくださったこと、今後の励みになりますし あらたな原動力になります。嬉しかったです。
0まりもさんへ(追記) 『雪の女王』はアンデルセンの童話の話でしたね。 お目目大きいとか、完璧に間違いw 無視してください。
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