夜に立つ背を
青い目がみている
血が爪に
白く透けて
先は僅かに割れている
こわいものは
まばたきのすきまに
瞳孔をつたい
音もなく
電流に乗って
私の脳を
きゅっと抱きしめる
曇った風が
首筋に巻きついてゆく
その重みに だらりと落ちた肩が
ジャケットから浮いて
かぱかぱとする
皮膚が解けて
世界にわたしが
偏在してゆくのを
じっとみている
やがて大気の
一粒にまでも
わたしが交じり
なにごとも
意味は必要なくなる
足首が冷えて
しみるように痛む
撒き散らされた
自我がふっと集合すると
爪先のまた
割れていて
頭をかくと
髪が二、三本
引っかかって抜け
はら、とこぼれても
わたしは希釈されない
視点だけが
存在を保証している
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 1194.2
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2022-07-04
コメント日時 2022-07-12
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:1194.2
2024/11/21 23時06分18秒現在
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自我のあり様を書かれた作品と読みました。自我は内面と向かい合えば書けるものではなくて、本作にある様に外面をどう書くかだと思う。熱帯夜における「気持ち」を書くのではなくて、話者の肉体という外面の感触も含めた外界をよく表している逸品。
1さいごの2行にこころの目がとまりました。
1自我と世界が同一ならば、肉体と世界は同一なのですね。
0ありがとうございます。目に留まったのなら幸いですね
0暑い夜の話なのに、読むと何故かひんやりとしました。じわっと汗が滲むようなホラーのようなちょっとした恐怖を感じたのは気のせいでしょうか。
0暑いからこそ、一滴の冷たさに背筋が凍るのでしょうね。
0炎というのは赤よりも青、青よりも白のほうが高い温度を保持している。 爪に透ける白い血が本来赤だったはずあるとすれば、なんらかの理由でその熱さは増しているようだ。 暗闇の中で怒りの果ての恐怖、あるいは恐怖の果ての怒りがあったのだらうかと想像してしまうのだが、これは今現在私自身の内に怒りと恐怖を多く含有しているからかも知れない。 作者は >皮膚が解けて と書く。 意味からの解放…パラレルワールドでの邂逅を掴み続けることは、時に安心につながる実感がある。 存在を高次元からの観察によって証明しようという本作の試み(あるいは趣意)は、熱帯夜にとっては安心できる行為であろう。 本作は優しくてドライな安心感を伴う意味が全体を包んでいるのだが、人間を寝苦しくさせる“熱帯夜”という看板は、少し私を不安にさせる。
0一瞬だけ全てが噛み合ってしまった それだけです
1うん。とても好きですよ。
1よくできた詩だと思いました。心理描写の襞が感じられるのに、いやらしくなく、クーラーの中に居る様な感じだからです。その秘密は人それぞれがそれぞれに解釈が出て来るでしょうから、ここでは公言しませんが、何かこう言う詩の良さが評言出来る事が自分の詩をよくすることにもつながるような、そんな気がしてくるのです。
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