「もう死にたいよ」
泣きながら貴女は私に告げた。
あの時、どう答えるのが正解だったのか。
覚えていますか?もう何十年も前のこと。
私が玄関で泣きながら座り込んで
「しにたいよ」
と泣いたら、貴女は
「じゃあ一緒に死のうか?」
って答えたの。
ねぇ、お母様。
家族ごっこは終わりにしませんか。
貴女に私は何と答えれば良かったのでしょう。
「一緒に死のう」
と言ったら、死んでくれましたか?
自分の誕生日の次の日に
「死にたい」と泣かれた私はあれから
心が何か、こう、なんというか、
千切れて、死んだ白魚のように
目が濁っているのです。
私の心の在処を知りませんか。
私の命の重要さを、知りませんか。
なんて、貴女に聞いても
無駄なのはわかってるのに。
私が死んだら
悲しいだとか苦しいだとか
そんなの言葉だけで
きっと違う選択肢を選ぶのは
もう、今までの家族ごっこで
散々解ってしまったから。
一度知ってしまったら
戻れないことは嫌なほどある。
空に飛ぶ花火のように
美しく張り裂けるように
それとも
咲いて散る桜のように
誰も気づかないように溶けるように
そう願っていると貴女に言ったら
何と答えてくれるのかしら。
作品データ
コメント数 : 5
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作成日時 2022-04-01
コメント日時 2022-04-21
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 23時33分52秒現在
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口先だけの「死にたい」という言葉で、家族の何処かが壊れたんですね。 自分の誕生日の次の日、というところから、「母は自分ことなんてどうとも思っていないんだ」というような、失望のようなものを感じました。 とても寂しい詩だと思います。
1死にたいと言葉に出来るって、 幸せな気がするのは 私だけでしょうか。 なんだかそんな事考えながら読みました。
1室町礼様 コメントありがとうございます。 文章の書き方はとある文豪が描く女性をイメージして書いたので、そうしたところに気づいて頂けるとは感謝です。
0白萩アキラ様 コメントありがとうございます。 この作品は今読んでも自分の心に差し迫ってくるものがあると言いますか、中々割り切れないものがあるなと思います。自分の作品の中でもストレートに描いてるなと客観的に思いました。いつか在るものは壊れるけれど、もう少し壊れるのが遅くても良かったなんで今更願っても……。などと思います。
0尾崎ちょこれーと様 コメントありがとうございます。 言われてみるとたしかに想っていることをそのまま言葉に出来るからこそ、吐き出せるような幸せな形はあると思います。それが派生して詩人が生まれるのかもなど色々考えさせられました。ありがとうございます。
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