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ビー玉の詩
死んだものは天国に行きます。 死んだときそのままの姿で。 たとえば、 首を落とされた魚は首を落とされたままに。 背骨の折れた犬は背骨の折れたままに。 それらは三日間かけて山を滑空して 空に出航します 透明な命の大行進を繰り返した彼ら そんな彼らが道中流した涙は、確実に雨となり 確実に、明日、 あなたの頬に降り注ぐでしょう 確実に。 キラキラと。 それらはきっと キラキラと。 キラキラと。 静かに。 静かに。 天から、数滴の、キラキラ。 さて、首の落とされた魚は泣くのでしょうか あるいは何もかもなくなったものは、泣けるのでしょうか キラキラと。 涙になりうるのでしょうか。 キラキラと。 あぁ、待って待って。そんな変な顔をなさらずに。 きっと彼らは泣けますから。 何もかもない瞳から、何もかもない涙を数滴 きっと、泣けますから。 私は思うのです。 恐らくそれらが凝り固まってできたものが、 ビー玉のあの、哀しげな味の由来だと。 この世で最も甘ったるい、あの味だと。 久々に思い出しました。ビー玉。飴玉のように舌先で転がしながら、青空を眺めていたものです。 やっぱり、美しいでしょう。ビー玉。 儚くて。物静かで。透き通っていて。 そして、美しいでしょう。死。 儚くて。物静かで。透き通っていて。 久々に、ひとつ舐めたいですね。ビー玉。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【以下余談につき、読まないで頂いて結構です。】 あなたの耳に、首のない魚が囁く ただね、あなたはもう大人になってしまった。 大人はビー玉を味わえません。 なぜなら、 死に混ざる人の死を知っているから。 あーあ。 死に混ざる、人による死を知っているから。 あーあ。 残念だ。 もう、舐められませんよね、ビー玉。 人がビー玉に混じると考えただけで、それはただの禍々しいなにかに見えるはずです。 あの透明な味は、血かなにか、この世で最も生臭い、生臭い、ベタ塗りになってしまいました。 首のない魚が天を仰ぐ 傲慢だもんなぁ、人間は。 いつも他の命の邪魔をして、 あまつさえ死にすら横入りするのです。 傲慢だなぁ。人間は。 祈れば救われると信じて、殺し合うのです。 首を落とされた魚ですら、知っているのです。 死後3日かけて山登りせにゃならんと。 そんなことも知らないふりしているから、人間の死って、汚いんだ。あーあ。 傲慢だなぁ、人間は。 それにあいつら、辛いことを 血の涙 とか喩えるんだよ。 あーあ
ビー玉の詩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2055.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 21
作成日時 2020-03-03
コメント日時 2020-04-10
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 4 |
前衛性 | 2 | 0 |
可読性 | 3 | 2 |
エンタメ | 2 | 1 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 7 | 5 |
総合ポイント | 21 | 14 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.7 | 1 |
前衛性 | 0.7 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0.7 | 1 |
技巧 | 0.7 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2.3 | 2 |
総合 | 7 | 7 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
前半の句読点は意図的につけたりつけなかったりしたのですが、統一すべきでした。 読み苦しかったら申し訳ありません<(_ _)> 今後の活動に活かせますので、ご感想ご指摘、是非お願い致します<(_ _)>
0無性に泣きたくなりました。それ以外の言葉が見つからず、もっとましな感想が書けたらよかったのですが、そう思いつつもこの欄にお邪魔した次第です。ありがとうございました。
1感想ありがとうございます<(_ _)> こちらこそ、ご一読頂きありがとうございました!! 墨野さんの作品も先程読ませて頂きました!良い詩生活を!今後ともよろしくお願いします<(_ _)>
0詩自体と余談の部分がA面B面のように表裏になる構造、興味深いです。A面だけなら童話調で純粋なまま終われるのに、B面で一気に不気味で不吉な雰囲気に代わり、背筋が凍ります。そのB面こそ逃れられない、人間の大人になることを語っており、大人の汚れの痛烈な批判になっているのですね。「余談」され一見軽視されているように見えるところに真実の主張があるのが、大人への諦念を助長します。また、人間の死が汚れていることを「知らないふりをしている」、というか気がつかない人間があまりにも多いため、もはや欄外の話として「余談」になってしまっているのかとも思いました。構造で語る技術、素晴らしいですね!
