剥き出すのを、やめた気がする - B-REVIEW
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剥き出すのを、やめた気がする    

セルフサービスの水を取りに行く 母親へ手を伸ばす子供 ママと叫ぶその声は 単なる稚児の我儘か それも一つの修羅なのか 幼い頃の、母の帰りを待っていた 窓から見ていた夜の看板 一文字消えたネオンの闇に 映り込んだ私の顔 泣いてはいなかった、と思う 他愛もない淋しさだったから それでも、あれもまた修羅なのか 父親では十秒も持たないらしい 水を持ち、近付く母親の顔を見る ママ、ママ、と身を乗り出すそれを 眺めていても仕方がないので あやす声を脇に置き、私は食事に向き直る 稚児の修羅はこんなもんで良い 何かの魚の、どこかの骨が、喉に刺さる あの感触、痛みは、なかなか流れてはくれない 一通り泣いて、私はあの日、嘘をついた 母に、もう痛くないよと言った、と思う 立派でない、誤魔化しで、単なる子供の浅知恵で、 しかしあれは、あの時、確かに私は修羅だったんだ



剥き出すのを、やめた気がする ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1238.4
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 0

作成日時 2022-03-21
コメント日時 2022-03-27
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/06現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
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叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
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閲覧指数:1238.4
2025/04/06 13時57分21秒現在
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    作品に書かれた推薦文

剥き出すのを、やめた気がする コメントセクション

コメント数(4)
高代 あさ
作品へ
(2022-03-22)

幼児は修羅であり、母は修羅である。あるいは長距離に及ぶうねりを持つ、不条理の相互交換である。そういったことを私はよく感じます。時間の流れが重要な主題のはずなので、それが描かれている点もいいと思う。タイトルもそれに沿っていて、模範的とも言える気がします。 読みやすいリズミカルで平易な文体、かつまだ読み飽きないタイミングで「それも一つの修羅なのか」と主題を投げかけていることに好感を持ちました。また、それぞれの連で押し付けがましくない重みのレトリックが散見されるのも心地よい。二連目が特に好きだったと思います。 強いて言えば、恐らくは主題や結論が普遍的なものであること(例えば、文芸や人間性に興味のある人なら最終的にはスッと納得すると思われること)が、良作ではあるれけど「この詩を読めてよかった」と思わせるだけの何かを作りにくくしている気はしました。これは読み手によって変わる、いわゆる変数ですが。 巧みなレトリックは散見されるのだけど、主題の歴史の重みの前には、少し軽くなってしまうというか。業を描き切るってむずかしいですね。えらそうなことを書いていますが、少なくとも私には書ける気がしません。ただそれでも今まで書いたように、安定した文体や読みやすく散らばったレトリック(一文字消えた〜が一番好きな部分でした)に好感を持ちました。

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白萩アキラ
さんへ
(2022-03-27)

コメントありがとうございます。 自分が書いたものを切っ掛けにして人に何かを考えてもらえるって、悪くないですよね。

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白萩アキラ
高代 あささんへ
(2022-03-27)

コメントありがとうございます。 実は本作、バスでの移動中の暇を持て余した1時間強で書いたものになります。 「それも一つの修羅なのか」は、打ち込んだその時にテーマというか、こんな感じで書こうという方向性が決まった感じです。 ですので結果的に読者が飽きないタイミングで主題を投げ掛けることが出来ました。 頂いたコメントを読んで、個人的には勢いって大事だなと思いました。 レトリックを褒めていただけて素直に嬉しいです。 私は正直、文系の勉強などはまともにしたことがなく、ずっと我流?で何となく書いてきたのですが、なんというか表現力というか、そういった力量には自信を持っても良いかなと思えました。

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白萩アキラ
さんへ
(2022-03-27)

コメントありがとうございます。 そうですね。いつか見た飲食店での光景と、自身の幼少期の思い出が、何故かリンクする瞬間があって、だからこそ、このような詩を書いてしまったんだと思います。 私はどうも、見たものと、実際に体験した出来事、思い出などを元にしなければ、中々詩を書けない人間のようなんですよね。 以前は別のサイトなんかで、「お前は写実しか書けないのか」なんて感想を書かれたこともあります。 ですので、叙景から抒情詩へ膨らませる、というのは、今の私にとっては一つの理想的な詩の形なんです。 それと同じように褒めていただけたのはとても嬉しく感じました。

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