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罅
気だるい幸せを身に纏って 春の中を女がいく 失うものなど一つもなくて けれど背中はやけに重い 足りないものは何一つないのに 心はいつも空虚で痛い 愛の中に埋もれながら 愛したことなど一度もなくて 世界中を旅しながら 自分の世界から抜け出せずにいる みしっ と音をたてて 今 その世界に罅が入った あの男が 前を横切ったのだ 南風のように そ知らぬ顔で 振り返りもせずに 女は総てを失くし 一つを手に入れた 熱する ということを もう 戻ることのできない 世界の縁に立っている
罅 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 988.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-02-21
コメント日時 2017-03-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
自分の気持を、ボールにして、右手と左手の間でお手玉のようにキャッチボールしているイメージの詩だと思いました。 世界に罅が入る、という「衝撃の伝え方」は着眼点として面白いけれども・・・「世界」というものが、言葉の大きさの割には具体性が(この詩の中では)乏しいので、観念的な「世界」になってしまっているのかな、という感覚があって、そこが少し残念に思いました。愛するのではなく、熱する、を手に入れた、ということですが・・・熱する、というのは、熱意を持つ、ということを手に入れた、ということ、なのか・・・。愛の中に埋もれながら、愛したことなどない、という部分も、愛という言葉の大きさ、抽象性によりかかり過ぎているかな、という印象があります。 リズム感や独特の音律が備わっている(語りのリズムがある)ところを生かして、もう一歩深く踏み込むような・・・「世界」の様相、「愛」の質感のようなものに、より近接していってほしいと思いました。
0この作者も書き慣れた方だなと思いました。ただ、「○○だけど××」の繰り返しと「すべてに恵まれているが、何か物足りなさを感じる女。そんな彼女が自分を気にも留めない男と出会い、自分の世界が変わっていくのを自覚する」という設定は、それぞれ既視感があって新鮮な驚きを得ることはできませんでした。すでに基本的なテクニックを持っていると思うので、良いテーマさえ見つければもっと良い詩が書ける気がします(何かすごく偉そう。ごめんなさい。
0満島ひかり、真木よう子、二階堂ふみ、いや、作品『罅』にふさわしいアンニュイな女優は、いろいろ当てはめてみたが、蒼井優ではないだろうか。読者のみなさんには是非、思い浮かべて欲しい。 『足りないものは何一つないのに 心はいつも空虚で痛い』 こうつぶやく蒼井優さんの姿を。 失礼しました。 ユーカラさん 投稿有難う御座います。 コメントが無言になっておりますが、何か不具合が発生しておりましたら、お申し付けくださいませ。
0まりもさん、コメントを頂き、ありがとうございました。とても嬉しく思います。講評ですが、観念的、抽象的に走りすぎましたでしょうか。説明的にしたくなくて、こういう形になってしまいましたが、もう少し踏み込んだ表現を目指して精進していきたいと思います。リズム感、音律とお褒めいただいてありがとうございました。励みに頑張りたいと思います。
0もとこさん、コメントをくださり、ありがとうございます。既視感があって新鮮味に欠けると、少し耳が痛い講評ではございましたが、そこを敢えてわたし色に染め直して書いてみたいという励みにもなりました。これに懲りずに、創作、頑張りたいと思います。ありがとうございました。
0花緒さん、コメントをくださり、ありがとうございました。Twitterでもアドバイスを頂きながら、返信が遅れまして誠に申し訳ありません。何とか不具合が解消して、コメントが送信できるようになりました。頂いた講評でも、この作品を気に入って頂けたようで、大変嬉しく思っております。矛盾を重ね合わせたところ、お褒めいただき、ありがとうございます。罅が入るところ、もう少し衝撃的に描けるようにリライトしてみたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
0三浦果実さん、コメントを頂き、ありがとうございます。この作品を、楽しんで読んで頂けたようで、とても嬉しく思っております。蒼井優さんですか? 光栄です。それにしましても、作品をそういう風に読み解いて下さる方もおられるのだなと面白く感じました。 また、返信に不具合があったこと、お察しくださってありがとうございました。お陰さまで、スムーズに送信できるようになりました、お心遣いに感謝致します。
0罅があるという事は殻があると思うんですよね。この作品を読んで思うのは、殻の部分ですよね。殻とは何かという所で、ここでは安心した生活、順風満帆な生活みたいなものかなと思いました。それを破って崖っぷちの世界に飛び出していく熱情みたいな物があると、そういう感じだと思うんですけど、下に引用する所からはあんまり殻を感じられなかった。 >気だるい幸せを身に纏って >春の中を女がいく >失うものなど一つもなくて >けれど背中はやけに重い >足りないものは何一つないのに >心はいつも空虚で痛い >愛の中に埋もれながら >愛したことなど一度もなくて >世界中を旅しながら >自分の世界から抜け出せずにいる 殻って破るものだなと、殻について考えていると思うんですよね。でもここでは抜け出せない物ってある。抜け出すっていうとどこらかというと籠の印象があるよな、という所でタイトルと最初の自分の世界という所のズレを僕は感じました。多分卵の中に入っているっていうのは閉じこもっている感じなのかなと思ったりするんですが、この場合は、多分ちょっと違うと思うんです。そういう殻じゃない。そういう訳で僕としてはこの作品独自の殻をもう少しだけ感じてみたいなという物足りなさがありました。 だから、後半の部分は僕は逆に好きで、落ちもいいと思いました。世界の縁っていうのはもじどおり自分の世界であって、殻の外郭な訳だ。そこから一歩でも外に踏み出したら下に落ちて割れてしまうという瀬戸際な感じがして、新しい世界に飛び出していく熱情と危険さ、とそれから脆さみたいなのが凝縮した表現になっていると思います。そういう意味でいい作品だと僕は思いました。
0美しい前半の対句が醸し出す(朔太郎の「漂泊者の歌」を思わせるような)孤独や空虚のダンディズムが素敵です。それゆえにタイトルにある「罅」が入ってからが少しばかり単純すぎるような気がします。 >あの男が 前を横切ったのだ から、 >女は総てを失くし 一つを手に入れた までの間にもう少し描写があった方が、一つのストーリー性を持つ作品として綺麗に落ち着くと思いました。
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