干潟に行く、岩と岩のあいだで、蟹と目が合う。
蟹はじっとしている、やがて岩の隙間に隠れていく。
海鼠は逃げない、そこに留まったまま、伸縮して、丸にも、それから楕円にも、変容する。
汐が満ちるまでのあいだ、干潟ではたくさんの生き物を観察することができますーー
名前も知らない小魚の群れが、そおっと、しかし素早く通り過ぎていく、手のひらでそおっと掬おうとするが、そこにあるのはしょっぱい水だけ、魚はいなかった。
うみうしは握りつぶすと、むらさきの液体を出しますーー
カメノテをご存知ですか、と釣り人がわたしに話しかける。
ええ、知っていますよ、と言うと、釣り人は袋いっぱいのカメノテを、わたしに持たせてくれた。
ありがとう、と言う。お味噌汁に入れるとおいしい、と釣り人が言った。
見た目のわりに、カメノテは甲殻類のような味がする。
日が落ちる、やがて汐も満ちて、でも明日になればまた、干潟は姿をあらわす。
作品データ
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作成日時 2022-02-12
コメント日時 2022-03-10
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 23時04分47秒現在
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丁寧に情景を描いた作品になりますね。 個人的にはもっと発見や驚きの描写があってもよいと思います。 この人物の心象を、さらにどぎついまでに表してもよいかもしれないです。
1干潟の観察である。 ただそれだけである。 読み手の想像力が食い込むことのできる破れが欲しいところ。 題材は好き。
1貴重なご意見、ありがとうございます。 確かに観察記録でしかない文章です。そこにダッシュで挿入した図鑑の文章(こども向けの、かんたんなもの)で、時間のズレをもたらそうとしたのです。が、力不足というところでした。 これからも精進して参ります。コメントありがとうございました。
0貴重なご意見、ありがとうございます。 死の匂いを感じるような、生き物の死骸を配置しようとすると、どうしてもあざとくなってしまい、却下した所存です。そこをまとめ上げる力がまだありませんので。 これからも頑張って書いてゆきます。コメントありがとうございました。
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