薄い本、とても

　あるところに99頭の羊がおりました。羊飼いのジョット君、いやさ、シンジ君はほとほと困りはててしまいました。「おかしいなあ、羊は100頭いるはずなのに。のこりの1頭をどこに擱いてきてしまったのかしら。」　もうすぐ日暮れがやってきます。日が暮れれば、畜舎にかえらなければならないのに。さもなくば、夜になると狼の群ががやって来て、皆食べられてしまうのです。おおこわい。おそろしいことです。　夜の帳が下りる前に、シンジ君は99頭の羊を残して、逸れた1頭を探しに出かけました。「そうさ、何だって、あの1頭は、ほかとくらべてすこぶる毛並みが良いのだから。」逸れたその1頭とは、シンジ君のお気に入りの羊だったのです。　シンジ君は、えいこらそいこらと歩きさがして、崖に差し掛かりますと、ようやくお気に入りの、逸れた羊をみつけました。「あぶない！ぼくの手につかまれ！」相手はひづめじゃん、などとおっしゃるのは野暮というものです。失礼です。シンジ君は、崖から落ちかけていました羊を、ぜいぜいと引っ張りあげて、ようようことなきを得たのでした。　薄暮も更けて、茫漠と。　気づきましたならば、もう日は落ちて、あたりいちめんまっくらやみになっておりました。「たいへんだ！早くかえらないと！」　シンジ君は急ぎ足で99頭の羊のもとへかえりました。しかし、ああ、なんてかわいそうなことでしょう！のこされておりました99頭の羊はすべて、狼に食べられてしまっていたのでした。ボーゼンと立ち尽くすシンジ君。なんともかわいそうなシンジ君。　気付きましたら、シンジ君お気に入りの1頭の羊も、どこかへいってしまった後なのでした。まさに踏んだり蹴ったり。シンジ君はどうなってしまうのでしょう。　みなさん、　選択は、たいへんですね。　大事なことは慎重に。アコム、アコム、はじめてのアコム。　ご利用は計画的に。　　　　　atmは24時間ご利用になれます。

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作品データ

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ポイント数　： 5

作成日時 2022-05-09
コメント日時 2022-05-11

#現代詩