作品を読む
人生という泥沼の絶望の表現に痛いほどに救われる。
人間の絶望が至る所に散りばめられている。自分の人生に絶望していながら、素直さ、愛を受け取れる心を持つことに仄かに羨望を抱いている主人公。救いがない、どこまで行っても、泥沼でしかない。薬と吐瀉物、嚥下を繰り返すことにしか救済を感じられない。死ぬこと、生きること、生きてしまうこと。諦めながら、永遠に引き伸ばされた最期を目指して、ただただ暗闇の中泥沼の中を泳ぐしかない生。そんな切なさを、人間の儚さ、絶望感を書いていると感じた。すごく、目の前の景色、煤けた世界感が伝わってくる。胸が痛いほどに、残酷な果てない世界が広がっている。それでも生きてしまうんだということ、悲しい、しかし精神に病を抱え人生に苦しい苦しいとうめいていたわたしにはとても共鳴するところがある。それに、救われる。絶望の共感、絶望をこれでもかと叩きつけることで救われた。ある意味、救いのお話であると、私はそう感じた。 生きることに希望をくれる作品というより。絶望の半分こをしてくれる、という感じだろうか。苦しみが報われる。苦しみは分け合えば半分になるのだ。分かち合うことが出来れば、人間は真暗闇でも救われるのだ。そんな作品であると感じた。とても素敵な作品だと思います。ありがとうございました。
人生という泥沼の絶望の表現に痛いほどに救われる。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1537.5
お気に入り数: 1
投票数 : 2
作成日時 2020-12-16
コメント日時 2020-12-17
批評分ありがとうございます。深い読み込みを経てその人の心に取り込まれるような作品をめざしています。
0なるほど…ご丁寧に解説をしてただきありがとうございます。文鳥からハムスターへ飛躍する最期が良いかなと。一人二人だけのお話ではなく派遣切りにあってしまうコロナ渦にあり、現在の切実さでもありますね。弱者が弱者を叩くといった痛い昨今ではありますが、なにかの縁によりともに働きともに生きる(ノーマライゼーション)の焔がこうした形で生まれることそのものにまた悲哀ややりきれなさもこめられた作品のようにも思われました。ゲロを吐くという身体反応の模写をとりこむ生々しさが効いているなと思いました。
2非常にわかりやすい解説ありがとうございます。こちらを読んでから、本作を読むとより一層情緒にきますね。
2