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笑顔の歴史
どんなにひどいこと言われたって。 傷つけられたって。 突き放されたって。 僕は笑顔。 今日お皿を割ってしかられた。でも笑顔。 昨日車に傷をつけてしかられた。でも笑顔。 一昨日友達を泣かせてしかられた。でも笑顔。 一昨昨日自転車を壊してしかられた。でも笑顔。 明日もたぶんしかられる。でも笑顔。 きっと親は褒めてくれる。だから笑顔。 過去の私はいちいちこんなことを思ってた。 笑顔で居れば何でも赦してもらえると。 一言でいう、「阿呆」だ。 群青の真新しいコートを羽織って、始発で夜の暗いうちに街を出た。 行き先など決まってない。 ただ還るだけ。今の私に口を出す者はいない。 自身の過去ほど自分を傷つけるものはない。 突き放されたあの日、私は変わらない笑顔で居た。 ・・・いつかの時変わってしまったが。 詳しく説明する気はない。いちいち掘り返したくもない。 ふさぎ込んで、列車の窓を見た。 嗚呼。私の住まうところはこんなにも寂れていたか。 街並みから外れた崖の先端の、ただ一つの家は、私のようだった。 もうすぐ列車が止まる。さて私はどうしようか。 差し込んだ朝日が車内を照らした。 降り立つ先は何処だろう。 何もかもが未知だ。 ホームに人はいなかった。 ただ一人取り残された。 少し足元を眺めた後、私は立ち去った。
笑顔の歴史 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1424.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-19
コメント日時 2020-09-21
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
どんな時でも笑っていたかつての自分を思い出しました。 いつかそんな自分は壊れて、本当の自分と向き合わないといけない時が来るんですよね。 ストーリーが素敵でした。
1コメントありがとうございます。この詩は私の過去の一部なのです。今は昔とは違う。戻ることはできない。けれど、変わる姿は美しい。そんな思いを描こうとした詩です。コメント再度感謝します。
0最初の部分を読んだときは、「若い人の詩かな」と思いました。しかし、途中の「阿呆」から、良い意味で、一気に突き落とされたように感じました。素晴らしい詩です。
1コメントありがとうございます。私はまだ詩を書き始めてから余り経っていないので、ありのままの景色や、そういったものを表現するのに慣れていないんです。それでも、初心者らしく、熟考してこの詩を書きあげたつもりです。なので、そのようなご評価のコメントいただけると非常にうれしい限りです。コメント再度感謝します。
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