別枠表示
フラボノイド
仏頂面の4拍子 歩く調子も 単調で 生き急いでいるみたい 整備されたアスファルトの道は とても歩きやすい でも、それだけ 白線の内側 規則正しく並んだ側溝の穴に 履き潰したハイヒールで毛躓く不意の逆蜻蛉 こんな瞬間を ずっと待っていたのかもしれない 色のない色眼鏡のはずし方を 思い出す瞬間を 天地無用の貼紙が邪魔で仕方なかった こんな呪いの言葉 もう要らない 無価値な紙屑は 破り捨ててしまおう さあ 丹頂から蝶々へ 五段飛ばしで駆け上がる 諦観の贋作に騙され続けたこの街を 我が手で転覆させるのだ 背中から飛び込んだ水溜りは晴朗 薄膜の干渉で架かる虹 鏡面を滑る飴坊は 自由気ままで思うまま 白黒の鍵盤には日照り雨 降り注ぐ光芒を銀のペダルで打ち返す キラキラのラリーは2拍3連のリズムに乗って 街角の郵便ポスト 押しボタン横の横断旗 手繋ぎ親子の道路標識 色の点いた景色の中 夜明けの先頭を掻き分けて進む 下ろし立ての靴はもう 足に馴染んでいる いま 道の真ん中に立っている 路面に描かれた白々しい言葉は いつの間にか消えていた 後にも先にも誰もいない 一から始めるまっさらな世界 蹴飛ばした停止線 私はいま 道の真ん中に立っている
フラボノイド ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 617.2
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-10-23
コメント日時 2024-11-01
項目 | 全期間(2024/12/27現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ふとそこにあって欲しかった、痒いところに手が届くような、ささやかで気の利いた言葉の連続で読んでいる自分も前に進みたくなるような気分になりました。 言葉の選び方が繊細かつ聡明で、軽やかに読むことができました。
1途中まで、リスキーな思いが書かれていると思いました。ただ、その着地のしかたが新しかったので、不思議な感覚。 自分の生活の単調さ。それが側溝に足を取られひっくり返る経験をキッカケに目が覚め、奮い立っていく。しかし、その思いの矛先が街に向く。他者に向く。街の転覆を目指してしまった。なかなかリスキー。 自他の衝突も免れないかな、どう着地するかなと思いながら読んでいくと、 「街角の郵便ポスト 押しボタン横の横断旗 手繋ぎ親子の道路標識」 と、街の様子、主にオブジェに目が移っていく。予想外の展開。なんなら、今までそのオブジェを正確に捉えられなかったのではないだろうか。読み返すと、第一連や第二連は視線が下に向きがちだったなと気づく。 街の転覆という言葉が出た時は不穏だったが、単純に、街が「私」を転覆させてくれたんだなと思った。自分の生きている街をちゃんと見つめられるようになったこと。忙しく歩くのではなく、道の真ん中に立つことを噛みしめる終わり方。良い詩でした。
1転んでもただでは起きない、といったイメージを持った。きっかけのようなもの。選ばれている言葉のセンスがよく、この詩ととも読み手もテンポよくあるっていけるように思えた。良
1即興演奏みたいな作品で、 こういう書き方、すごいと思う。 わたしにはマネできない。
1いい終わり方ですね。
1