書き留めたいことがやまほどあるのについつい放ってしまうので、翌朝めざめたとき綴りはゆきのように溶けて蒸発。
うすい布団のなかで冷えたゆびさきを折り曲げると、頭のてっぺんからぬるりと文字列が顔をだす、たいそれた思想でも思考でもないのだけれど、少女趣味やら怒りや少量のかなしみをふくらませ、浅いねむりに就く。
真鍮の無意識という鉱物めいたやわさを映写機で反映し、トラウマが追いかけてくる四月のゆううつに浸りながらも、さいきんは、ようやくふかくふかく沈むことができるようになった。
紅茶は欠かせない精神安定剤へと変容し、唐草模様を添えられたティーカップを落下させては、破片を掻きあつめる。幾たび割れば気が済むのだろう。
おびただしい矢車草は圧巻で、遮光カーテンのむこうには胡蜂が警告を放ち、安堵をいだく。
それでも馬鈴薯は頑なに、冷蔵庫から飛びだしかくれんぼ、ひかえめな小花をむしゃむしゃ頬張り、米糠なるものをはじめて凝視、ひと掴みという数値化されていない文言に戸惑いながらも、おそらく必要以上の量を鍋に投入し、いつまでも煮つめる。
それから、遠いせかいに存命するドイツ民話の紙面に溺れ、挿絵に耳をすませ、つぎに、ひんやりと混濁した円柱の連なる都会におもいを馳せ、色彩や高価な記号をぶら下げるひとびとを目で追いかける、女ゴコロを灯すためにはモッテコイの集合体。
あめゆじゅしても鳥肌の立たぬよう気を配りたい、がという助詞を厭う、がらんどうの犬小屋、そんなことよりも癇癪は相変わらずなので、怒りis 6秒間の持続 であることを毎夜うたう、ようにしたい、重要なことを差し置いて賢治に気を遣うだなんて。
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 917.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2021-11-26
コメント日時 2021-12-03
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:917.1
2024/11/21 22時42分34秒現在
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幸せそう。
0「銀歯」に続き、拙作も読んで頂きありがとうございます。 たしかに色々と詰め込みすぎたせいか、散漫になってしまいました。反省します。
0読んで頂きありがとうございます。 幸せそうとは、良い意味で意外な感想でした。
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