感想ありがとうございます! 前半と後半に分けたのは、実は前半部分を書いている途中で後半部分の内容を思いついたという思考の流れをそのまま形にしており、それこそたまたま出来上がったものです! 好評がいただけて嬉しいです!これからもお互い良い詩生活が送れますよう!
0投稿作品を読んで、作者のことを念頭に置かずに読む側から発せられる一番辛辣なコメントは、「読まなければよかった」というものがありますが、私はこちらの作品を読んでそういう残念な気持ちになりました。冗長で、読んでも何も残らなかったです。何も残らなかったのですから、どこがどうだからという何も残らなかった理由は示せません。ただ、私も人間です。ここまでコメントを書いているうちに、一生懸命に頑張って書かれる作者の姿を想像してしまいました。社交辞令にきこえるかもしれませんが、次の作品も必ず読みたいと思います。またコメントしたいと思います。ほんとに読む側の勝手な気持ちで恐縮ですが、コメントもしなければよかったとは思わせないでください。次回の作品を楽しみにしていますので。ただ、私が鈍過ぎて読めない人間なだけかもしれませんし、好みが合わなかっただけのことかもしれませんが。このコメントで不快になられたら、謝ります。失礼しました。
0感想ありがとうございます! 実は本作品、本作品と言いますか自分の書く作品は総じて、まさしくみうら様のおっしゃる通り冗長であるという点が最大の欠点です。 ・冗長である ・詩に客観性が無い(喩えば谷川俊太郎の詩のような、万人が納得するようなフレーズは一切生み出せない) この2点が特に目立つ自分の欠点だと自分自身で認識していますが、その片方を指摘してくださったみうら様の意見は全くもって正しく、かつ自分に喝を与えてくれるものです。 いやはや、どうしても伝えたくなってしまうんですよねぇ.......。 この気持ちをなんとか少しずつ削ぎ落として、洗練された作品を書いていきたいです! みうら様のように、お世辞抜きで正しく批評をくださる方の意見は非常にありがたいです! これからも精進して参りますので、是非ともよろしくお願いします<(_ _)>
0面白く拝読しました。 ビー玉を抽象的な概念とし、舐めることのできた当時、舐めることのできなくなった大人のあなた、の対比が巧妙であり、筆者の自由な表現を思わせます。 冒頭の「死んだ魚」の描写、そこから続く「キラキラ」という、出てくる場面と言葉がおおよそ合致しないであろう組み合わせが、独特の空気を生み出しています。 本作は、死の悲しみ、苦しみ、そういったベクトルの作品ではなく、死を思うこと、死を感じることが「できるか」「できないか」を俯瞰的に表現されたと思え、私も感じ入るものがありました。 「余談」これこそが作品の肝だと思え、前半部との対比が面白いです。あえて「余談」と書くことによって、語り手の言葉がここには宿っているのだと感じさせられ、それは前半があるからこそ生きています。 ひとつ考えたことは、余談は面白いものに仕上がっているのですが、直情的にすぎる部分、また直情的な描写(あーあ、など)を、読者へより強度をもって伝えきれていないように思いました。なぜかと考えたところ、あなたが「舐められなくなってしまった」変遷の描写が少なく見え、個人的には、あなたが変わってしまった、大人になってしまったことへの過程がよりほしかった、と考えました。
ちょっと中だるみがあるようにおもいましたが、序盤はとても良く、この作品を最後まで読ませるに充分だと思いました。死と死後の世界の酷薄さをライトにあっさり書いていて、んーむと唸るものがありました。ライトコメで失礼を。
0良いですね。お伽噺を聞かせるような書き方で、優しい死生観を感じる事が出来ました。 子供たちがいるなら実際に読み聞かせても良いと思いました。 そして余談で人の死への狡猾さを感じる事が出来ました。 グリム童話みたいに本来は残酷な話でそっちがメインなんだけど 先に明るくされた話が伝わって、後で本来の話の展開を知ったような気持ちになりました。
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