あえてのことに
名前をつけるなら
なんと呼ぼうか
指先から掌へ
じんわりと染みてゆく
青黒の顔料
長く伸びた爪で
白い振動をもって
語られるために
小さな窓をこしらえる
視線がつむがれる
きゅるきゅると撚られた糸
そこにあるだけの
空間の欠落に
輪郭が点る
織機の傍から
境界はばたばたとはためく
断絶が触れ合う
ぱきん、ぱきんと削れる音が
色をはじき出す
そして虹彩を見た
閉じられた2枚の貝殻
ひりひりとふるえ
音もなく
開閉するくちびるから
こぼれ出したひとつの意志
見留めあう存在と存在
くり抜かれた焼き菓子のあとは
大理石の上に置かれたまま
声がする
はなたれた窓を覗きこむと
向こうもこちらを見ている
ひらかれたノートの罫線に
名前を書き合って
ページはめくられる
積み上げたバックナンバーが
かちん、と一周した
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 970.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-07-01
コメント日時 2021-07-01
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:970.3
2024/11/21 23時27分16秒現在
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作風が安定して一貫しているところから筆者さんが最近、相当自信をつけているのだなという印象。書き出しが良いですね。その後は読み解くのがとても難しいのですが、「見留めあう存在と存在」のあと畳みかけますね。断絶があったのかもしれないのに何某かの窓の向こうの存在もこちらを見ていた。締めも日常の些末な瞬間の出来事に、話者が何か物事の集約を見たようで意味深。日常の一瞬に今自分が何をしていたか気づく。
0とある人に君の作品は構造の提示なのだね、と言われたことがあります。
0さいごの一行がみょうに印象に残りました。 ウィリアム・バロウズを思い出しました。
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