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瓶詰め入りの夜が欲しいのだ
あおい色が沈殿している 丸いビーカーの煮えたぎる音がするので 隣の部屋に住む 爪が赤い女に聞くと どうやら夜を閉じ込めて着色料を入れて 透明のアジサイに色をつけるらしい ガラスの中の赤が すうっと伸びて ちょうど30のところで止まる 可哀そうな一輪挿しが うなだれて 柔らかな氷の溶解のような時間が 群青色を宿していた 海中時計がチクタク泳ぐ 太平洋あたりをのんびり浮かんでいる ドロップのオレンジが消えていく 紫色の蝶々がこちらを見て しきりに頷いた 例えば星のように 魂が目に見えたなら あの、1年に1回会えるおとぎ話のように 離れ離れにならなかった かもしれない だけど一等星がリン色に燃えているから やっぱり魂は必要ないのだ もしもという言葉ほど 意味がないものはない ただ 灯台に照らされた 永遠だけを求めている
瓶詰め入りの夜が欲しいのだ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1438.5
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 6
作成日時 2021-03-02
コメント日時 2021-03-23
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩文に多くの色が見られました。 そこに散らかりはなく 綺麗に整えられていると思います。 どうして瓶詰めの夜が欲しいかは分からなかったけど 前作と同じく良い語感でした。
1魂が目に見えるなら、どんな色をしているのでしょうか。灯台の光に照らし出された永遠は、どんな色をしてどんな形をしているのでしょう。魂も永遠も、色によって姿形を変えるのかもしれないとふと思いました。もしくは、魂も永遠も、透明なあじさいのように、色をつけて初めて形が分かるものなのかもしれません。透明なあじさいは、どんな思いを抱えて暮らしているのでしょうか。永遠という名のもとにおいては、すべての存在はちっぽけなもののように思えて、存在することの儚さを感じます。様々な色彩と、目に見えないものを現前させようとする辺りに、パウル・クレーの有名な言葉を思い出しました。“芸術の本質は、見えるものをそのまま再現するのではなく、目に見えないものを見えるようにする。”といったものです。それは魂かもしれません。
2読んでいただきありがとうございます。 色を意識して描いたのでそこを指摘して頂いて嬉しく思います。 前作に引き続きコメントありがとうございました。
0読んでいただきありがとうございます。 好きな詩と言ってくださってとても嬉しいです。 コメントありがとうございました。
0読んでいただきありがとうございます。 類さんのコメントを読んで、詩について深く考えさせられました。 コメントありがとうございました。
0読んでいただきありがとうございます。 雰囲気が好きと言っていただけて嬉しいです。 読んだ人の感情を震わせるようなものを書けるように頑張ります。 コメントありがとうございました。
0「瓶詰めの夜」だけじゃなくて、「朝」や「昼」も私は欲しいです。あとできれば「雨」も欲しいです。詩は言いようのない「孤独感」となぜか「期待感」に満ちあふれていると思っています。
1読んでいただきありがとうございます。 この詩は何となく夜が瓶詰入りだったら綺麗だろうなという理由で夜にしたのですが、瓶詰入りの朝や昼、雨も想像したら綺麗ですね。私も欲しいです。 コメントありがとうございました。
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