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Z3
数 あるコンピューターエンジニアによると、人は計算をする必要がなくなるという。そもそも数の概念はどのようにして生まれたのであろうか? 一説には、岩や樹の蔭に身を潜めて、目の前を横切る獲物たちに矢を定めた祖先たちが、獲物たちの頭数と自分たちの手の指が同数であると気づいたとき、彼ら祖先たちに数の概念は発生したのだという。親指。小指。人指し指。薬指。中指。 男 生活保護を受けている男がいる。男は時折あらゆる場所まで仲間の車やチャーターバス、電車などで移動をし、あくる日には再びアパートに帰る。男が日々行っているという研究は日本全国が対象だと言う。しかしJRを利用した際、一度だけ自らのミスから車中にて捕まってしまい、東京駅に着くと駅員室に連行されさんざん搾られたあげく、請求された運賃全額を支払う羽目になりなくなく帰ってきたことがあるという。そんな男はボストンバッグの底から船券の束を取り出し、二桁同士を足して合計を正しく導くために鉛筆をゆっくりと走らせる。仲間たちに確認をしてもらい正しいと知るとニコニコと歯を見せて笑う。四十を迎える男の宝は怪獣の大全集である。外気のなかで全体がダイヤモンドのようにテカっている。 並ぶ 私たちは日々あらゆる場所で並ぶ。時刻表を見つめてバス停で並ぶ。朝には学生や会社員がプラットフォームに並ぶ。舌の肥えたグルメたちがラーメン店に並ぶ。OLや主婦たちがネットからお目当てのスイーツを買い求めて並ぶ。バーゲンに並ぶ。傍聴席を求めて並ぶ。横に並ぶ。縦に並ぶ。後ろに並ぶ。前に並ぶ。並んでいる。
Z3 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 971.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2017-02-18
コメント日時 2017-02-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 3 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
花緒さん 書き出し、フォルムが美しいとのこと。ありがとうございます。 そうですね。きっかけは冒頭のコンピュータエンジニアの発言からでした。 男の移動や前後の各漣とのつながりからトリップを覚えると頂きなるほどと。そのあたりまであまり意識にはなかったかと。ですので意外といいますか、参考になります。 4、5年前になりますか、文学極道に投稿したものを変形させたものですが、やはり二つを一つにした無理やり感がありと。今更ながらですが。 上がってしまい恐縮です。 ありがとうございました。
0小学生の頃に時々目にした、社会問題を解説するテレビドキュメンタリー番組を思い出す。説得力がありそうなロボットに近い表情を出さない解説の語り。今作『Z3』の文体から得るものと、まるで同じだ。2017年に再生されたこのテレビ番組はもしかしたら、近未来のことにも、思えてくる。もしかしたら僕たちは将来、既視感に覆われた惑星、Z3で生きているのかもしれない。そんなイマジネーションを誘う、『Z3』はすぐれた近未来詩ではないか。 湯煙さん 投稿有難う御座います。これからも是非、B-REVIEWを表現の場として活用いただけますと、とても嬉しいです。
0三浦果実さん 語りの文体といいますか、に触れて頂いています。そうですね。実はそうしたナレーションのような冷ややかさ、淡々としたものに改変したものです。単体の詩作品として面白味もなく、どうなんだろうか? と思いますが。ロボットによるものととらえimaginationを誘う、とそういけばまた楽しめるものであるのかもしれません。昨年の終わりに文極に投稿をした「explosion」。あのときにコンピュータとリンクさせた街角のゴミ箱なんてのも少し想記していたりしました。 表現はいろいろあるかと思いますね。記号やローマ数字、絵文字顔文字を多用したものなど。文学極道のどなたかの作品も過去拝見しましたし、反現代死さんなんていう方の作品もあるのを思い出します。 脱線しましたが ^^; こちらこそ宜しくお願いします。 ありがとうございました。
0こんにちは。百均です。 タイトルからしてちょっといい加減な作品かなと思ったら。割とそんな感じだなぁと思いました。三つの語にシチュえショーンを与えてなんとなく考察してみる作品っぽい雰囲気で、何か特別に良いなと思う事もなければ、悪くもないな、という感じで、パンチのない三連構成の作品で、でも地味になんとなく関連性があるように思われる。所もあり、それが地味に凝ってる物を見たときにいじらしい気分を想起させてきます。タイトルの「Z3」は3は三連あるから、この三連を書き終わった後になんとなくつけたのかな、とか。3は数だしな。とかZは最後のアルファベットだよなとか。そんな感じです。それらが何を意味するのかはわかんないです。 面白いと思ったのは「数」と「並ぶ」ですね。数の話題に指を持ってくるという発想が、あるようであんまないなという気づきがありました。後その並んでる順番であったりね。自分で指を動かしながら一連を読んでると不思議な気分になります。それが最後の三連の「並び」の叙述にオーバーラップしていき。謎の余韻を残していきます。「男」の連はなんとなく読めませんでした。 一連と三連は、雰囲気は好きなんですけど、それがなんでいいのか、とか意味みたいなものは、あんまり言語化できそうにないかなという感じです。二連に関しては雰囲気が微妙なので、やっぱりいいとも言えずという感じでしょうか。個人的には湯煙さんの作品好きなのでガッツリした奴を一本読んでみたいと思いました。
0◆hyakkinnさん 申し訳ありませんm(__)m Z3はドイツで開発された地上初のコンピューターの三代目、Zは開発者の名前の頭文字からとなります。 メモといいますか、考察のための文でしかないですかね。手足の指先を動かすと酸素が送り込まれて血液がいつまでも若さを保つ効果ありだそうです。こうした身体の働きとも何か関係があるのか否か 。 二連については、http://bungoku.jp/ebbss/20130917_056_7033p 、にて触れえなかったものになります。際どいといいますか、しかしなかなかに興味深い形態である、そんなところでした。どこかへの脱出、入口出口はどのような場所にどのような形で存在するか否か、どのようにして抜け出るのか等々。そこまで膨らませるべきだったかもです。 ガッツリしたもの・・・、まともなブツを出せと、そのように解釈します、はい(笑 ありがとうございました。 ◆花緒さん どうなんでしょう。私も勝手な妄想ばかりでよくわかっておられない部分あり、といいますか。三連は当初アウシュビッツ云々などと直に拡げていましたがさすがに止めた経緯もあり。計算は算盤をはじくや損得勘定、また狡猾やしたたかといった意味もあるようです。ですので二連は一連と三連へとともに同時接続されるものになっていればとは思いますが。良いのか否かはわかりません。現代や未来の日常にどのようにリンクしているのかいないのか等々、思うところありでした。 二度まで頂いて恐縮です。 ありがとうございました。 すみません、一度上がります。
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