足を持たない旅人は
今日も地平を視線でなぞり
腕を持たない職人は
今日も劣等感を塗りつぶす
瞳を持たない批評家は
今日も己の誇示をして
耳を持たない作曲家
今日も知られず鼻唄奏で
声を持たない歌い手は
今日も静かに熱唱し
舌を持たない落語家は
今日も独りで饒舌に
頭を持たない科学者は
今日も屁をこき理屈をこねて
知恵を持たない悪人は
今日もどこかで諦める
明日を持たない夢人は
今日も急かされ息をして
昨日を持たない暇人は
今日もひとまず息をする
愛を持たない母親は
今日もきっと自分を殺し
情を持たない父親は
今日もきっと汗水垂らす
舵を持たない操舵者は
今日も自身に酔いしれて
地図を持たない航海士
今日も誰かと迷い舟
欲を持たない賢者達
今日も叫んで思い知る
言葉を持たない詩人達
今日も密かに木霊する
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 1200.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2022-01-29
コメント日時 2022-02-05
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1200.1
2024/11/21 20時40分51秒現在
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だいぶ前の過去作です。 当時ある読者から、「不愉快な詩だ」というような感想を頂いた思い出があります。 何だか、ふと思い出したので、改めてこの場で投稿してみようと思いました。
0短いきまった形の文節を大胆に繰り返している詩です。メッセージ性が強く、アフォリズムのように感じました。
0コメントありがとうございます。 実は本作は、元はメッセージとして何かを伝えようとして書いたものではないんですよね。 メッセージ性や皮肉というより、優しい詩を書いたつもりでした。 そして誰からもそうは読まれなかった失敗作です。 時間が経って客観的に改めて読むと、自分でもアフォリズムとしてしか読めなくないか?と思えてきてます。
0旧約聖書の、箴言などのような、スタイルと内容であった。 それになってしまうのは、おそらく、具体的な、言葉があまりないからであろう(あったとしても、抽象性が高い) 抽象的な言葉を使い、普遍的なことを書けば、それは条文や真理や箴言として読まれてしまうと、俳句の勉学の際に学んだことがある。 私もまた注意したいところである。
0ずっと前から変わらないのですが、声に出して読みたい、声に出して読みやすい、と自分にとってそう思えるものしか、私は書くことができません。 ですので、読んでもらえた人に、「声に出して読みたくなる」と感想を頂けた時は、一番嬉しさを実感できます。 とても励みになります。 感想を書いてくださりありがとうございました。
1コメントありがとうございます。 私は文章、文学に対して深く勉強などはしたことがなかったので、頂いたコメントを読んで、なるほどと気付きを貰えた気分です。 > 抽象的な言葉を使い、普遍的なことを書けば、それは条文や真理や箴言として読まれてしまう この様なを知識を持った上で、意図的にコントロールしながら書ければ、作品の幅も広がるんだろうなと、思いました。 やっぱり何事でも勉強って大事なんですね…
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