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Miniascape Escape/Good Night Polaris
逃げ出したい どこに? 山を越えて 海の向こう ありきたりな空想 どこに? 空の上 星の先 使い古しの宇宙 どこに? 春の日差し 夏の風 三年前の憧憬 どこに? 窓の中 ポケットの隙間 インスタント鏡の国 どこに? 四角い箱の中 雑多に散らばる 一人の人間 今ここにいる ・・・・・・ 一夜を経る 変わったこと 変わらないこと 振り出しに戻っても また一歩踏み出して 歩むしかない世界 宙に浮いて 夜に願う まだ歩いていられるように 悲喜を抱えて 変わる景色と 変わらない空が ここにあると告げる 朝がひらけていく 深呼吸をして 時間の流れを整える 変化の速度を 間違わないように ・・・・・・ 夜を忘れてしまう前に 明後日の昼食を見繕って もう少し 線に留まるのを許してほしい 朝が手を翳す頃 昨日に何も感じなくなるまで もう少し 沈んでいく時間を延ばして 人間になってしまう 人間になれないまま 狭間とか 空の箱庭が 今日だった何か 線を繋いで 色を変えるまでは おやすみを言わせて ・・・・・・ 幾つの夜を淘汰しても また生まれてくる闇に寄り添って 少しずつ変わっていく 世界を 自分を 愛せなくても 存在を見留めること また一つ 夜が喪われていく 螺旋の向こうへと いつかたどり着く 誰もわからない 相互作用の果て 瞬いて 光差せ 波形の収束に 幾つもの「もしも」を重ねて 夜は明けていく ・・・・・・ 眠りにつく前 思いを馳せるのは くだらない夢の中 草原を 海原を 現に揺らいでも 生きていると感じていたい 風の匂いを 陽の温さを 目を覚ますとき 見えるものが 少し輝いて見えるように 祈っている ・・・・・・ 何回目かのおやすみを言って ひとり ただ 沈んでいけないまま 憂いのフロート 人は 束になってまた 傘を被る 渦を巻く 行ったり来たり これは仕様です 眠りの数だけ忘れられたら 上澄みなのだろうか 何が こんなにも意気地がないのに 何が賢明なのか 一歩 もう一回だけおやすみを言う それだけ ・・・・・・ 雨が纏っているのは 緩んだ夏の温度 開放弦を指先で抑えて 弾く 高架下の宿り木 降伏点を越えて 何の感情も 孕まない湿度と 黒いアルペジオが 耳をゆっくりと埋めていく 手を伸ばして 一掬いの水を 毛細管で吸い上げて 飲み干して 今日も生きていられるから ・・・・・・ 火曜日の夜 洗い物を流して 続く明日へと 続く 大筋合意で行こう 朝の牛乳と 上る階段を 上る そういう秩序が じれったくても 少しずつ 静かな夜へ ・・・・・・ 眠れない? 海風は光を運ぶからね 一層夜を感じられる まだ三つ数えられるよ 指先が温もりを感じられるなら 大丈夫 燐光が消える前ならね 少しぎゅっとして 落ち着いた? 風が凪ぐ前に 僕も眠ろうと思う おやすみ 月が欠けても 明日は待ってくれない 行く先は果て 次の月へと 微かに残る 何かのために また旅に出るのだと思う 風に口づけを預けて 七日後に向かう おやすみポラリス
Miniascape Escape/Good Night Polaris ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2330.1
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-11-22
コメント日時 2021-12-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。 対話から始まる作品ですね。 でも誰が誰に向かって話しているのかは分かりません。 どこに?と繰り返されるリフレインは、逃げ出したい人の選択肢を狭めているような気がします。逃げ出したい言ってしまうと、逃げ出したいという一人の人間の思いだけを浮き彫りにするために、具体的に逃げたい場所があるわけではなく、逃げたいと思っている箱の中にとじ目られた人間の存在を提示しているわけですね。 これは飛躍した感想かもしれないですが、夜ってちょっとだけ希望があるよなと思いました。こうしてコメントを書いているのは昼休みですけど、僕は昼の時間が苦手でよるのほうが好きなんですよね。夜が終わると新しい朝が来る事は希望になるかもしれないけど、それは今の現状から逃げる必要がない人にとっては希望になり得るわけですが、逃げ出したい人にとっては夜は休息の時間であって、なんとか日中帯を乗り切った人な訳ですよね。だからこそ、朝のイメージっていうのがむしろ開いていくのではなく、繰り返しの日々日常という箱の中に再度自分を投じていくような、息苦しさがあるのかなと思いました。 それが「夜を忘れてしまう前に」というフレーズや、それでも箱の中にとどまらざるをえない現状を予定という枠組みの中で話者は自分の立ち位置を規定していきます。逃げ出したいけど、逃げれないのか、逃げる前にすることがあるのか、それはわからないですが。 また、この作品は途中から変装していくわけで、それを象徴しているのが相互作用というキーワードだと思います。夜は果たして大事な時間なのかというと、最初のフレーズがわいてくる瞬間って一人でよるを過ごす瞬間だとも思うわけですよね。闇という言葉を使われていますが、駆逐すべき夜と、ある意味愛すべき夜があって、それは朝も同じで、朝は昨日の苦しみを忘れさせてくれるけど、新しい来る意味を生むし、夜を引き寄せる存在ともいえますよね。そういった相互作用の中で綱渡りをするように存在している話者がいて、スタンスとして、そういった状態に寄り添うという選択をしているのかなと思います。 長い詩行から思うのは、ある意味で日記的であると言うことですね。プロセスを描かれているのかなと思いました。結論はないし、生きていると考えてしまうことはあるけれども、祈る事によって、寄り添う事によって夜を渡り朝を愛そうとするみたいな感覚でしょうか。最後の眠りの安らぎというのが、最初に提示された質問という詰問から少しだけ解放された位置にいるような気がして、良いなと思いつつ。それでもまだこの作品の後ろには続きがあるのかなとはそういうことを思いました。
0百均さん 長文コメントありがとうございます。 なんというか、逃避って際限なくできるわけでなく、どこか踏みとどまってこそ自由になれるというか、だから、これは自分への励ましなのです。 この詩はTwitterに投げていたものを集めたものなので、日記的というのは的を射ています。また、ちょうど自分の環境が変わる前後に書いたものなので、途中から変装(変奏?)していくというのも自分では意識していませんが、読む人が読むとわかるものなのだろうなと思いました。 ありがとうございました。
0冗長かとも感じましたが、引きずられてしまうような作品でもありました。
0湯煙さん ありがとうございます。 全部詰め込んだら長くなりました。
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