私の猫が今朝がた、
庭を開けると外をフラフラとし
植木鉢の皿に溜まった美味しい水を少し飲み
家に戻ると、母に抱かれ、嫌々をし
ちいさな叫び声をあげるとばたり、と倒れて絶命しました
早鐘だった心臓が止まり
這いつくばって
母と私は死にゆく愛猫に何度も何度も
今までありがとうね、大好きだよ
そう話しかけました
死んでしまうと体が硬くなって
もう動かない
もののように見えて不憫です
それでも死んじゃっても存在だけでかわいいね
私の猫、死んじゃったの
すごくいい猫だったの
死んだ人を惜しむように盛大なお葬式がしたい
大きな花輪を飾り
天国のように花だらけにしたい
ショパンの別れの曲をかけてしみじみと泣くのだ
あの静まり返った葬儀場で
ポクポクと鳴る木魚の音がどういう意味があるか
あれは死なれた人たちが気が狂いそうになるのを
抑えるための安楽の鎮静の音なのだ
この子に花を供えたい
スイトピーかな
ふと優しい気持ちになって思った
でも考え直す
赤い薔薇にしよう
あの子は潔く勇敢で愛の強い立派な志の猫だった
だれが獣だと侮れようか
老いた母が亡骸を抱いて話しかけながら庭を子守している
愛する男をはなむけるように
今から花屋に行きます
私は初春の光の中で初めて泣きながら自転車をこいだ
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 1288.6
お気に入り数: 1
投票数 : 2
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作成日時 2022-03-25
コメント日時 2022-04-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/23 18時55分46秒現在
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ご感想ありがとうございます。今、火葬車で荼毘に附して、骨壺に納まった愛猫を棚に飾りました。部屋は花だらけにしました。寂しすぎるとよくありませんからね。お爺さんは若い人より死が身近だからこそドライだったのかもしれないですね。残念な粗野な人でしょうが。愛が満ちる人生を送れることは人間でも難しいと思います。我が家の猫は後半生は幸せだったろうと思います。ありがとうございました。
1前作の「老猫よ 」も 拝読いたしました。前作の老猫のかすかだがたしかな息遣いとともに古色を帯びた風景に魅入れておりました。すると、この作品では どうやら あの猫は しずかに息をひきとったのですね。丹念な筆致で書いておられて 私の胸を打ちました。
0真昼さん、ありがとうございます。そうですね、愛が詩を書かせるのはいいことだな、存在は響き合って生きているな、そう思います。たとえいつかは皆、死するとも。
12作品とも読んでくださってありがとうございます。古色はどうも私の性質のようです。古い音楽や古典の名作で育ちましたから、現代に合わないようなのですが。( ´艸`) 愛猫と過ごせた時間を宝物にこれからも生きていくしかありませんね。重ね重ね、ありがとうございます。
1お涙頂戴なあざとさをギリギリ回避出来ていると思う。それは作者が意識しているいないに関わらず。人は動物と子供の話に弱い。 上手く、お涙頂戴を回避された書きとして、木魚のくだりがある。死に別れの湿った流れを客観的な視点として書いている。 微妙なのは、結末であるけれども、上手く着地されていると思う。
0ちょっと、お涙頂戴的な甘えがあったかもしれません。私もチラッと思いました。本当に昨日に愛猫が死んで寂しかったので、ここで慰めてもらいたかったような、きいてほしかったのです。うえーん。と言ってみたかった。苦笑)ただ、泣きながら自転車をこいだのも事実で全部経験で、事実なんですけどね。事実を吐露しても、その吐露の仕方でみっともなく見えたり、嘘っぽいというか少し安っぽい人情噺に見えたり、物事をシリアスだと口をつぐむのは日本的文化かもしれないですね。韓国とかで葬式で泣く担当の人がいて、その泣き女的に書く、という感じもすこしあったかも。詩の様式美だと引き算も必要ですけど、感情的に書いてしまいました。 詩は上手にもなりたいんですが、楽しく気持ちよく書く、と言うのが私の基本スタイルです。コメントありがとうございます。
0高校時代から飼っていたシェルティの「ゆき」を思い出しました。 2歳だった息子がたくさん花を植えました。家族だもんね…
0おはようございます!詩の基本は共感かなぁと思っています。愛猫が亡くなって足元がさみしくて。
1読んでいて涙が出ました。猫でも人間でも最期は悲しいものです。人間も80を過ぎれば親しい人もいなくなり遺体は意外と粗末に扱われることもあります。死んだら生ゴミなのです。だから生きている人間のご都合で火葬されるのです。ですがこの詩の猫は手厚く扱われ、底辺にいる人間も死ねば雑に扱われますが、ずっと幸せな最期を迎えられたなと思いました。
0猫の死と言うと人間に比べて侮られがちなのかもしれません。この子とま断定できる子猫とはと思いました。花の選定に迷い、愛する男にも擬えられている子猫。自転車を漕いでいる足も泣いているのかもしれません。
0大切にしあえる関係を猫と持てました。人とも持ちたいものです。わたしもあなたもね。
0ペットが人間よりも幸せなことはあると思います。人間がペットよりも粗末な環境で孤独に苦しく生きていることもあり、それは許しがたい、と思っています。共生社会、多様性、愛が潤滑油に世界をなべますように。
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