流露 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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流露    

海の中を流れ続ける流れがあるという 私は流れの中に立ち 私の中を流れる流れを心臓で感じている 鼓動の縁に触れてせせらぎ泡立ちながら 左右に振り分けられていく感情 さらさらとさらさらと流れゆく 流れの中で拍動を続ける孤独 赤く熟れた痛みをすべりながら 覆い冷やし流れ去る流れ すくってもすくっても てのひらは濡れず ただ指の間を流れ去る 感触だけがやわらかく残る のどを潤したいと目を凝らすほどに 焼きついていくのどを取り外し 流れに浸し洗い浄める 足首をくすぐりながら 流れていく流れ 私は流れの中に立ち 私の中を流れていく流れを感じている 海の中を流れ続ける目に見えぬ流れがあるという


流露 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 11
P V 数 : 938.8
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-08-20
コメント日時 2017-08-26
項目全期間(2025/04/06現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
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閲覧指数:938.8
2025/04/06 09時16分40秒現在
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    作品に書かれた推薦文

流露 コメントセクション

コメント数(11)
m.tasaki
(2017-08-21)

おはようございます。 自分の中にある感情を、海の中の流れに託して表現する手法は、さすがだと思いました。 「焼きついていくのどを取り外し 流れに浸し洗い浄める」という表現もなかなか思いつきません。 勉強になりました。

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まりも
(2017-08-21)

花緒さん ループ詩、のようなものを書いてみよう、と試みて、書いてわかったことは、これはループ詩ではなく、リフレインである、ということです。なぜ、そう「わかった」のか、上手く説明できないのですが・・・〈流れていく流れ、は自己言及しているに過ぎない〉ということに、たぶん関連するのですが、そこに留まること、ではない。 音の反復は、ひとつの空間をぼんやりとたちあげる、その空気、のようなもの、なのだけれども・・・流れない流れは無い、と意味に換言すれば、まるで意味の無い繰り言になるわけです。たとえば、光る光、という言葉は成立するけれど、何を言及しているのか。光らない光はない。そう考えると、意味としては何も言及していない。でも、空気感は、音の響きの反復の中に、ぼんやりと気配を表す、というような・・・。 流れる、といったときに動き出したものが、流れ、と名詞で止められたときに生じる停止感は、たしかに澱みと受け止められるかもしれません。今回は、音の方を取りたかったので、こんな感じになりましたが・・・。動詞を名詞として用いる、名付ける、そのことが昔から気になってはいます。風、という名詞は、風るとか、風く、というような動詞にはならない。光は光る、と動詞がある。白は白む、明りは明るむ、と動詞がありますよね、どちらも変化を示す動詞。時間経過を示す、と言ってもいい。 たぶん、ですが・・・ループする時、無の空間に言葉で何かを立ち上げていく。そして、一巡した時にまた最初に戻り、そこからまた、新たに語り直す。その時、少しずつ位相がずれたりしながら、新しく立ち上げ続ける、という能動性が生じる。空間が螺旋状に、語り直す能動性によって埋め尽くされていく、感覚、がある、わけですが・・・ リフレイン、の場合は・・・すでに世界は流れているというか、詩的空間がそこにあって、既に「ある」ところに、「私」を持ち込む、そこで体験することを語る、感覚があるように思います。語りながら、回想地点に戻って、そこからまた、体験し直す、確かめ直す。その間中、その空間には、詩的空間と時間が流れている、あり続ける。言葉で作っていく、という能動性ではなく、既に在るところに、その場に体を持って行く、という能動性、のような・・・気がする、のだけれど・・・その体験を、リフレインを用いて、確かめ直す、というような。うーん、うまく、説明できていませんが。とにかく、書いてみてわかったことは、これはループ詩ではなさそうだ、ということです。

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まりも
(2017-08-21)

m.tasaki さん 大海の中に取り残されているように感じる時も、川のせせらぎの中に立たされているように感じる時もありますよね。私は、目で見ている時はその感覚だけが肥大して、他の身体感覚が消えてしまう。触覚の時、聴覚の時、それぞれ、体が融けてなくなってしまって、感覚器官だけが残っている、そんな頼りない感覚を、しばしば覚えます。だからなのか、体の一部や器官を自在に取り外したり、置き直したりすることに、まるで違和感がない。ないから、当然そのように書く、のだけれど・・・その書き方に驚く方が多いです。皆さんは、いつでも自分の身体は一体としてとらえている、のでしょうか?感覚器官だけが特化して、闇の中に浮いているような、そんな頼りない感覚になることは、ない、のでしょうか・・・逆に知りたいです。 のどは・・・そうですね、なんであんな言葉を発してしまったのだろう、という悔恨の炎に焼かれている喉、ですね、たぶん。その痛みを癒してくれるのは、自分の感情というよりは、外から流れてきて、私の中を流れて過ぎ去っていく、他者の感情、なのかもしれない・・・そんな想いがありました。

