--メリーゴーランド、まもなくの出発です
馬のかたちをした模型にまたがる、それよりも南瓜、そのほうが座るだけだから乗りやすいですよ、とおねえさんが教えてくれて、12ばんの白馬はやめて、キラッキラの飾り付けした南瓜に乗ります。
乗りものが回ってるんじゃなくて、土台が回ってるのに気づいてから、はぁ、つまんねえ、と思ったけど、やっぱりジェットコースターはこわいのです、回るだけだからメリーゴーランドもコーヒーカップも吹き飛ばない、天板のうえで回るだけです。
何回も何回も乗ってしまって、どうしても乗りたいの、と係の人に言って、酔わないの? と訊かれたけど、酔う感覚がよく判らないから、適当にかえす、あらそう、すごいわねぇ、と言ってくれて、二日酔いしたおとうさんを思い出して、ゲボ吐いてたっけ、馬の足元にゲボが溜まって、ゲボってもんじゃみたいだなあ、って花屋敷で言ったら睨まれました。
ぼくを含めて5人が、それぞれ乗ってる、馬が速いのは知ってる、けどそれがメリーゴーランドで重要かなんて関係なくて、どれだけ耐えられるなの。いちばん安いからだよね、メリーゴーランド。一回150円。他のに比べて何回でも乗っていいよ、と言ってくれて、ぼく、嬉しかった。
いつまで乗っているの? 閉園迄、あと30分だから、まだ乗れるね、今度は馬に乗ってみる。夜の馬も白くて、でもときどき光が当たって光ってみえる。
作品データ
コメント数 : 5
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作成日時 2022-03-09
コメント日時 2022-03-23
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 22時45分26秒現在
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メリーゴーランドという素材、ありきたりなようで、そうでもない。ゲロと掛け合わせてあるからだろうね。その、飛躍の手法、作者さんポテンシャル高い。 この作品読んだのは、この作者さん他にどういうの書いてるの?って思ったから。
1見つけていただき、嬉しいです。 わたしは正直、書くべき主題を未だに見つけられずにいます。なので、いまはとにかく思ったことを、まとまった文章にしたいと思い、書いています。 メリーゴーランドは、子どもの頃の記憶の、橋の方に居座っていたものです。それを膨らませたような感じ。 コメント、とても励みになります。これからも頑張ってまいります。
0たまに生活の素材からとんでもない悟りめいた結末で結ばれるような作品を読むことがあるけれども、今作はその風ではなく好感を持てた。 タイトルも好きです。詩の顔ですからね。イケメンで可愛いですね。
1ありがとうございます。 タイトルをつけるのには毎度毎度、苦労していまして、そこを褒めていただいて、とても嬉しく思います。
0一番安いと言うのフレーズが印象的でした。ジェットコースターとかスリル系はやはり高いのでしょうか。閉園迄の「迄」が漢字なのでふと店締めセールみたいな、一日の終了時刻ではなくて、永遠に閉じてしまうかのような感覚を味わいました。
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