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とにかく居場所がない
語り手の彼は自分自身について、他人事抜きで案外クレバーに構える印象です。 もう追いつめたり追いつめられたりして自分を殺してしまうなんてことはとっくの大昔に廃れた自惚れた戯れごとだ、ってそんなことよりもこの後に迫りくる老人問題とか環境欺瞞だとかによほど当然みたいな関心を構えて、結構早い順番の人種として限界と役割の変化をさっさと知って受け入れて老け込むタイプになるんじゃないのかなあっていう、ただの文字通りのこととしか受け止められないようなことを個人的には想像したりもしました。 居場所を確保するのにベンチをつかって均してしまうこと。わたしもフランス在住時に半年間だけベンチの並んだ公園によく行きましたが、こういう見方をすることはありませんでした。街の設計からしてたしかに浮浪者を締め出すような形になっていたように思います。 死によって1=1となり、自同律の中に自身が接収される。生きている間は1=1足り得ないことによって足掻き続けることがこの世の苦悩であるとすれば、それは自同律に悩むこと自体が生の苦しみを味わう一般と等価のようにも思われ、元からそこに問題はあったのかなかったのかという点がわからなくなりました。しかし1=1足り得ない苦しみを見出すことなく、1≒1的なもので満足する愚かな人について、この作品では見ないことにされているようにも感じられて、結局、世の中に存在する甲斐があるのは自同律の不快を胸に秘めている人間だけだというようにも受け取られて、読んだうちでは、世の中の半分だけを対象にした作品ではないなと、唸らされる作品でした。 生まれることそれ自体がすでに原罪を孕んでいる。数多の命の犠牲の上に自分自身が成り立っている。改めて示されるとどきっとします。
とにかく居場所がない ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1089.0
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作成日時 2021-11-27
コメント日時 2021-11-27
あの、いちゃもんをつけるとか言うわけではないんですか、冒頭の話ってこれ、「逆さまの都市」の内容ですよね? そのせいで3連目以下(死によって1=1)の内容が対象作品である「20201116」へ向けた言葉なのかどうなのかがわからなくなってしまっているように感じました。もしかしたらこの二つから「とにかく居場所がない」ことを思ったのかもしれませんが、最初に二つ扱うなどの明記があると分かりやすいと思いました。
0あ、逆さまの都市でもないのか…ただ1連目はやはり20201116からは少し読み取れない内容で混乱しました、と書けば良かったです。混乱させて申し訳ないです。
0分かりづらくて申し訳ありません。「逆さまの都市」とは何ですか?
02つめのコメントにも書きましたが、それは違うなと送った後気が付きました、申し訳ありません。
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