走る列車の乗客達は疲れきってる
だって皆んなそれぞれの役柄を演じているから
気分で態度が変わるし
結局は二枚舌どころじゃないからね
ペルソナを重ねては
出刃包丁で切り刻み
また新しいのを作る
繰り返し繰り返し
それでも列車は走るし
乗り降りしてる人達は
自分の気持ちを見せたりしない
列車の中で笑顔で笑って話している若者達
私は十八から働いていたから残業続きでそういう奴らに対して恨みがましく思っていた
そんな若者達は実はニートで親のすねをかじっている引きこもり同士でSNSで知り合った仲間達
彼らは束の間薄ら笑いを浮かべているだけであった
落ち窪んだ目をしたおじさんは若い女のスカートの股ぐらを必死に凝視していた
おじさんは昨晩自分の妻に逃げられたばかりだった
女は妻子のある男性を好きになり
リストカットしている左手首を隠す為にジャラジャラとしたブレスレットを付けていた
絵描きは耳を削ぎ落とし
物書きは腹を切る
早く走り過ぎたから
仕方ないんだけどね
皆んな
皆んな
皆んな
皆んな
少しずつ
軸をずらして
狂っていくの
それでもやっぱり
熱い警笛鳴らしながら
列車は走るよ
何処までも
ガタンゴトン
キーッ
プシューッ
車輪を軋ませながら
行く先は遠い記憶のその先
その人しか表現出来ないもの
どんよりとした沼の底から掬い取る
どんな人間にも孤独という悲しみがある
最期の悲しみは一人で死と向き合うこと
私は残したい
想いの断片を
自分の定めとして
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 1384.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-10-01
コメント日時 2021-10-02
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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閲覧指数:1384.5
2024/11/21 23時07分15秒現在
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腹で笑うことなく、「笑顔」で笑っているっていうところ。コワい。急に入ってきたすきま風に震えさせられるよう。 この表現だけで、核心を伝えるのに、ほかの描写はもう補足にすぎないのでは、とまで思ってしまいます。
0そこ来ましたか!! 私自身も意識して書いてなくて、再度読んでみて怖い描写だなと思いました汗 確かに楽しそうに笑ってる場合じゃないのかもですが、笑うしかないという切羽詰まった環境なのかもしれないですね。 深く読み込んで下さり、ありがとうございます。
0出刃包丁は、新聞紙に絡んでカバンの中に仕舞い込んだりも出来ます。 雑誌に挟み込むのも良いかもですね。でも、雑誌だったからカミソリが良さそうかもしれませんね。ふふふ。
0いきなり第1連で興味深い、物語がスタートしたようで興をそそられました。ペルソナと言う仮面。列車と言う場面設定。実はと言う暴露。エロいおやじ。リスカですか。不倫の香。表現にまつわるエトセトラとも取れて。みんなみんなみんな。自分の以外の人間を空気として考える無関心は許されないような、そんな緊張感も感じました。
0人はたぶん皆んな皆んな皆んな皆んな、何かを抱えているのではないかと考えてこの作品を仕上げました。 無のようにみえる列車の中の人間模様が、写し撮れていたなら良いかなと思っています。 何も考えていない人はいないのでは、という風にただ私が思いたいだけかもしれませんが。 色々考察していただき感謝しております!
1孤独には甘みと苦み、その双極があると思います。孤独を軸に人が生きているのがさだめであるならば、その軸足を揺るぎないものにできるか、その軸足からどこへ踏み込むか、言葉と行動の連関について、などを思わせられました。言行一致って難しいです。でも詩人が言葉だけの軽佻浮薄だったらみすぼらしいですものね。また、言葉が生活から浮き上がってしまうことのリスクを思いました。ゴッホや三島のように作品にリアリズムを練り込めるといいですが、苦しいばかりの人生では困りますね。人生を列車に喩えるのは定番ですが、既定路線、という印象も否めず、生きることの喩えとしてはその状態として最高のものではないのではないか、と思ったりします。
0ある方に、『あなたは、詩を書きたくて描いてる人と言われました。詩は書きたくもないのに書いてしまうもの。書いてしまったあとに誰にも読まれないように海に流して消してしまうようなもの。それが詩だよ。』と言われました。 その通りだなと思いました。私には詩が書けてないのかと思うとなんだかなぁという気持ちになりました。 湖湖さんはお優しいですね。褒めていただきありがとうございます。 でも、やっぱり駄目なのかと思ったり、考えたりしています。
1湖湖さん、なんだかコメントの返信をしたつもりでいましたが、色々悩んでいるというような趣旨の事を書いてしまい、失礼致しました。 孤独、人は集まるものですが、やはりそれは孤独からの現実逃避なのかなと思ったり、また孤独に耐えうる自己を作る事も必要なのかもとも思いました。 詩人が言葉だけでなくて、今の自己の考えや気持ちを吐露していけたら、それが一番読み手に届くのではとも思いました。 読んでいただきありがとうございました!
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