葉が落ちる
波が起きて
水面がゆれる
遠い
音も光も
呼吸も鼓動も
いのちさえも
先も見えないほどに
透き通った空気が
肌を打ってつめたい
雲もない
ひたすらに青い
わずかにのぞく
薄影色の月が
涙もなく佇む
埋められた果実
腐り落ちた肉から
かたく秘められた
真実が零れ落ちる
風が吹いている
少しばかりの言葉を残して
栗毛のりすが
胡桃を抱えている
眠りは未だ深い
固く閉じられた
まぶたの
わずかな痙攣
色を零した
木々をすりぬけ
ぱりぱりと重なった葉に
足が沈む
谷の底を下ると
湖がある
朽ち果てた大木が
時の向こう側にいる
呼吸は泥の底に秘められて
目覚めを待っている
赤い心臓を抱えて
ギターの弦は弾かれない
ぽっかりと開いたホールに
虚像が反響している
はしばみ色の瞳は
何一つ見ない
秋の湖を
誰一人知らない
触れられもしない
ひたすらにつめたく
何もかもに守られた谷底
息ひとつ吐き
どこかへたどり着く
その果てに
そのすべてに
透明な温度は
降り注いでいる
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 1242.6
お気に入り数: 3
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2021-12-02
コメント日時 2021-12-05
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:1242.6
2024/11/21 22時55分27秒現在
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語の使い方が独特。
1なんかこうなりました。
0優れた作品。 第一連目 よくある通俗的描写と思ったが、この言葉がその後の心情と情景が融合していく表現へ読者が入ってきやすいように作用している。 2回目読むと、その効果がよくわかる。 その後情景描写が描かれていくが、いくつかの連の最後にある心情を表す言葉が、その情景描写に心理を入れていく。 たとえば、 少しばかりの言葉を残して わずかな痙攣 赤い心臓を抱えて等 これにより、叙景描写に深みと物語性が付与される。 情景描写に心理を導入するのは、万葉集から水脈のように続く日本語の芸術作品の技法だが、 この詩の書き手は、わざとらしくなく自然とこの技法を使っている。 これからも下手に言葉遊びに走ることなく、素直な表現を心がけてほしいと思った。 それが優れた作品をうみだすことになるのだから。
1書き続ける他に前に進むことは出来ないのかな、と思ったりしています。自分の五感を疑い、また信用することを最近の作品作りの大事な点に置いています。
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