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ハァモニィベル
(2017-08-23)

【返詩です】 * 悶えたすえに、胚胎する 戦場に立つほどの あられもない神を 抱いて ジアン・ダアクでなければ 破れない城がある *

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sonetira
(2017-08-23)

はじめまして。 綺麗な詩ですね。 一行一行ただただ美しい情景。撫でるように読みました。 途中の「流れ続ける流れ」「流れる流れ」「流れていく流れ」「流れ続ける(略)流れ」の違和感で、考えさせられます。 読者に静止を与えさせるのがとてもうまいと思いました。

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るるりら
(2017-08-23)

こんにちは 思ったことを想いのままに書かせていただきます。 広くて深い心の持ちようを 感じさせていただけました。 この作品と向き合うと まるで 海そのものと 会話をさせていただいているかのような感覚になりました。私の脳裏には、表層のさざなみを ふりわけている詩の中の人物が スローモーションのように 眼前に現れてきたからです。 実際の海においては、海の流れの速度や温度は 海上近くの表層と海底深くとは違いがあると聞いています。海流なるものが大気にも大きな影響を及ぼしているのと聞いていますが、 この詩を読むと、その大気の中に身を置いておられながら 心は海の中にいらっしゃる。この立ち位置におられることが、すごいです。自然の摂理を 体現ともいえる感受をしておられる気がして、ためいきがでました。  きっと自身の海を知っている話者には、表層の感情だけじゃなく、もっと深くて広い壮大なものに 触れておられるのでしょう。 すがすがしい 開放的な気持ちを頂戴しました。

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survof
(2017-08-23)

「すくってもすくっても/てのひらは濡れず/ただ指の間を流れ去る」の部分がとても心に響きました。昔大好きだった石川啄木の歌を思い出したからかもしれません(「いのちなき 砂のかなしさよさらさらと 握れば指のあひだより落つ」)。 流れるように滑らかな文体にはどこか視覚を刺激するものがあり、美しい波文様をみているような気分になりました。とても好きです。

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まりも
(2017-08-26)

ハァモニィベルさんへ ありがとうございます。ううむ・・・燃え盛る炎の中で、彼女は何を思ったのか・・・それこそ、清冽な流れにオルレアンの乙女を静めて鎮めて差し上げたいですね。私は、逃げます(笑)

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まりも
(2017-08-26)

sonetiraさんへ 流れるような感覚を味わっていただけて、嬉しいです。逆にいえば、その感覚以外のことを、いうことができなかった・・・中途半端なものでもあります。質感とか、言葉の響き、間合い、といったニュアンス的なことも考えつつ、もう少し中身のあるものを盛り込んでいきたいと思っています。

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まりも
(2017-08-26)

るるりらさん ありがとうございます。意識的に「海」を描こうとすると海が逃げていくのに、海から離れたことを描こうとすると、海や川や泉のイメージから逃れられなくなる・・・不思議なものです。本当に書きたかったこと、は、たぶん・・・私の発した言葉が、傷つけたかもしれない人のことを思ううちに自分の心が腫れあがっているような気がしてきて・・・そんな「気がする」感傷に囚われている自分を洗い流してしまいたくて、どうしようもなかった、というような、ぐるぐる巡って答えの出ないようなところから、出てきたもののように感じています。そこを、上手く言えなかった、のだから、そこは片手落ち、なんですが・・・

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まりも
(2017-08-26)

survofさん 質感を感じていただけて、嬉しいです。生きている時は七色のセロファンのように輝いて空中を飛び交っているのに、捉えたとたんに灰になって崩れて吹き散らされてしまう・・・そんな美しくはかない生き物。言葉を、そんな風に感じることがあります。緑の沼の中で、揺らめきながら形をとる、のに・・・捉えようとすると溶けて消えてしまう、そんな得体のしれない怪物、のように感じることもあります。言葉って、不思議ですね。

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