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暗闇
「何がほしいの?」と聞いたら 「明かりを消して」と答えた 「明るいのが嫌いなの」と続けた 「私に色をつけるから」とも言った そして 「あなたの顔も見たくないし」と笑った 僕は明かりを消した カーテンを閉めている部屋には 月の明かりさえ届かなかった 完全に近い暗闇 「何も見えなくなった?」と聞いたら 「ありがとう」と答えた 「誕生日プレゼントだよ」と言った すると 「私の顔も見えなくなった?」と聞いてきた 「うん」と答えた 目を閉じたまま 僕は出来るだけゆっくりと優しく 彼女の形をなぞった 見ているよりもずっとずっと小さく柔らかい 彼女の曲線を 抱きあう二人を暗闇が抱きしめる 彼女は泣いていた、気がした それから 朝が来るまで何度か目を覚ました その度彼女の眠る姿を見た もう暗闇は無くなっていた 僕だけが彼女を抱きしめていた 「何が欲しいの?」と呟いてみた 彼女の呼吸は生きている匂いがした 誰かが言っていた表現だけれど 彼女の真っ白な頬は まるで月明かりの下にいるように美しかった
暗闇 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1650.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2020-05-06
コメント日時 2020-06-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
なんか惜しいな >見ているよりもずっとずっと小さく柔らかい までは完ぺきに楽しめた >抱き合う >僕だけが彼女を抱きしめていた 抱くという動詞が重複していてすこししつこい気がした クライマックスなのでもっとスマートになってたらもっと良かった あとラスト2連がな〜 ストーリーとしては全く文句がないんだけど 書きざまがあまりにあっさりしててすこし散文的すぎると思う これくらいの文量ならもうすこしポエムぱわーを使ってもいいかもしんないね もっと味が欲しい 素材は良きまる
2コメントありがとうございます。 ラスト2連が散文的すぎるとのご指摘は全くその通りだと思いました。たぶん僕自信に味が足りないのだと思います。
0ミニシアターの恋愛のワンシーンみたい。 あなたの顔は見たくないと言っておきながらも 一緒に寝てくれるのが、ニヤニヤしてしまう >「私に色をつけるから」とも言った >見ているよりもずっとずっと小さく柔らかい >彼女の曲線を >抱きあう二人を暗闇が抱きしめる >僕だけが彼女を抱きしめていた >彼女の呼吸は生きている匂いがした 全体の出す空気感は大変好みです 特にこの引用部分は私も使えるものなら使いたいなと思いました。
2コメントありがとうございます。 空気感を褒められるのはとても嬉しいです。
0淡々としていて良いと思います。でもこの淡々っぷりはどこから生まれるんだろう…と考えたのですが、おそらく「全部過去形」だからですね(^^;) 淡々としているのでスラッと読めました。読みやすいのは留まりにくいという一面もあるので、良くも悪くもあると思いますが、意図してやられているのであれば成功かと思います。 あと >完全に近い暗闇 という表現が素敵(^_^)/
0僕自身が淡々とした作品が好きなので、僕が作るものもそうなるのかも知れません。 コメントありがとうございます。
0>僕は出来るだけゆっくりと優しく >彼女の形をなぞった >見ているよりもずっとずっと小さく柔らかい >彼女の曲線を >抱きあう二人を暗闇が抱きしめる >彼女は泣いていた、気がした ここの連、ほんとうに暗い中で《なぞっ》ている感じ(動き)がわかって、よく描けてるなあと思いました。 初読の時に感じたけど、いま読み直してやっぱり感じたので書いておきます。
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